添い寝する姉 1
「姉の友達」属性の本気。
理子姉となぎささん、そして俺は、百合姉のカフェで集まっていた。
カメラマンさんが来るそうだが、未だに来る気配はない。
「あれ、カメラマンさんは来るのかな?」
「時間はそろそろのはずです」
店員さんにアイスコーヒーを頼み、飲みながら待つが、一向に来ない。
何かあったのだろうか、と思っていると、なぎささんが携帯電話を見る。
「……今日は急用が入ったそうです。何でも、逆さ富士の撮影会に参加したとか」
「逆さ富士ねぇ……いや、別にいいんだけど、会議ほっぽってまで行くかな?」
理子姉は少しふてくされたように窓を見たが、その後仕方ないと微笑む。
カメラマンさんが来ないのはいつもの事なのだろうか。
「せっかくだし、どこかに行く?」
「どこにしますか?」
理子姉となぎささんは俺のほうを見てきた。
どこにするって言ってもね、うん。やっぱ大勢で行くとしたら……
温泉街に到着した。
三人で大勢なのかとふと考えたが、ここに転校する前ずっと一人ぼっちだった俺にとっては大人数なのである。二人でもそう言っているかもしれない。
なぎささんは近くにある温泉の予約をしてくれたらしく、あとは時間を潰すのみだ。
「しばらくゲームセンターにでも行きましょう?」
「ゲームセンターって、何やるの?」
「UFOキャッチャーに決まってるじゃん」
なぎささんは無言でうなずく。
俺は理子姉の言うことに従うことにし、近くのゲームセンターに一緒に入った。
相も変わらず、中はがやがやとしている。
「……これこれ」
「かわいいですね」
理子姉が指差したのは、最近流行っているのかよく分からないが、羊のぬいぐるみ。
なんでも、北海道ではかなり有名なキャラクターなんだとか。かわいいな。
なぎささんもぬいぐるみを凝視し、口元をふにゃぁと緩ませている。
「ジンくんのぬいぐるみ欲しい!」
「将さん、お願いできますか?」
なぎささんは100円玉を俺に出しだすと、そっと俺に言った。
理子姉はUFOキャッチャーにぺたりと張り付いていて、離れそうにもない。
「……わかりました」
100円玉を機体に入れ、UFOを動かし始めた。
目指すは、理子姉がさっきからずっと見ているジンくんのぬいぐるみ。取ってやるぞ。
「……」
「……」
「……」
二人はじっと、俺の手元とUFOを交互に眺めている。
ジンくんの顔をちょうど横から挟むように、UFOがジンくんを捕えた。
「落ちないでくれよ……」
ジンくんはUFOに引っ張られ、そのままつつーっと上まで上っていく。
そして横に移動を始めた。
「おおっ」
「あと少しですね」
「ああ」
機体からピョンピョン音がして、ジンくんは見事商品ゲット口に落ちてくれた。
理子姉はそれをばっと取り出し、自分の顔にすりすりする。
「かわいいぃ」
「……理子姉の方が」
「うん? 何か言った?」
「いえ何も」
なぎささんもそれを微笑んで見ている。
とりあえず、ジンくんがゲットできたから良かった。