第5話 異世界ブラック半端ないって‼︎
遅くなってすみません。
はちじかんしふとせいしゅうきゅういちにちですか?」
絶対にわかってない感じでララが復唱してくる。時計の文化はあるのだが、あれは富裕層や高位の冒険者が使う物だが例外はある。
「教会の鐘が8回なったら8時間だよ。昼働く人と夜から働く人に分ける。夜遅くなると鐘は鳴らないから、代わりに時計という時間を知らせる物を宿に置くから。それ以上は働かなくていい。働いてもらう場合は追加で給料を出そう」
教会の鐘は魔道具で、村までも届く様になっている。と言っても馬鹿でかい音なわけではなく受信スピーカーの様なものが各村に設置されているらしい。この世界は大体日給だったり月給だ。時給換算というのが馴染みがないのだ。まずそれを定着させる。そして俺は時間とシフトの説明をする。
早番8:00-17:00 ご飯休憩1時間
遅番17:00-2:00 ご飯休憩1時間
厨房6:00-9:00-11:30-13:30-18:00-21:00
厨房はバインが1人でできるまでは、少し変則だが苦労してもらおう。希望次第で、希望休みや早番ー休みー遅番という2日近く時間が取れるシフトにも対応するホワイトっぷりを見せようと思う。まぁ、今は週休1日なのでホワイトを名乗っていいのかわからんがいずれは目指せ完全週休2日だ。ちなみに1年は350日で定められている。
「あの、その時間?が終わったら何をすれば良いのですか?あと、休日と言うのは何をすればいいんですか?」
「えっ?、仕事が終われば休めばいいし何しててもいいよ。休日には体を休めたり、ショッピングにも行ったりどこか違う所にご飯を食べに行ってもいいだろうしリフレッシュしてくれれば何でもいいよ。あと俺は仕事の事はあんまり考えないでいてくれると嬉しいかな」
笑顔で答える俺に「はぁ……」とまだわからない顔をしている。
村から来た人達は町で働いているヘイホーまでもが首を傾けてキョトンとしている。お前のキョトンは可愛くないぞ黒髭危機一髪みたいな顔して。
「ちょっとみんな今までどう言う生活してたか、説明してみて。ヘイホーも」
「えーと、朝一番の鐘が鳴ってから暗くなるまで農地で仕事をします。暗くなったら家に帰り、家では植物のツタを使って履物や鞄を作ります。家長が寝ていいと言うまで作ります。村の人は大体こうですよ。雨が強い日はツタをおるだけなんであまり疲れないんですよ!」
「俺は忙しい時は仕事で、客が少ない時は休めるかな。食堂は酒場も兼ねていたから、そっちはまぁ俺も飲んだりしてたし、休んでたみたいなもんだよ。へへっ!」
マジかよ。2人とも笑顔で言うけどヤバイな。宿屋は多少下調べもしてたから、休み無いし子供も手伝ってるのは知ってたけど。
極貧の村が本当にやばい……それだけ働いても満足に飯も食えないなんて。
俺が週に一回は必ず休み、仕事の後は自分が好きにしていい時間ということを改めて説明し理解させた。奴隷とは違うから休みには家に帰ってもいいとも伝えた。
「あの……ご主人様のお世話はどうすれば?」
「んっ?俺は貴族様でも無いし1人でできるから大丈夫だよ」
「それもなのですが……あの、夜とか」
「ララ、リリ、ルル、君達は奴隷とは違うんだよ〜俺言ってるよね?村長から聞いてないの?そんな顔して言うような事はしなくていいんだよ」
悲痛そうな顔をして代表して言ってきたリリと、他の3人にも達也が嘆く様に伝えた。
「あの、村長様からも両親からも、タツヤ様に気に入られるように何でもしてこいとしか」
尻を抑えながら同じく悲痛な顔をして頷くバイン、よせ俺にその気はない。
とりあえず時間ができたら、村長に余計なことを言ったら2度とあなたの村には来ないと言っておこう。
「みんなに言っておく、休みはとても大切なんだ。冒険者だって冒険の後は宿で休んだり酒を飲んだりするだろう?それと同じでどんな仕事にも休みは必要なんだよ。休まないと体は平気でも心が疲れてしまう事がある。心が疲れると何もできなくなる時がいずれ来る。だからしっかりと働いて、しっかりと休んでくれ」
「「「ハイ」」」
実感のこもった達也の言葉に一同から真剣な顔で返事があり達也はさらに付け加える。
「俺から雇用主としての要望は3つ
1つ、怠慢にならず一生懸命働くこと。
2つ、自分の意見やアイデアは言うこと。
3つ、嫌なことは嫌と言う事。
それで気持ちよく働いて行こう」
「「「はい」」」
全て言い終わると気持ちのいい返事と表情が返ってきた。違うと思うことは俺にも言ってきていい。俺はイエスマンが欲しい訳じゃない。前世で社長の経験やホテルの経営をしたこともない。
みんなでいい宿を作っていこうと思う。
そうして食事会と言う名の初ミーティングが終わった。
俺のとびきりに長い1日も終わった。改装が終わるまであと8日間1日1日を大切にしていこう。
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「明日からのタイムスケジュールも練らないとな」と筆を取ると、そのまま机に座ったまま寝落ちしてしまう、いまだ自分自身からブラック気質が抜けない
達也だった。
私はそこそこにギャンブルが好きなのですが、意外と、自粛でパチンコ店行かなくてもやってなくても大丈夫ですね。こう言う時に本当にいるものいらないものが見えてくるのかも。73歳の元職場同僚の、パチンコ中毒のおばあちゃんに聞いたところ
「毎日右手が疼いてしょうがないよ」と言われ、70代のある意味厨二発言の様なものに爆笑しました。