飲んだくれる姉 2
「百合姉と一緒に泊まりたい気持ちもあるけど、百合姉と二人だと何されるか分からん」
「それじゃあ、千秋も一緒に泊まるぅ?」
「だから何で」
「わ、私か? いいって言うなら、その、一緒でもいいが」
千秋さんが恥ずかしさの入り混じった声でそう答える。いや、だから何でそういう方向に話が進んでいくんですか。百合姉と千秋さんの間で寝るって、横から何が飛んでくるか分かったもんじゃないですよ。多分胸と胸の間に挟まれて寝るんでしょうねぇ……あれ、でもそれって逆に良いような気もしてきた。ち、違う。落ち着け俺。
そう考えていたことを、今度は千秋さんに勘ぐられた。
「何だ、将はそうしてほしいのだな」
「なっ」
「ふふんぅ、分かったぁ。将って千秋と一緒がいいのね」
「ち、違う! 三人で寝る所を考えてて……あ」
千秋さんの顔と百合姉の顔が俺を見つめてくる。まずい、墓穴を掘った。この二人は今はただの女性だが、もともとは白金組の組長と副組長。何をされるか分かったもんじゃない。が、今更慌てていても後の祭り。
「ふぅん……失望したわ、将」
「そんなこと考えてたのか……はぁ」
「ふ、二人とも何で急に白けるんですか!」
「私だけを見てくれると思ってたのにな……」
「まさか将がそういう方向に走るとはな……」
千秋さんと百合姉の目線が痛い。痛いですよ。少し涙目になったところに、手のひら返しの百合姉の抱き着きがやってきた。千秋さんも俺の頭をがしがしと撫でる。
「将ったらもう、いじりがいがあるんだから」
「冗談に決まってるじゃないか。三人で泊まるのも悪くないだろう」
百合姉の胸が顔に当たる。目線をそらすべく百合姉の分のスナギモに目を向けるが、もうなくなっていた。俺がいろいろ考え事をしている内に完食してしまったのか。千秋さんが上から目線で笑ってきているのが見えた。う、俺ってM気があるのかもしれん。
「さて、そろそろ店じまいだね。二人とも、手伝ってくれるかい?」
「わ、わかりましたぁ」
「はーい」




