表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/375

ハイテンションな姉 前編 3

「……はぁ」

とにかく、バスタオルを巻いているようだからセーフだ。

まあ、百合姉はいつ取るか分からない状態だが。

「こっちこっち!」

露天風呂には、俺と姉ちゃん以外の人はいなかった。

理子姉の所へ歩きながら、俺は言う。

「他のお客さんは?」

「……貸切」

美香姉がつぶやく。

貸切、か。なるほど。確かに、理子姉なら出来る技だ。

だがしかし、俺の立場になって考えてくれなかったのか。

「いい景色でしょ」

「本当だな」

露天風呂からは、鎌倉が一望できた。

……のだが、百合姉が俺に後ろから抱き付いてくる。

「しょーくーん」

「ゆ、百合姉?」

「私も!」

「こ、こら。私もやらせて!」

「……ズルイ」

またしても、俺は四人に抱きつかれてしまった。

……みなさん。俺は、健全な男子高校生ですよ。

こんなシチュエーションで、意識が持つわけが……


顔に冷や水を感じて、俺は目覚める。

どうやら、気絶をしてしまったらしい。

美香姉が俺の顔をタオルで拭いていた。

美香姉のまんまるい目が、俺の視界に入る。

「……平気?」

「あ、ああ。大丈夫だ」

本当は大丈夫ではないのだが。

まだ浴槽に入ってすぐなのか、愛理姉たちも入っている。

「あ、起きた」

理子姉は俺の近くまで来ると、さりげなく肩と肩を密着させた。

その顔が、少し赤くなっている。のぼせてきたのかな。

「顔赤いぞ? のぼせてないか?」

すると、理子姉はもっと赤くなり、何かつぶやき始めた。

「だ、だって、しょ…く…のまえ…し……」

「あまり無理するなよ」

俺は、背中で誰かの殺気を感じた。

……理子姉。離れたほうがいいぞ。殺される。

「将君……どうしてかまってくれないの?」

俺の後ろに立っていた百合姉が、前に出てきた。

タオルでは隠されているが、そのさっきからぷるんぷるん揺れている双子の山と、グラビア級スタイルが視界からなかなかいなくなってくれない。

……危ない。油断したら、もう一度気絶しちまうぞ。

「百合姉。何をするんだ?」

「いや、見たいかな? て思って」

すると、百合姉はタオルをやや下に下げやがった。

胸の谷間がくっきりと見えて、俺はすぐさま隣へ目をそらす。

だが、隣の理子姉を見るときの視線には、やはりその、何ていうか、胸が、少し俺の腕に当たっているのが見える。

「好きじゃないの? 女の子の胸。大きいのが好きじゃない?」

今度は、別方向から殺気を感じた。

……あれは、美香姉? 手には洗面器を持って、つかつかと迫ってくる。

背中からは、どす黒いオーラが放たれて、愛理姉の裏の顔と似ているような。

そして、百合姉が美香姉を見上げた瞬間。

「……だったら分けて」

美香姉は、洗面器を思い切り百合姉の頭に叩きつけた。

痛恨の一撃。美香姉は百合姉に999ダメージを与えた。

「あがっ!」

百合姉は頭を抱えると、その場でダウンした。

美香姉は洗面器を元に戻す。

「……あれほど胸の話はしないで、て言ったのに」

美香姉の胸元は、なだらかなカーブだった。

……なるほど。そう言う事か。その話題はタブーって事にしておこう。

「将。隣、いい?」

「いいぞ」

俺はすかさず言った。何かされる前に。

美香姉はいつもの顔に戻って、俺の隣にちゃぷんと入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ