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体育着と姉 3

 結果、圧勝だった。俺のロングシュートか健一のカットインからのシュートが主なゴール源であり、愛理姉たちのチームは少し悲しそうな感じである。勝ったのだが、果たしてこれは喜んで良い物か。いや、違うような気がする。

 ちらと愛理姉の方を見ると、こちらの視線に気づいたのか、笑顔を送ってくれた。しばらく見つめ合っていると愛理姉は他の女子に絡まれ、体育館の端に連れてかれてしまう。う、あの女、愛理姉の胸を後ろからもみもみしていやがる。

 嫉妬と自制心と共にいると、体育の授業の終わりのチャイムが鳴り、俺は健一、向こうからやってきた美香姉と一緒にクラスへと戻った。その途中で愛理姉が合流して来て話しかけてくる。ふんわりと彼女の汗の匂いもただよってきた。

「将君のシュートかっこよかったよ!」

「そ、そうか?」

「お姉ちゃん見とれちゃった。もう、ここでなでなでしてあげたいくらい」

「後で頼む」

「……お姉ちゃん、かわいい」

 ぼそっとつぶやいた美香姉の一言で、愛理姉は身を軽く硬直させて唇をうにうにさせた。

「か、可愛い……かな?」

「愛理姉は可愛いと思うけど……」

 はっ、と気づく。つい本心が漏れてしまった。愛理姉は余計に顔を紅潮させ、こちらから目をそらしてしまう。でもたまにちらとこっちを見る姿が愛らしい。その姿をずっと見ていたい気持ちもあるが、クラスの分岐に着いてしまった。

 愛理姉は少し悲しそうな顔をしながら俺たちと別れる。健一は俺の微妙な表情を読んだのか、軽く肩を叩いてくれた。ありがとう友よ。分かってくれるのはお前くらいだ。愛理姉の残り香を思い出しながら、俺たちは教室の入り口に立つ。

「……じゃ、着替えるね」

 そう言った後、美香姉は着替えを持って女子更衣室の方へ向かっていった。俺と健一は愛理姉と美香姉の体育着姿を思い出しながら、自分の着替えを手に取る。

「愛理さんの身体も魅力的だけど、美香さんのちっちゃい身体も可愛いよな」

「ちっちゃいって本人の前で言ったら殺されかねんがな」

 誤解を招く言葉は出来るだけ避けたい。裏の美香姉が出てきてもらっては困る。だが、健一が最初に言ったとおり、愛理姉の身体は確かに魅力的だった。何回か抱き合いながら一緒に寝たことはあったが、もう一度見てみると襲いたくなってしまうから不思議だ。あの胸に顔をうずめてみたい。匂いをかぎたい気持ちも少々。

「ま、愛理さんとは家で会えるだろ。その時一緒に寝たらいいじゃないか」

「そうなんだけどな……愛理姉、結構恥ずかしがり屋だから」

「そこがいいんだよ。全く、俺が教材を家に送り付けてやってもいいのにな……」

「姉物の同人誌だけは勘弁してくれよ。シャレにならん」

 健一の不敵な笑み。その顔を忘れてやるものか。


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