ハロウィンの姉 2(終)
居間の戸を開けると、そこには千秋さん、希さん、なぎささんがいた。予想外なことに俺は驚くが、三人の姿をとりあえず確認する。千秋さんは女戦士、希さんは村娘、なぎささんは僧侶のコスプレか。三人でどこかのRPGに出るんですかね。
「トリックオアトリート」
三人から一度に言われ、俺は渋々クッキーを一枚ずつあげた。千秋さんの口の端が笑っていたような気がするんだが、気のせいだと思うんだよね。希さんは何だか気恥ずかしそうだ。なぎささんは俺の頭をぽんぽんと叩いてくれた。
「将、百合が待ってるぞ」
「おう、じゃあ行ってくる」
三人とお話したい気持ちもあったが、俺はまず百合姉の部屋へと向かった。
百合姉の部屋についた。中に入ると、そこは他の部屋とは装飾が比べ物にならないことがわかった。黒いカーテン、ベッドの布団の色、本棚にも、パソコンにもカーテン。床は赤じゅうたんだ。そして、どこかで見つけたのだろう。玉座に座るのは、この間買った悪魔の服を着ていた百合姉だった。
百合姉は俺がドアを閉めたことを確認すると、俺の目を見て言った。
「トリックオアトリート」
「お、おう……あれ?」
クッキーの袋をあさるが、中には何も入っていない。これ10枚入っていたような……美香姉に2枚、愛理姉に3枚、理子姉に2枚、千秋さんたちに一枚ずつ……ハッ!
固まっていると、百合姉が俺の様子を満足そうに見つめていた。百合姉の方を向くとその視線と目が合ってしまい、体がこれっぽっちも動かなくなってしまう。あ、あれ、興奮してきたぞ、何でだろ。
「……ないのね?」
「……うん」
「お菓子をくれない子には悪戯しちゃうわよ?」
百合姉は立ち上がると、固まっている俺に一気に飛びかかって来た。俺は百合姉に床に押し倒されてしまい、その場で強引にキスを奪われる。げ、何か飲まされた。こ、これは。
「契約完了」
口の中に甘い味が広がり、俺の意識を一瞬だけ揺らがせる。部屋が薄暗いためか、百合姉が悪魔の格好をしているかわからないが、飲んではいけないような物だと感じた。が、飲んでからではすべてが遅い。百合姉の方を見ると、胸の谷間が露出してあった。百合姉、服を改造してやがる!
「これで将はもう、私だけのモノ……ね?」
「は、はいぃ」
「可愛い子なんだから……」
百合姉の大人のムードに押され、俺はなすすべなく百合姉からキスを受けていた。一つ一つで意識が溶かされてしまい、百合姉にすべてを許しても大丈夫な考えになってしまった。百合姉は俺にまたがると、そのままニタァと笑う。
あ、あれは吸血鬼……でも、百合姉にされるんだったらいいや……
次の日、俺は自分のベッドの上で倒れこんでいた。学校の振り替え休日で助かった。昨日は百合姉との一時の後、他の姉さんたちからの熱烈な愛を受け、千秋さんたちからもたくさん可愛がられた。もちろん大人の階段こそは登ってはいないが、それでもやってはいけないようなことをやってしまったような感じである。
いつもとは違う服装、違う雰囲気の部屋というものが大きかったのかもしれない。俺はそう考えると、二度寝をするためにまた目を閉じた。あれ、愛理姉が隣に……
百合姉の服装のアイデアはガールフレンドの神楽坂先輩ハロウィンVerです




