ハイテンションな姉 前編 2
心地よく眠っている俺を、誰かが起こした。
「ほら、将君。着いたよ」
眠い目をこすって起きると、愛理姉が俺を起こしていた。
美香姉はさっき起きたらしく、まだうとうととしている。
……にしても、愛理姉と美香姉に向かって、百合姉からものすごい殺気が。
「ゆ、百合姉。ここ、どこ?」
「理子の話だと、鎌倉山荘らしいわ」
「鎌倉山荘?」
……鎌倉まで来たのか。理子姉は本当に行動が凄いな。
時計を見ると、朝の11時だった。
「みんな、行くよ」
理子姉は車の鍵を閉めると、トランクから荷物を取り出す。
そして俺たちは、山荘の中へと入っていった。
山荘に入ると、すぐに部屋に案内してもらえた。
部屋は意外に広く、俺たち五人が寝ても差し支えないくらいだ。
「ふぅ。やっと着いたわ」
「ここで休むから」
「広いね。この部屋」
「……ふぅ」
姉ちゃんたちは畳の上で横になって、いもむしのように動き始めた。
俺も横になり、天井を見上げる。
遠かったな。おかげで腰が少し痛い。
「姉ちゃんたちは先に風呂に入ってきていいぞ」
「何言ってんのよ」
百合姉が、俺の上に乗っかった。
他の姉ちゃんたちは目をうるうるさせて百合姉を見ている。
「将君と一緒に入るからここにしたんじゃない」
「わ、私も!」
「こら、抜け駆けずるい!」
「……」
気がつくと、俺は四人の姉ちゃんに乗っかられて動けないでいた。
それに気づいた姉ちゃんたちは顔を真っ赤にして、急に俺から離れる。
……まあ、俺が一人にならないように混浴にしたんですね。はい。
俺はため息をつくと、バスタオルが入った袋を抱えた。
更衣室で、俺は着替え終わった。
……そして、この露天風呂の扉の前に突っ立っている。
「しょーくーん。早く入ってきてよ」
向こうから愛理姉の声が聞こえてくる。
「早くして。もう、我慢が出来ない……」
「恥ずかしがらずにさ、ほら」
「……期待はしない」
何だか、せかされているようだ。
俺は意を決して、露天風呂の戸を開けた。