二章 エピローグ
本日2話投稿予定。
今後のことも書くので後書きを読んでくれると嬉しいです。
「あの、アメリア……さんこれからちょっと出掛けないか?」
「ひっ?えっ?しょっ、しょうがないわね。ちょっと待ってて、準備してくるから。急に言われても困るのよね。女の子は色々あるのに」
「えっ、じゃあやっぱり今日は無しにする?」
「そんなこと言ってないでしょ⁉︎待ってなさい30分で準備しちゃうから」
どうやら俺のスマートなお誘いは配慮が足りなかったようだ。地球の時もホテルの勉強ばかりでそんなに女性経験豊富じゃなかったしな。えっ?魔法使い?支援術師だよ今ホテルマンだし。なにそれ?まだ30になってないし。全然ちげーし!
「お待たせ。遅くなってごめんね」
「いや、待ってねーし!」
「なにその口調?」
笑われてしまった。お前らがチェリーとか言うから、口調が引っ張られてしまった。俺はゆっくりとアメリアを見て、初めて見るタイプの私服に目を奪われた。
「なによ?マリアさんが選んでくれたけど変かしら?似合ってない?」
「いや、似合ってるよ。行こうか!」
いつものアメリアは魔道士のローブの様な冒険者服か、私服もTHE・森の狩人エルフなタイトなタイプのパンツルックだ。それが今は膝より少し上でヒラヒラとしたタイプのスカートを履いている。
俺は町で1番雰囲気のいいと思う喫茶店でお茶兼軽い食事を取る。ポケットには小箱を潜ませている。喉がカサカサになってうまく喋れない。
「それで、レオとソフィアがなかなか進展しないから私がこのファスト行きを提案してあげたのよ。思ったより良い所でよかった……ちょっと達也聞いてるの?」
「あぁ、悪い悪い。お前らが来てくれて嬉しかったよ。もうお別れだけどな」
アメリアが俺の返事を聞いてしゅんとする。寂しがらせてどうする。
なんだこの緊張?受験、就職、高校生の時の好きな人への告白、そのどれも緊張はしたけど、今ほどじゃ無い。歳を取ると勇気が減るのか?
そう言う事じゃ無いな。俺はそれだけアメリアの事を好きになっていたんだろう。相手の自分への好意がわかっていてもこれだけ緊張するんだからな。
「ねぇ、次はどこへ行くの?楽しいけどもう鐘が2つは鳴ったわよ」
「あ、あぁ。取り敢えず、まだ案内してない良いところにでも、連れて行こうと思ってな」
「なんか、今日のタツヤは可笑しいね。でも任せるわよ」
ふんわりと笑うアメリアに俺だけじゃ無く喫茶店全体の客が見惚れた事だろう。
その後もムードのいい場所を巡ったりしたが進展は無かった。ほんの少しの勇気が、出ないもんだなー。
「タツヤ様、今日の貴方は何かを決意している様に見えます。もし私の勘違いでなければ、そして思う様にいかなかった時は、19時ごろに湖の近くの街道を左に入る小道がありますので、そこに行ってみてください」
俺は今朝マリアにされたアドバイスを思い出す。時間は18時過ぎ。今から行けば丁度いいかそんな所に何があるかもわからないが、今のままとか、夕食を取って酒の勢いで、とかよりはずっといいと思い、アメリアに提案する。
「なぁ、お前と行きたい場所があるんだけどちょっと歩くけどいいか?」
「冒険者の体力舐めてるの?引退した支援術師よりは体力あるわよ」
軽口を叩きながら俺達はマリアに聞いた場所に向かった。そこに着くと湖の支流なのか、小さな池がありその周りには花が咲いている。
「あっ⁉︎」
「あぁホタルか」
水辺に咲く花の周りを蛍が舞いその近くで絶世の美女は、少女の様に微笑む。なんて幻想的な風景だろう……いや見惚れてる場合じゃ無い。
「ア、アメリア!……」
「どうしたの大きな声出して?ホタルって言うの?初めてみたけど綺麗ね。逃げちゃうわよ」
「アメリア」
「だから何よ?言いたい事あるなら言いなさいよ。……待っててあげるから」
アメリアがふんわりと微笑む。それから数分が過ぎても俺の頭の中は真っ白だったので、俺はポケットから小箱を出した。
「コレ、お前に」
「珍しいわねプレゼント何かしら?」
箱を開けて2つはいった指輪を見せるワイルダートレントという木の魔物の素材にアメリアの瞳と同じ碧色の宝石をつけたものだ。
「前に言ってただろ?エルフの風習で結婚を申し込む時は木の素材の指輪を男性が送るって。俺の国では、左手の薬指に男女が同じ指輪を付ける風習があって。その、つまり……」
「大丈夫。ゆっくりでいいから最後まで聞かせて」
涙を溜めながらアメリアが言葉の詰まった俺を待ってくれる。ここで言わなきゃ男じゃ無い。俺は拙い言葉を紡いで発した。
「俺と結婚して欲しい。必ず幸せにするから」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
達也はアメリアの薬指に指輪をはめ2人は抱き合って涙を流した。
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「ねぇ、正直に答えてね。貴方ララの事はどうするつもり?さすがの貴方でもわかるわよね?」
「ゴホッ!」
町に戻りディナーを取っていると、アメリアがとんでも無い事を聞いてきた。確かに流石の俺も気付いている。アメリアがいなければあの子の気持ちに答えたかもしれない。だがそれは仮の話だ。そんなたらればは無い。
「勿論その時が来たらキッパリと振るよ。プロポーズした、日にそんなこと聞くか?」
「じゃあ嫌いなの?貴方の普段の態度からはそういうふうに見えないけど。正直に!」
怖い。俺この答え選択ミスってら死ぬんじゃ無いか?
「好きか嫌いかで言ったら好きだよ。でも、俺にはお前がいる」
「それは、私がいなかったらララの事をどうにかしてたと言うことかしら?」
俺間違ったのか?いや、でも正直にって言ってたし。そんな事を思っていると、アメリアが息を吸ってそして大きく吐いてから、言った。
「婚約はOK。ずっと好きだったしね。でも貴方はララの気持ちにも答えなさい!」
「はっ⁉︎何言ってるんだ?お前ハーレム作る奴とか大嫌いって言ってたし、何よりララがそんなこと言ってくるわけ……」
「ハーレムは嫌いよ。でも私は冒険者を続けるし貴方はまだまだ世界に宿屋を作るわけでしょ?すぐには結婚出来ないわ。そうなると私が信頼で来て尚且つ貴方のことを好きな人お目付役が必要になってくるのよ。それにララとは話がついてるわ」
えっ?なんの話?俺の婚約者が既に主導権を握っている件について。
「はい!この話はこれで終わり。この条件は呑んでもらうからね。今日は私だけの貴方なんだから、まだまだ楽しませてよね」
「かなわないな。今日は酔っ払っても朝まで付き合うよ」
「何言ってるの?今日はもう飲まないわよ。朝までは付き合って貰うけど。勿論部屋を取っているのよね?」
あれ?これ俺が言わなきゃダメなセリフじゃね?そして部屋は取っていない。俺の嫁はエロフだったのか?
俺はトイレに行くフリをして、食堂から1番近い宿にセルフサポートをかけて走り1番いい部屋を取って何事も無かった様にに戻って来る。
「準備して無かったのね。これだからヘタレ童貞は」
「童貞じゃねえし、そんな悪い言葉どこで覚えたんだよ!」
「えっ?違うの?前の世界でそう言う事を?」
「……してません」
俺達はそんな不毛な会話を楽しみ、宿屋に行き、こんな時こそ自分の宿のスイートルーム使いたいよと思いながら同じベッドに入った。
「大丈夫。お姉さんに任せて天井のシミを数えてる間に終わるから」
「ちょっ?それ、俺のセリフ!」
最初は経験豊富なアメリアの言動にショックを受けていたが、結局アメリアも知識だけで初めてだった。ともかく俺達は甘い時間を過ごした。
朝帰りした俺達は散々冷やかされて。その後ろでアメリアとララが硬く握手をして話していたのは見ないことにした。
S級を目指す赤き翼はベルドラに戻り、俺は次の町の新しいホテルの出店やコンセプトについて考え始めた。一度別れてしまったが寂しくは無い。また会えるし。それに俺たちの道はいつか交わるものなのだから。
取り敢えず二章終わりました一章からのヒロイン候補無事成就。三章はもう少し考えて書きたいなと思ってます。書きたい閑話が溜まってるので、少しの間三章の構想しながら、閑話書きます。Twitter始めたのでそこや活動報告に、三章始める時また書きますね。
今後とも暴れゴリラを見守ってくれると嬉しいです。
ここまで読んでくれた皆様本当にありがとうございます。
Twitter→@Abagori1 名前は暴れゴリラです。




