20.5話『雪原の余熱、芽生える絆と新たな課題』
読んでいただきありがとうございます!
無事に「虹色の雫」で一命を取り留めたシール。
極北の聖地からの帰り道、吹雪が止んだ銀世界の中で、
救われた泥棒と、救った魔導士の間に、何やら温かい空気が流れます。
一方、その背後でアルスの戦いを見つめていたサーシャは、
ある「致命的な欠点」に気づいていました。
第21話の特訓編へ続く、嵐の前の静けさ(?)をお楽しみください!
[ 舞台:聖地からの帰り道、穏やかになった雪原。タイサの背で、アルスがシールを抱え、その後ろにクライが寄り添っている ]
(シール)
「……ねえ、クライ。さっきの、精霊の前で言ったこと……本気?」
(クライ)
[ 顔を一瞬で真っ赤にして ]
(「ふぇっ!? あ、あの、それは……必死だったというか、その……! 嘘じゃないですけど、でも……!」)
(シール)
[ 珍しく少し顔を赤らめ、視線を逸らしながら ]
(「……ふーん。まあ、アンタみたいな泣き虫に『いないと困る』なんて言われたら、こっちも勝手に死ぬわけにいかなくなるじゃない。……責任、取ってよね」)
(クライ)
「せ、責任!? ぼ、僕がシールさんの人生を……!? はわわわ……!」
[ 慌てふためくクライの手を、シールがマントの中からそっと握る。手袋越しでも伝わる熱に、二人は言葉を失い、ただ静かに雪景色を見つめ合った。……まだ「好き」とは言えないけれど、二人の距離は、極北の寒さを忘れるほどに近づいていた ]
(ルール)
(「観測。二人の心拍数が異常上昇していますわ。……病気かしら? それとも、これが人間特有の『ラブコメ』という不合理現象ですの?」)
(アルス)
「……おい、ルール。野暮なこと言うな。筋肉にだって休息が必要なように、心にも栄養が必要なんだよ」
そんな微笑ましい光景を、最後尾で歩いていたサーシャはじっと見つめていた。正確には、シールを抱えるアルスの「歩き方」を。
(サーシャ)
(……間違いないわ。アルス、あなたの力は確かに規格外。でも……)
サーシャは隣を歩く兄、タイサにだけ聞こえる声で呟いた。
(サーシャ)
「兄様。アルスは確かに強い。けれど、彼の戦い方はあまりに直線的すぎるわ。ゼノ戦も、兄様との決闘も、結局は『出力』で押し切っただけ」
(タイサ)
「……ほう。武術の天才であるお前から見て、そう思うか」
(サーシャ)
「ええ。今のままでは、次に現れる四天王……技と知略を極めた者には勝てない。……王都に帰ったら、私が彼を叩き直すわ。この『凪』の極意、その筋肉に刻み込んであげる」
[ サーシャの瞳に、厳しくも熱い教育者の光が宿る。何も知らないアルスは、雪山を降りた後のメシのことだけを考えていた ]
第20.5話、いかがでしたか?
クライとシール、もう付き合っちゃえばいいのに!というもどかしい距離感。
そして、ついにサーシャがアルスの「技術不足」を指摘しました。
力と雷だけで突き進んできたアルスに、サーシャの「繊細かつ鋭い武術」が合わさったらどうなるのか?
筋肉×技術のハイブリッド勇者が誕生する予感です!
次回、第21話「凪と雷火、筋肉の共鳴特訓!」。
いよいよ王都での地獄の特訓がスタートします!
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