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体育着と姉 4

 昼ごはんは愛理姉、美香姉、健一と一緒に食べた。愛理姉の作った弁当はやはりおいしく、少し食べた健一も絶賛するほどの出来。特に、玉子焼きと豚の生姜焼きは絶品であった。どちらも、俺と美香姉の大好物だ。

 あーん、とかしてもらいたい気持ちもあったが、そこは抑えた。家でしてもらおう。

「……将君? どうしたの?」

「あ、いや、なんでも」

「何照れてんだよぉ将」

「て、照れてるだと!?」

「お姉ちゃんが何かした?」

 そう言って身を乗り出してくる愛理姉。体育の時の汗のにおいがほんのりとしてきて、俺の鼻と理性をくすぐる。愛理姉は長袖のブラウスを着ていたが、やはりその体のラインは隠しきれていなかったようだ。いろんな意味で直視出来ない。

 ブラウスの胸の辺りにはうっすらとピンク色の下着が透けているのが分かり、愛理姉の方に顔を向けるだけでも照れくさい。

「い、家で言うよ」

「ふーん……じゃあ、お家で聞こうかな」

 そういう愛理姉は、俺の弁当箱から玉子焼きをひょいと取って食べてしまった。

「お、おい!」

「お姉ちゃんに秘密を隠している罰なのです」

 隣から羨ましそうな健一の視線がこちらへ飛んでくる。こ、こら。愛理姉の方に目を向けると、少しご立腹なのか愛理姉が黙々とお弁当箱を食べていた。その隣では美香姉がこちらを心配そうに見つめている。

「わ、わかったよ。……健一、少し席をはずしてくれんか」

「ぐおうふっ、俺が席を外されるとは……よし、お姉さんたちと仲良くやるんだぞ」

 健一からエールを送られ、席には俺と美香姉と愛理姉だけが残る。愛理姉はそれじゃあ話して、と言わんばかりにこちらへ身を乗り出してきた。う、健一がいなくなったから多少は言いやすくなるかと思ったが、これは、なかなか言えん。

「……う」

「言ってくれないの?」

「……愛理姉って制服でも可愛いなぁって」

 愛理姉はそれを聞くと顔を真っ赤にして、自分のお弁当をもちゃもちゃと食べ始めた。美香姉は俺の方を見ると、私にも何か言って、と目線を送ってくる。

「み、美香姉も可愛いよ」

「……ありがとう」

 二人とも下を向き、慌てて自分の弁当を食べていた。そんな二人の姿が、ひまわりの種を口いっぱいにほおっているハムスターのように可愛かった。


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