頼れる姉
理子姉エンディング。
早朝、俺は理子姉の運転しているGT-Rに乗り、どこかへと走り続けていた。
運転席に座っている理子姉は、上り続けている坂道のずっと先を見ている。
「……将君」
「何だ? 理子姉」
俺が理子姉に答えると、理子姉は俺にこう聞いてきた。
「……将君って、千秋の事好きなの?」
「……」
答えにくい質問だった。
俺がずっと無言でいると、理子姉はふぅっとため息をつく。
「……大丈夫だよ。将君が千秋の事を好きになっても、私は将君の事が好きだから」
「理子姉……」
「ほら、もうすぐだよ」
理子姉は坂道の一番高いところの路肩に車を止めると、そのまま俺の右手を優しく握る。
暖かくて、そして心地よい理子姉の手は、俺の手から腕を伝い、背中までやって来た。
「……綺麗だね」
「……ああ」
正面に海が見えた。そこから、朝日がじょじょに昇ってきている。
黄金色に光る海を見ながら、理子姉は俺をそっと抱いていた。
俺も抱きしめ返し、理子姉と唇を重ねる。
「んっ……もう、将君ったら。私とそんなにキスがしたいの?」
「あ、ああ……理子姉の事、好きだからな」
「ふふっ。そう言ってくれてありがとね」
後ろからは何台かの車が通り抜けていく。
朝日に俺たちは包まれ、互いを求めあっていた。
家に戻り、俺は学校へ出かける支度を始める。
制服に着替え終わり、朝食をとるために下に行くと、そこには理子姉と美香姉がいた。
「……おはよう」
「おはよう、美香姉」
制服姿の美香姉は理子姉にべっとりである。
理子姉は美香姉を後ろから優しく抱いたまま、俺の方に向かって微笑んでくれた。
それだけで今日の憂鬱が全てなくなり、理子姉の事がさらに好きになっていく。
「将君、今日はちょっと遅くなるから」
「ああ」
テーブルの上に並んでいるご飯を食べながら、俺は理子姉の言葉に返事をする。
何かと理子姉も忙しいのだろう。そろそろ新曲でも書くのか。
「冬が近いから、クリスマスソングでも書こうと思ってるんだ」
「クリスマスソングか……頑張れよ」
「うん。将君にそう言われたら私も頑張れるから」
理子姉は俺の頭を優しくなでてくれた。
俺は少し照れながらもご飯を食べ、全部食べ終わったらその場で立ち上がる。
「美香姉、そろそろ時間だ」
「うん」
居間に、髪形を整えてきた愛理姉もやってきた。
よし、そろそろ学校に行こう。
「じゃあ、理子姉。行ってくる」
「いってらっしゃい」
俺たちは玄関から外に出て、通学路を三人で歩いた。
背中には理子姉の視線を感じる。
「……」
そういえば、理子姉って千秋さんが白金組に入っていたことを知ってたのかな?
焼き鳥屋に行ったらいい、て理子姉は言っていたし。
「……将?」
何か考え事をしていた俺を、美香姉が心配そうに聞いてくれた。
俺は微笑み、美香姉に言葉を返す。
「大丈夫だよ。少し考え事してただけだから」
「そう」
今度、理子姉にその事を聞いてみるか。
ついでに腕枕とかもしてもらおう。最近一緒に寝てなかったから、何だか楽しみだな。
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