『凪と雷火! 筋肉を研ぎ澄ます地獄の特訓』
読んでいただきありがとうございます!
シールの回復を待つ間、アルスは王都最強の拳士・サーシャに弟子入りします。
しかし、特訓の内容は想像を絶するスパルタなものでした。
「あんたの筋肉は泣いているわ」
厳しく指導するサーシャですが、アルスの「天然すぎる素直さ」に、
百戦錬磨の彼女も初めての経験をすることに……?
力と技、そして予期せぬ胸の高鳴りが交錯する特訓編、開始です!
[ 舞台:王都・騎士団訓練場。朝日が昇る中、アルスとサーシャが対峙している ]
(サーシャ)
「さあ、構えてアルス。……本気で打ってきなさい。天雷は禁止、純粋な『筋力』だけでね」
(アルス)
「……へっ、いいのかよ。俺のパンチは城壁もブチ抜くぜ? ……(『一撃・粉砕』)!!」
[ アルスが踏み込み、空気を切り裂くような重い正拳突きを放つ。だが、サーシャは最小限の動きでそれをかわすと、アルスの腕に指先を添えた ]
(サーシャ)
「――(『凪・流転』)。」
(アルス)
「……っ!? なんだ、力が逃げる……!?」
[ 自分の放った力がそのまま自分へと跳ね返り、アルスは派手に後方へ吹き飛んだ。受け身を取って立ち上がるが、その表情にあるのは悔しさではなく、純粋な感嘆だった ]
(アルス)
「……すげえな、サーシャ! 今の動き、今まで見たどんな魔法より……なんていうか、めちゃくちゃ『美しい』ぜ!」
(サーシャ)
[ 追撃の手を止め、一瞬フリーズする ]
(「……え? う、美しい……?」)
(アルス)
「ああ! 筋肉の動きに一切の無駄がない。流れる水みたいで、見惚れちまったよ。あんたって、本当に綺麗な戦い方をするんだな!」
(サーシャ)
[ 顔が急激に熱くなるのを感じる。武道一筋の人生、手合わせで『強い』『恐ろしい』と言われることはあっても、正面から『美しい』『綺麗だ』と褒められたことなど一度もない ]
(「……っ、な、何を馬鹿なことを言ってるのよ! 集中しなさい! 隙だらけよ!!」)
(アルス)
「おっと! ……へへ、怒るなよ。本当のこと言っただけだぜ?」
[ アルスは悪びれもせず、屈託のない笑顔を見せる。彼にとっては「筋肉の質が良い」と言うのと同義の素直な賞賛だったが、サーシャの鼓動は特訓の運動量以上に跳ね上がっていた ]
(タイサ)
[ 訓練場の隅で、妹の様子がおかしいことに気づき、ニヤニヤしながら腕を組む ]
(「……ほう。あのサーシャが、打撃のタイミングを僅かに外したか。……勇者よ、貴公はなかなかの策士だな」)
(ルール)
(「解析。サーシャ殿の体温が0.8度上昇、心拍数も不安定です。……アルス、あなたの言語攻撃(?)は、物理打撃よりも効果的なようですわね」)
(アルス)
「え? 言語攻撃? ……よく分かんねえけど、とにかく、その『凪』ってやつ、俺の筋肉に丸ごとコピーしてやるぜ!!」
[ それから数日間、サーシャは照れ隠しのせいか、さらに厳しさを増したスパルタ特訓をアルスに課した。だが、アルスが真っ直ぐな目で彼女を褒めるたびに、サーシャの攻撃は僅かに鈍り、アルスはその隙を見逃さずに『凪』の極意を吸収していくのだった ]
第21話アルスの天然タラシ(?)ぶりが炸裂しましたね。
サーシャさん、武道では最強ですが、こういう真っ直ぐな言葉には耐性がないようです。
さて、特訓はいよいよ最終段階へ。
次回、第22話「再起の双翼! 極限出力と絶対守護の証明」。
ついにシールが戦線復帰! さらに強化された毒耐性と、クライの新技を試すため、ルール監修のもとで「出力試験」が行われます。
勇者パーティー、全員パワーアップの回です!
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