音楽家な姉 5
わだかまりがすっかりなくなった理子姉は、はっと気が付くと俺の胸元に飛び込んできて甘え始めた。いつもは俺が甘やかされているところを、今回は理子姉がこちらに甘えてきている。腹の辺りに理子姉の胸がちょこんと当たった。
「今日は将君に甘えたいなぁ……」
「……わ、わかった」
俺が慌てて返事をすると、理子姉は抱き着いたままこちらをじっと見てきた。こ、この体勢はなかなかされたことはないが、千秋さん辺りがやってきたような気がする。千秋さんやなぎささんに抱き着かれた時とは違って、体中からほんわりとした空気が漂ってくる。
「こーらー。誰の事を考えてたの?」
「り、理子姉の事を」
「千秋やなぎさちゃんのことでしょ?」
「う」
見抜かれてしまった。理子姉は一瞬不信そうな目で見るが、なるほど、と一言言うと、俺の足と理子姉の足を絡ませてくる。理子姉と二人で一つになったような気がすると同時に、これでもう理子姉から逃げられない、一体何をされるんだ、という興奮へとつながっていく。や、やっぱり俺は受けの方だったんだ。
「お姉ちゃんのことだけしか考えられないようにしてあげるねぇ」
そう言って俺の首辺りに顔を近づけ、キスをするする理子姉。ぺろぺろ、と舌でなめられていると、理子姉の優しさに隠された一面が覗けたような気もした。
「り、理子姉、舐めるのは……」
「そぉ……? じゃあ、将君は何をしてほしい?」
な、何をしてほしいか。頭の中に思い浮かんではいるのだが、さすがに言いだすわけにはいかない。うろたえていると、理子姉は察したように俺を向かい合せた。
「こうしてほしいんじゃないの?」
理子姉の胸に俺の顔がむにっと当たった。愛理姉や百合姉のより柔らかさは劣るかもしれないが、それでも気持ちいいことには変わらない。ね、眠気が襲ってきた……




