第二話 皇帝の飲み物は異世界でも最強です。
1日1話は頑張りたい。
「C級パーティ『赤き翼』のレオナルドだ。ゴブリンの巣の調査で、300以上のゴブリンに襲われた。町まで来るかもしれない。上位種もいる。仲間がやられた。エクスポーションは無いか?」
俺を乗せてくれた鎧の男レオナルドが衛兵に詰め寄る。
ハイポーションまでしかないと言われてすぐに検門を抜ける。
ギルドと呼ばれる場所に向かい、検門と同じ事を報告する。俺は待っている間ここまでの極度の緊張でどうにかなりそうだったので、気分を落ち着かせるためにカバンに入っていたお茶を飲んでいた。
ここにも目当てのポーションは無かった。
「誰か、エクスヒールを使える奴はいないか? エクスポーションでもいい、金は必ず払う。誰か、誰か‼︎」
レオの呼びかけに応える者はなかった。途中で降りた僧侶っぽい奴も教会に救いを求めにいったが、恐らく駄目だったのか、ギルドに入ってきた。
長耳の女性はギルドで通された奥の部屋のベッドに横たわり息も絶え絶えであった。ハイポーションとかいうのも傷口にかけたりしているが焼け石に水のようだった。
悲壮な顔のレオナルド達、そこで俺はあることに気づいた。今の俺は周りが見え過ぎている。勿論人の死に目にいて気分が凪ぐわけなどない。さっき迄の緊張が嘘のようだ。
最初に掴まれた時の肩の痛みも和らいでいる気がする。
よく回る頭で考えて、ある事に思い至りバッグの中を漁り、あるものを見つけた。
「なぁ、レオナルドだっけ、このままだとこの子死んでしまうんだよな?」
落ち着いて話す俺に諦めたと思ったのか、やり場のない怒りをぶつける様にレオナルドが俺に詰め寄る。胸倉を掴む勢いだ。
「お前‼︎ ふざけるっガボッ」
レオナルドの口にハーブティのペットボトルを突っ込んだ。彼はむせながら、抗議をしようとするが
「何をする‼︎ ……んっ?いやすまない」
鎮静化の即効性に驚きつつ、小さな外傷が治っているのも確認した。そして確信する。恐らく俺の世界の物は、効果がかなり増大している。
「保証なんて無いし、治る確率の方が少ないと思う。でも俺も助けたいから、治らなくても許してな」
そう言って俺はユンケ○スター黄帝液(一本4000円)を出血している傷口に垂らした。傷口からは煙が立ち、瞬く間に塞がった。
パーティメンバーからの感嘆の声があがるが、達也は依然として苦しそうな彼女を見る。内臓や骨もやられているのだろう。
出血もかなりしてたしな。だがまだ半分以上あるし、今度は口から飲ませようとしたが、もう飲み込む力がなく吐いてしまう。悪い言い方だがテンプレだ。
「お前ら絶対弁護してくれよな。医療行為だって。この娘、綺麗だけどなんか気が強そうだし」
不思議そうに達也を見る赤き翼のメンバーを横目に、達也は口にユン○ルを含み口移しで残っていた分を全て飲ませた。
数秒の間、彼女の体の内側から発光し光が消えるとそこには血色が良くなりすやすやと寝息を立てる美少女がいた。
今度こそ周りからは安堵の息が漏れ、達也自身安堵した。そして大きく息を吐くとクラっと来た。今日は色々あったな。元々疲れてたんだよな。22連勤だったし。残業140時間超えてたし。
とりあえずこれだけしたんだし、こいつらが助けてくれる事を祈ろう。
何なら全部夢だといいな。そんな事を思いながら達也は意識を手放した。
前書きとか後書きって自分で読んでて読み飛ばすのに、いざ書くとなると書いていないと落ち着かないものなんですね。
コピペをするくらいなら書かない精神はもとう。