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「スキル『ネットショップ』の落とし穴」ー化調

 

 佐藤翔太は目を覚ますと、見知らぬ草原の真ん中にいた。周りには見渡す限りの緑と、頭上には青空が広がっていた。


「ここは...異世界?」


 突然の状況に戸惑う翔太だったが、すぐに自分に宿った不思議な力に気づいた。それは「ネットショップ」と呼ばれるスキルだった。現代の商品を異世界で入手できるという、まさに夢のようなチートスキルだ。


「よっしゃー!これで大儲けだ!」


 翔太はニヤッとした。


「異世界の連中は現代の便利なもの知らないだろ。カップ麺とか持ってきて、貴族に高く売りつけてやる!」


 早速、翔太は胸に手を当て、心の中でネットショップを開いた。そして、お気に入りのカップラーメンを注文。瞬時に、熱々のカップラーメンが目の前に現れた。そして、手早くチーズとベーコンをのせてバーナーで軽く(あぶ)った。


「よっしゃ、これで...」


 その時だった。遠くから馬の蹄の音が聞こえてきた。草原の向こうから、重厚な鎧に身を包んだ騎士たちがゆっくりとこちらに向かってくる。


「おい、そこの者。何をしている?」騎士団長らしき人物が翔太に声をかけた。


「あ、あの...私は商人でして」翔太は慌てて言い訳を考えた。


「商人?」


「はい、そうです。遠い東の国から来た商人です。珍しい食べ物を売りに来ました」


 騎士団長は眉をひそめた。


「ほう、それは興味深い。その珍しい食べ物とやらを見せてもらおうか」


「はい、もちろん!」翔太は意気揚々とカップラーメンを差し出した。


「これは私の自信作、その名も『チーズベーコン塩ラーメン』です!」


 騎士たちは怪訝な顔でカップラーメンを受け取り、かき混ぜて恐る恐る口に運んだ。


(ふふふ...どうだ)


 翔太は自信満々で騎士たちの反応を待った。


 しかし、騎士たちの表情が突然曇った。


「な...なんだこれは?」

「舌がピリピリする...」

「喉が焼けるようだ...」


 騎士たちの間で動揺が広がる。化学調味料を知らない彼らにとって、この味は明らかに異常なものだった。


「こ、これは毒か!?」騎士団長が叫んだ。


「こやつ、我々を毒殺しようとしたのだ!」


「えっ?ちょ、ちょっと待って!」翔太は必死に弁解しようとしたが、騎士たちは聞く耳を持たなかった。


「捕らえよ!」


 あっという間に、翔太は騎士たちに取り押さえられ、手枷をはめられた。


「ちょっと待ってよ!これは誤解だって!」


 翔太の叫びも空しく、彼は騎士たちに連行されていった。草原には、転がったカップラーメンだけが残された。


 その日の夜、城下町の牢獄。


「まさか、カップラーメンで捕まるとは...」


 鉄格子越しに月を見上げながら、翔太はため息をついた。異世界でぼろ儲けする夢は、想像もしなかった形で(つい)えたのだった。

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