表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/375

出し抜かれる姉 3

 なぎささんと二人きりで車に揺られること数十分。俺たちはある温泉までやってきていた。着替えを持ってこい、と言ったのはそういう事だったのか、と思っていると、なぎささんはエンジンを止め、車から降りる前に俺の方を見る。

「……将さんとは混浴が良かったんですが、まだそれは早いかなって」

「そ、そうですね。まだなぎささんとは付き合いも短いですし……」

「だから、ちょっとずつ将さんの心に寄り添っていきたいんです」

 俺の手を握り、なぎささんは優しい声でつぶやいた。彼女の長髪が俺の手の甲をくすぐり、そこからはほんのりとシャンプーの匂いが漂ってくる。そして、首筋からは汗の匂いもした。女の人の身体ってこんなに良い匂いなのか、と思っていると、彼女は車から出た。


 温泉は分浴。普通通りのはずだが百合姉たちと行くと決まって混浴であるため、かえってこっちの方が新鮮だ。一人貸し切りで露天風呂につかっていると、隣からなぎささんの声が聞こえてくる。

「将さんいます?」

「一人だけですよ」

「こっちも」

 竹の壁一枚でしきられた向こうからなぎささんの声が聞こえてきた。彼女の姿が見えないことが想像欲を掻き立て、俺は口元を少し緩ませてしまう。バスタオルを巻いているのか、巻いていないのか。巻いていなかったら、なぎささんの身体はどんな感じで……

「将さんの顔が見えないのが寂しいです」

「こっちも、なぎささんの姿が見られないのが」

「私の身体が見たかったんですか?」

「ち、ちがっ」

 壁越しから聞こえる笑い声に、俺はうつむいて顔を赤くした。隣になぎささんがいるという事を考えるだけでも俺はどうしようもなく興奮してしまう。姉さんたちと混浴は何回か経験しているから分浴は大丈夫だろう、と高をくくっていたが、姿が見えないということによる想像はそんな俺を見事に撃沈寸前まで追い込んだ。

 なぎささんのスタイルは服越しに見ても悪くはない。理子姉と大体同じくらいだと予想して、胸のサイズ、ウエスト、ヒップは大体あんな感じで……そしてもし彼女が隣にいたとしたら、彼女は俺の方へ寄って来てなでなでを……

「……将さん?」

「……うぇっ!?」

「のぼせたんだったら上がりますか?」

 俺はそれに素直に返事をした。湯船にのぼせたんじゃない。このまま露天風呂に入っていたら、俺はこのまま妄想の中に引き込まれてそれでのぼせてしまうからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ