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ゴブリンキング



 セバスはとてもご機嫌だった。王都から兵士が来る事を見越して罠をいくつも張っていた。そして剣聖のスキルを生け捕りに出来たのだ。


 夜襲をかけたゴブリンも、道中で襲撃したゴブリンも村にいたゾンビも、全て村人から作られた魔物だった。

 今回倒されたゴブリンはスケルトンが作っている畑の肥料になる。


 今でも砦ではゴブリンが増え続けているが、人間が出産に約1年弱かかるの対してゴブリンは1週間で産まれる。母体の負担はあるだろうが人間の体は魔物よりも脆いというから数を調達するしかないだろう。オスも捕虜にして母体を養殖するのも良いだろうか。


 私の後ろで捕虜を抱え飛んでいるのはサキュバスだ。先日の魔王様から経験値をいただき、中級魔族の召喚が出来るようになったのだ。


 魅了で誘惑し、思考を鈍らせ精と一緒に魂を吸い取る事のできるサキュバス。そしてこの個体はスキルドレインを持っていた。

確実にスキルを吸い取る為に、ゾンビとゴブリンで体と精神の疲労を溜め続けたのだ。


 そういえばこの男は剣聖の息子と言っていた……スキルが遺伝したという事か?……フフフ……興味深い……









 副隊長はその光景をただ見ていた。隊長が羽の生えた悪魔にぶら下がった形で連れらされているのだ。

剣聖を発動した後遺症もあるのか、裸に剥かれた体はガリガリに細くなっている。


 他の者も唖然と空を見上げている。

 空中に飛ばれてはどうしようもない。


 隊長を助けに行きたい!しかしもう、身も心も限界だった。なにより食料が尽きる。


「撤退だ…撤退だ!!必ず王都に戻り報告をする!!隊長に変わり私がこれから指揮をする!準備にかかれ!日が昇りしだい出発する!」


(絶対に助け出しますから…待っていてください隊長!)











<捕虜(剣聖の息子)を媒体にゴブリンキングの召喚に成功しました>




 よっしゃ!レアスキルだ!

 まさか勇者パーティーのスキルが手に入るとは!勢いでゴブリンキングにしちゃったよ!

 でも息子の息子にも遺伝するのかな?いや、ゴブリンは母体を苗床にするんだからどちらかと言うとクローンに近いのかもしれない。


 さてさて、ここで調子に乗って前に出過ぎると、全勢力で攻められるのは何回も経験しているから今は地盤固めだね!

 追い詰められた人間は何をするかわかったもんじゃない!


 最初に占拠した砦はゴブリンの住処になってるけど そこは敵を誘い込んで討ち取るような感じで仕込んでみようかな。


 王都には密偵を送り込んだから何かしら情報が来るだろう。

 密偵ってランダム要素強いから運しだいなのよね。見つからなければ定期的に報告がくる。

 生き残ってる時間が長ければ長くなるほど陽動作戦をした時の成功率が上がるけど、密偵を送りすぎると見つかる確率が上がって、1体見つかると連鎖的に見つかっていく。

 だから1体送って少しずつ経験値流しながら気長に待つのが最善だね。


 情報といえば、セバスの使う低級魔族の情報収集が優秀なんだよね。今はコウモリと猫と蛇と鳩だっけ?

 特に猫は凄い!貴族の女性の膝の上に乗っていて噂話の報告を読むのが楽しい!

 こんな細かい設定をするなんて、本当に父さんは凄い人だったんだなぁ。


 そういえば外の世界って実際どうなってるんだろ?

 ずっとここに座ってゲームしてるけどいいのか?

 あれ?なんで………



キーーーーーーーン



 耳障りな音が聞こえ意識が遠のいていく………




<精神安定化の為、強制的に魔力切れを起こし睡眠状態に移行しました。吸収した魔力は配下に分配されます>


 魔王城から紫の光が広がり配下の魔物達に降り注いだ。












「……………!?」


 俺は不吉な気配を感じて立ち上がった。知っている気配がする。いやあいつは俺が倒したはずだ…気配がするわけがない!


「あなたどうしたの?」


 妻がペットの黒猫を撫でながら、こちらを心配そうに見ている。


「いや……なんでもないよ。勘違いだったみたいだ」

「ならいいけど……最近、魔王が復活したとかいう噂も流れているし私心配だわ」

「大丈夫だよ。どんな敵が現れても勇者である私が守ってみせるよ!息子も勇者を受け継いでくれたからね!次の世代も安心だ」

「そうよね。愛してるわ…あなた」

「あぁ…俺も愛してるよ」


 妻の手の甲に軽くキスをして髪を撫でる。目を細めて嬉しそうに笑う妻。

 俺はこの幸せを守らなければならない。

 俺は幸せになる権利がある!この世界を魔王から救った勇者なのだから!


「さて少し出かけてくるよ。夕飯に間に合うように帰ってくるから待っていてくれるかい?」

「えぇ、今日は3人で食べられそうよ?早く帰って来てね。」

「それは楽しみだ!いってくるよ」

「いってらっしゃい」


 そして部屋を出てから足早に家を出た。さっきの気配が何だったのか確かめないといけない。


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