01-13.元連隊長、連隊長を守る
「高級軍人の自決シーンなんて、なかなか生では見ることができないイベントですね」
関心のなさを装うような口調で、刈谷は言った。
「それに加えて、そこらの量産型アイドルよりも綺麗なんだから萌え的にも結構ポイントは高い。そういえば、中身は53歳でしたっけね。いささかマニアックではありますが」
軽薄な調子で刈谷は言ったが、内心はとても興奮しているようだった。
その目は期待を込めるようにぎらついて、異世界風のズボンの中央がわずかに盛り上がっていた。
「さあ見せてもらいましょうか戸田冴子さん。サムライ・ガールの死にざまというやつをね」
「そんなことはさせない!」
タモツは連隊長に近づき、拳銃を取り上げようとした。
「無駄ですよ。拳銃に触れたとたん彼女は引き金を引いてしまうでしょう。後味の悪い思いをしたくないならそこで黙ってみていることです」
刈谷はせせら笑った。
「どっちにしても死んじゃうんですけれどもね。いやでしょう? 自分がきっかけで引き金を引かれたら」
(くそっ、いったいどうしたら……)
戸田冴子連隊長の真正面に立って、タモツの頭は真っ白になった。
何か強烈な精神的ショックでも与えられたら、呪詛によるコントロールを打ち破れるのだろうか?
――気が付いたら、やってしまっていた。
タモツの両手は、戸田冴子の両胸の上に置かれていた。
「――っ!!」
戸田2佐は信じられないという表情をして、思わず拳銃を取り落とした。
げしっ!!
それから、戸田はタモツの左ほおを思い切りグーでなぐった。
(痛いっ! 本気で痛いっ!)
「失礼しました、連隊長っ!」
タモツはよろめきながら言った。
「セクハラで呪詛を破りましたか。ハハッ! 見世物としてはなかなか面白かったですよ」
刈谷は哄笑しつつ、異空間の中に消え去った。
「またお会いしましょう、戸田さん、沖沢さん」
という言葉を残して。
ひとまずはだが、撃退したといえるのだろうか……?
戸田2佐が思わず取り落とした拳銃を拾い上げ、安全装置をかけて念のため弾丸も抜いておいた。
「……大丈夫ですか? 連隊長」
戸田冴子は顔色を紅潮させ、タモツを怒鳴りつけた。
「私の貴様への信頼ポイントは、さっき53点下がった!!」
戸田2佐は興奮気味の様子で部屋を出ていこうとしたものの、ふと気づいて立ち止まった。
「どうして私が自分の部屋から出ていかなければならないのだっ! オキザワーッ!!」
ますます顔を真っ赤にして喚き散らした。




