表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

第七話 文化祭最終日




今日は文化祭最終日

昨日、担任にコインケースを預けて交代要員が来なかったことを伝えたおかげで、交代要員たち三人と田中七海が担任に締め上げられた。

交代要員たちは 田中七海にはめられたとか色々先生に言って罰を逃れようとしていたが、時間になっても店に来なかったのは事実なので、三人の言い分は通らなかった。

罰として四人はクラウンゲームの参加資格を取り消されることになった。

昨日、大変だった俺達三人は店に立たなくていいと言われ、今日一日遊び放題だ。

だけど昨日と違い今日は一般公開…人が3倍位もいるんだよ。

もう兎に角人が多くて出店に並ぶのも一苦労だ。

そう言えば今日は修斗に一度も会っていないな。

鈴木たちと一緒に修斗のいるバスケ部を覗いてみると、もー黒山の人だかりで高いとは言えない身長の俺には何をしているか全く見えないよ。

出し物は確か、フリースローの回数で景品を貰えるようなことを修斗に聞いていたが……

修斗の人気ってこんなに凄いの??

それとも景品が凄く豪華なのか???

これはどう考えても……

「無理!! 絶対無理だよ、コレ!!」

俺は心の声がそのまま口から出た。

余りにも長い列で並んでいるだけで体力が削られそう……並ぶ気も失せる。

体力を温存しないと、だって今日は待ちに待った「クラウンゲーム」の日なんだから。

「言えてる。後夜祭に体力を取っておこうぜ。」

「ああ、そうだな、やめておこう。」

鈴木と佐藤も俺の意見に同意して、くるりと踵を返しバスケ部を後にする。

ニコッと笑って佐藤が聞いてきた。

「そう言えば、ナギ 王様になったら願い事は何にするんだ?」

「えっ!? 俺?俺はまだ決めてないよ。鈴木と佐藤はもう決めてんの?」

俺の言葉に喰い気味に鈴木が得意気になって大きな声で話しだした。

「そりゃあ、決めてるよ。俺は各クラスから一番可愛い女の子を一人ずつ選んで日替わりデートするだろ。そしてほっぺにキスしてもらうだろ。あとは……」

「はいはい、鈴木は下心全開だな。お前、女子に嫌われちゃうぞ。」

呆れ気味の佐藤に途中で話を遮られた。

「いーの!一度でいいから王様のハーレムみたいなの体験したいんだよ。」

「佐藤は?」

「ネズミの国のパークチケットとホテル代と交通費をペアで頼む。」

「!」

俺と鈴木は固まった。

「ペア?? まさかお前」

「Vッ!!(^o^)v」

「こんにゃろー!! 」

「わははは妬く❤な妬くな!君らにもいつか彼女が出来るよ。」

勝ち誇ったような佐藤に、鈴木が腕を掴んでガクガクと揺すってわめく。

「ズルイ、ズルイ!!なんで佐藤だけ彼女がいるんだよぉ!!俺にも可愛い女の子を紹介しろーーーーーッッ!! 」

鈴木は人目もはばからず、今度は地団太を踏んで悔しがっている。

恋人か……いいな。

佐藤は途中、彼女が来て別行動になり俺と鈴木で校内を散策した。

佐藤の彼女はめちゃくちゃ可愛かった。

そのことで困ったことに……と言うか面倒くさいことになった。

鈴木が悔しさのあまり、自棄食いを始めた。

出店に出ているものを片っ端から財布の中身が無くなるまで食べている。

見ているこっちはそれだけでお腹いっぱいだ。

そして当然のことだが、鈴木は気持ち悪くなってダウン……俺は妊婦のように腹が膨れた男を保健室で介抱する羽目になった。

鈴木を預けて出歩いてもいいけど一人ぼっちで、うろついても楽しくない。

顔の傍に洗面器を置き、青い顔をして謝る鈴木に「大丈夫?」と声をかけながら、俺の心は窓の外に向いていた。 

修斗は今頃バスケ部でフリースローの模範演技をしてるいのかな。


今日は一度も会えなかったな。

クラウンゲームで修斗が王様になったら何を願うのかな?

そんなことばかり考えていた。

陽も落ちかけてきて、一般客に帰るよう促す放送が流れるころ、保険医の先生に促されて、俺はクラスの片づけに行くことにした。

「鈴木の分は俺が片づけて置くよ。だからゆっくり休んでいなよ。皆には体調不良で寝ているって言っておくから」

「う~ん……ゴメン。みんなに謝っ……うぷっ!」

これ以上、長く会話すると保健室が大変なことになりそうだ。

俺は急いで教室に向かった。

早く片づけないと後夜祭に……

クラウンゲームに間に合わなくなっちゃうからな。

教室に入ると、ワッフル屋だった面影はすっかりなくなって、いつもの教室に戻っていた。

俺を見つけたクラスメイトの女子は咎めるように声をかけられた。

「あ、岩崎君やっと来た。」

「ゴメン、もうほとんど片付いちゃっているね。」

彼女はきょろきょろと俺の後ろを見回して探している。

「鈴木君は? 」

そうか集まってなかったのは俺達二人だけだったんだ。

「鈴木は体調不良で俺が保健室に連れて行ったよ。」

「うわ、ご苦労様。鈴木君大丈夫なの? 」

みんなが心配しているので体調不良の原因を話したら、爆笑されたり呆れられたりした。

「でもこれでライバルが一人減ったわね。」

「あ、そうか、考えたらそうだね。」

「ラッキー♪」

こわー、みんな薄情だなぁ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ