ベルドラにて
繁忙期再び・・・
数日後、なんとか師を退けるのに真っ白になったヘイホーとハナを伴い、ベルドラへ向かう。
「絶対に交代しに来いよ! しなかったらほっぽりだすからな。タツヤ様、他の講師を雇ったら私も行っていいんだよな?」
「ヘイホーめ、わしと引き分けるとは成長したわいこの学校でお前を脅かす生徒を育て、送り込んでやる」
「マリアお嬢様いってらっしゃいませ。お嬢様の留守は私達が守ります。ヘイホーさん、お嬢様を不幸にしたら殺しますよ。ヘイポーちゃん!! いつでもくるんですよー。あなたは私たちにとって孫みたいなものだからね」
ヘイホーとハナは、怨嗟のこもった言葉を吐き出す新しい講師たちに見送られた。僕らは普通に盛大に見送られた。リリにお忍びと言うのを教えようと思う。
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何日かして、俺たちはベルドラに着いた。
街の中の方のオールインはある程度形になっていて、ふと見るとアルが手配してくれたフィフスの従業員が、教育をしている。
「みんな長旅お疲れ様、僕はクランの方に顔を出してくるからみんなはこの改装途中の宿で休んでて。家具も入ってるみたいだし、話は通しておくから」
「厨房はどこだ? 俺はベルドラの宿の料理人を見てくる。あと料理がしてえ。早く。料理が!」
「あら、ヘイホーが働くなら私も作法の長として、従業員の指導でもしようかしら。あのフィフスの人指導が荒くて厳しいのよね。誰かの指導法に似てるわ。ねぇタツヤ様」
貴婦人の微笑みで、僕にそう言うマリア。
フィフスでも、軍曹のように教えたから、フィフスから来た指導員も僕に寄ったんだろうな。
ヘイホーは料理バカだったが、指導もしてくれるならありがたい
。
あとは各々みんなくつろいだりしてるので、僕はクランへと向かった。
僕は真っ直ぐにサブギルドマスターの部屋に入る。
「アル、久しぶり。ただいま。どう? 進捗は。宿の方まで手伝わせて、ほんとにごめんね。特別手当つけるから」
「金より休みを下さい。ハハ」
あっ、これほんとにやばい時のやつだ。異世界ブラックを変えてやると思ったのに、身近な人をブラックの被害者にしてしまった。
「わかった。しばらくクランと宿関係は僕がやるから引き継ぎだけ頼む。あと、本当にごめんなさい」
「はぁ、ギルドは魔の森支部が認可されました。今は宿の建設予定地までの街道を作っています。
それでドワーフの方から報告が来てまして、森の開拓中に、妨害をされているという話です。そちらの解決依頼が、来てますね……って私、休んでいいんですか!!」
「え? うん。最近は週休取れてなかったでしょ?
どれくらい休む? 10日位にしてくれると助かるけど。もちろん有給にしておくから」
「有給! 10日? 私を騙そうとしてもダメですよ。どれだけ仕事が溜まってると思うんですか!」
「う、うん、僕が連れてきたメンバーもいるから大丈夫だから、ゆっくり休んでね」
うわ言のように、嘘だ有り得ない。と呟くアルを休ませて、僕は執務に移る。たまたま後任に据えたアルが有能すぎたけど、もっと補佐をつけるようにしよう。
その後は、冒険者ギルドに挨拶に行き、魔の森ギルド申請の際に2公爵家の推薦があってスムーズに通ったことで、「お前何もんだ?」みたいな扱いされたけど、トーレスと、マリアの縁者だから僕のせいじゃないし、まぁ気にしないでおこう。
マリアやヘイホー、そして他のメンバーも指導に当たってくれたことにより、近隣の村から来ていた新規従業員達も順調に育っていく。
フィフスの街から来ていた指導担当が、マリアに凹まされたのは少しかわいそうだったけど。
さて街道整備も始まり、魔の森を切り開いて数日経った頃事件は起こった。
「タツヤ様大変です。宿の開発に反対する魔の森に住む種族が、魔術で妨害を始めました!!」
トラブルを引き寄せるのは自分なのではと、疑い始めた最近だが、どうやら今回も簡単にはすまないらしい
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