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第13話 炙り出しは簡単でした。

お待たせしました。物語が動き始めました。


サウナ開始から1ヶ月、宿はなんと、9割稼働を維持している。娯楽の少ないこの町では、新しい娯楽としてサウナブームが来ている。

季節も7月という事で、同じく宿泊者限定のミニビアガーデンを設置したところ、これも当たった。


タピオカやチーズダッカルビのようにならなければ良いがと心配しながらもやっとほぼフル稼働の、宿に満足している。


どちらかといえば最近は別の問題が起きている。嫌がらせだ。


「ご主人様、今日は猫の死骸が宿の前に。壁に血もついてました。至急掃除をします」


「わかった。その件は僕が何とかするから宿の方に集中して。今はリピーターのお客様が増えていて1番大事な時期だから」


「おやおや、サウナなどという姑息な手段で、うちからも客を奪っている卑劣な宿屋の壁が随分と汚れてますねぇ。天罰かなぁ♫」


久しぶりにコンマンが登場した。(他の宿屋が何も言ってこない中、嫌がらせが始まって嫌味を言いにくるとか、もうあなたが犯人ですよね?)そんな言葉を飲み込みながら対応する。


「これはコンマンさん、1時期はお客様を紹介してくださりありがとうございました。あの時の方々がうちの長期滞在の3割程度を担ってくれていて。本当にその節はお世話になりました」


「なっ?あの浮浪者たちが?そんな馬鹿な……んんっ!いや同じ宿屋としてお役に立てれば嬉しいですよ」


「えっ!浮浪者⁈」


やっぱり浮浪者と知っていてやっていたか。皆では無いが再起をはたして、拠点をうちの宿にしてくれた人は多いのだ。リアルに「情けは人の為ならず」を体験したよ。ザマーミロ。


「まぁ、嫌がらせには困ってしまいますよ。明後日からベルドラの方まで行か無ければならないのに。何かあったらコンマンさんを頼れと言っておきますので、お願いしますね」


「ほう、ベルドラへ。早馬で行っても片道4日はかかりますなぁ。わかりました同じ宿屋のよしみでこの私が見ておきましょう」


見ておきましょうか、本当に面の皮の厚いことを言う。まあこんなあからさまな餌には食い付かないだろうが、一応布石だ。まぁ宿屋対決をしているわけでは無いし、こっちが潰すって思ってるだけだから。しかし何でこいつはこの宿に嫌がらせしてくるんだろうな?


どちらかというとヘイホーなのか?最初にヘイホーを騙そうとしたのが発端だからな。

まぁいい、前の世界よろしくカラ出張の準備に入ろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「それじゃあ10日くらいで帰ってくるから、頼んだよ」


「うぅ、なぜロキは良くて私はお留守番なのでしょう?……わかっています。ロキは宿に関わっていなくて今は忙しくてギリギリだから。うぅ」


「ほら!いい女ってもんは男を待つ港になるもんだよ!笑って送り出さなきゃ!」


「はい……ご主人様の帰りを心からお待ちしております」


あっ、久しぶりの宿屋のおっかさんモードのマリアだ。ほんと女優みたいだよな。ララはなんか最近凄いよな。まぁ縋られないだけましか。そんなことを思いながら、早馬で出発した。


俺はロキを馬の後ろに乗せ、半日ほど走った所で鷹の目と並列視野を広げた。


「2人か?って言うか、俺は殺されるくらい恨まれていたのか?あの町に暗殺ギルドは無いはずだが……完全に尾行だな」


「えっ?」


「いや何でも無い。今夜はこの辺で野宿かな?ロキ、獲物を狩って来てくれ。俺は支援魔術師だし戦闘力がないからな」


「えっ?でも兄ちゃんは……」


「いーから!」


不遇職アピールも、これでOK後は何が目的か?ロキが離れると、少し僕に近づいてくる。50メートル40.30.20


「セルフサポートアンドパーシャルサポート(足)」


おおよそ支援魔術師の速さでは無い、速度の達也が鉄杖で2人を突く。バレてはいまいと油断していたようであっさりと当たり2人は昏倒した。手際良く縛り上げて、意識が戻るのを待つ。


「ただいま〜猪が取れたって、うわ!何これ?」


「あぁお帰り。食事にしようか。ロキは食べるの初めてだよね?人って旨いんだよ」


狸寝入りをしている、尾行者2人に聞こえるように、言うとすぐに目を見開き暴れ出した。ロキは呆然としている。


「助けてくれ!何でもするから食べないでくれ!!」


「雇い主は誰?目的は何?」


「……」


「えっ人?食うの?」


黙る2人の鼻をつまみ口を開けさせ、食事準備のフリをしていた時に作った雑草で苦味を加えたお湯を飲ませた。


「今のは特製の毒薬だ。2日以内に解毒剤を飲まなければ体が腐り最後は死ぬ。依頼主の事を喋らないのは一流だ。そのまま矜恃を持って死んでいってくれ」


「雇い主はコンマンだ。目的は尾行。引き返そうとしたりすれば軽く痛めつけろと言われている。早く解毒剤をくれ!」


ちょろい。もう聞くことはないが、もう一仕事してもらうか。


「馬鹿か?自分を痛めつけようとした人間をそのまま返すわけないだろ?お前は帰ってコンマンに引き返そうとした俺を殺してしまったと報告しろ」


「そんな⁉︎」


「後、冒険者だろ?カード預かるよ。偽名とかめんどくさいからな。へぇ。Cランクか。真っ当に、してればいいのに。そもそもギルドは何でこんな依頼を?偽装か闇営業ってやつか?」


ギクギクって、擬音が鳴るようなリアクションをして2人の冒険者は項垂れて諦めた。


「さぁ、俺はゆっくり帰って宿に隠れるか。おいお前らはさっさと行けよ!ロキはコイツらが逃げないように見張って帰って」


まぁギルドカード持ってるし、反抗しても、尾行特化で斥候系の戦闘職じゃない奴等だから、ロキで返り討ちにできるしな。

さぁ、どうやってコンマンを追い詰めるか考えないとなぁ。流石に初日からは仕掛けないだろうけど。

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