悪魔世界の特別公演 10
ライブが終わり、人間界で打ち上げをすることになった。ということで、今俺たちは人間界に戻ってカラオケ屋まで歩いている。車には乗れんからね。
愛理姉と百合姉の羽も取れ、二人とも仲良く戯れ合っています。その少し前を俺と美香姉と理子姉が歩く。さらに前ではリリィさんとハービィさん、リーンさんの姿も。
「……理子姉、凄かった」
「ありがとね、美香ちゃん。なでなでー」
「うーっ」
理子姉になでられて顔をほんのり赤くする美香姉。か、かわええ。口元に少し力が入って少しだけうつむいている姿が何とも言えない。
そんな風に美香姉を見つめていると目が合った。美香姉は一瞬目を見開いて、そっぽを向いてしまう。照れ隠しだと分かっていても結構心にくるんだよな。
「ほら、将君もなでなでー」
「ぐ」
理子姉の左手が俺の頭をなでなでしてきた。
恥ずかしい気持ちともっとなでてほしい気持ちが心の中でぐちゃぐちゃになって、理子姉の目を見るとそれがさらに加速する。うわ、微笑んできたぁ、ぐわぁ。
「……将?」
いつの間にか俺の方に来ていた美香姉に左腕を取られる。
「ほら、美香ちゃんが呼んでるよ?」
右腕は理子姉にとられてしまった。
左を向いて美香姉の方を見ると、また目が合う。今度はそっぽは向かなかったが、それでも美香姉は何だか恥ずかしそうな表情をしていた。かわええ。
「……そんなに見ないで」
「ご、ごめん」
「二人とも初々しいねぇ」
「なっ」
「違うよ、理子姉っ」
美香姉が慌てて反論するが、その後またしゅんとうつむいてしまう。理子姉は俺と美香姉の頭をなでなでしながら、カラオケ店までの道を歩いた。




