泥酔する姉 4(終)
荒業を使い、何とか夜を乗り切った。
百合姉は千秋さんと愛理姉に抱きつかれていて、俺はとりあえずセーフだ。
「……む」
俺の隣で千秋さんが目を覚ました。
起きた後俺の方に寄ってきて、優しく抱きしめてくる。うん。
「千秋さん……?」
「おはよう」
千秋さんからの、軽いキス。そして、俺を抱き倒してくる。
驚きよりも先に、千秋さんの身体が暖かかったと感じる方が先だった。
一瞬だけ硬くなった身体が徐々に解きほぐされていくようで、とても心地いい。
「将……お前との初めてだな」
「千秋さんは……」
「私は初めてだぞ? お前は百合たちとしたことがあるかもしれないけどな」
俺の背中を、優しく、それでも少し強引に千秋さんの腕が通る。
姉さんたちに何と言われるかなんて考えられなかった。千秋さんが、彼女が、愛しい。心の奥まで入ってきて、そして鷲掴みにしてしまうようだ。
「……」
理性がとろけ、俺の手が千秋さんの方に伸びてしまう。
姉さん以外の女性を求めることの背徳心が、快楽をさらに助長していた。
「お前の事だけが好きなんだ、将。今だけは私を受け取ってくれないか?」
「はい……」
すっかり気が抜けてしまった俺を、千秋さんがぎこちなく抱き続ける。
彼女の赤い髪が朝の光で輝いた。
とても、幸せだった。
家に帰った後も、俺は少しぼうっとしたままだった。
千秋さんの身体の柔らかさ、気持ちが忘れられず、ベッドの中でもんもんする。
姉さんに殺されたりしないかな俺。大丈夫かな。
「……千秋さん柔らかかったなあぁ。焼き鳥屋の常連さんになりそうだ」
「だったら、今度私と行く?」
布団の外から理子姉の声がした。
こっそりと顔を出すと、そこには何だか不自然な笑みを浮かべた理子姉が。
こ、怖いよぉ。理子姉頼むから静まって!
「お姉ちゃんが、将君を誘惑してあげるから」
意地悪そうに笑う目が、ポスターの中の理子姉と一緒になった。




