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ハイテンションな姉 前編 4(終)

「……あ」

美香姉と俺の視線が、合った。

小さく驚いた声を出した美香姉は、目線を少し下に向ける。

もじもじ。もじもじ。うにうに。うにうに。

その姿が可愛くて、俺は口元が緩みかけてしまう。

……そう言えば、愛理姉の姿が見えないが。

「美香姉。愛理姉はどうしたんだ?」

「……上がった」

美香姉の声は少し高かった。

隣で寝ている理子姉は、起きた。

「将君……お願い……」

理子姉は、俺に寄りかかるとそのまま気を失ってしまった。

……理子姉? ダメ人間化してないか?

「う……」

その時、百合姉が起きた。

頭を手で押さえて、美香姉のほうを申し訳なさそうに見ている。

「ごめん、美香」

「……あまり根には持たない」

平然と美香姉は言った。

意外と、その場でスカッと解決する性格なのかな。

俺は理子姉を抱えようとするが、どうしても出来ない。

その時。露天風呂の扉が開いて、愛理姉が出てきた。

「愛理。何してたの?」

「いや、お布団敷いてて」

……なるほど。じゃあ、戻ればすぐに眠れるということか。

愛理姉。理子姉を抱える手伝いをしてくれないか?」

「いーよ!」

愛理姉は俺の隣に来て、うっすらと目を開けている理子姉を俺と抱える。

だが、やはり重かった。俺と愛理姉は湯船の中にドボンと倒れこむ。

「ぶはっ」

顔を上げた俺の手には、一枚のタオルが握られていた。

何だ、ただのタオルか……た、タオル?

「将君……はぁはぁ」

愛理姉を見ると、自分の胸と下半身を手で隠していた。しかも興奮してる。

まずいぞ。そこに視線を向けるわけにはいかない。

すると、後ろから百合姉の声がした。

「……愛理のことが好きだったのね。いいわ。私のも見せてあげる」

ちょ、違うって! 何でこうなるんだよ!

百合姉がつけていたであろうタオルが、湯船の中を漂う。

「将君。やるならやっちゃって……もう我慢できない」

「最初は私よ! 愛理!」

「わ、私から!」

「……将は渡さない」

みんな、頼むからタオルを取るな!

そんな事したら、俺の意識が……うぷっ。


目が覚めると、旅館の例の部屋だった。窓を見ると、もう夕方だ。

布団の中で体を起こそうとすると、誰かが引き止める。

「まだ寝ててもいいよ。お姉ちゃんたちはお風呂にいるから」

眠い目をこすると、そこには愛理姉がいた。

浴衣姿で、俺を心配そうに見ている。

「……さっきはごめんな」

「いいよ。不可抗力だったし」 

愛理姉はにっこりと笑った。

そして、自分の浴衣を直すのか、手をかける。

「……将君。私、まだ興奮してるんだ」

……はぃ? 今、何て言いました?

興奮してるって、まさか。

愛理姉が、浴衣を緩めた。

肩が丸出しになり、胸の谷間が少し見えてしまう。

「お願いだから、触って? ……はぁはぁ」

お、おい。何だこれは。これなんてエロゲですか。

その時、この気配を感じたのか姉ちゃんたちが一斉に入ってきた。

愛理姉ははっ、と気づいてそのままフリーズする。

「……愛理。それは、私の役目でしょ?」

「抜け駆けはずるいよ」

「……独り占めしないで」

姉ちゃんたちは、愛理姉を鋭い目で見ている。私がしてあげる、て訳か?

頼むから勘弁してくれぇ。てか、何でみんな俺に寄って来る。

今日は何回気絶をしたら気が済むんだろうか。

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