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エロヒスト創世記1

      天と地の主よ、大地はまだ存在しませんでした

      主がそれをもたらされたのです

      日光はまだ存在しませんでした

      主がそれをお創りになったのです

      曙はまだ存在しませんでした

      主がそれを創造されたのです(エブラタブレット「天地創造賛歌」)



初め、神は天と地を創造した

地は形なく、空しく、闇が全ての上にあり、神々の霊が天を舞っていた

神は「光あれ」と言った。するとそこに光があった

神はその光を見、良しとした。神はその光と闇とを分けた

神は光を「昼」と名付け、その光がない闇の時を「夜」と言うことにした

日は落ちてゆき、そして再び朝となった。第一日である

神はまた言った、

シャマイムの間に空があって、マイムと水とを分けよ」

そのようになった。神は天空を造り、空の下のマイムと空の上の天水シャマイムとを分けられた

神はその大空を天と名づけた。夕となり、また朝となった。第二日である

神はまた言った「天の下の水は一箇所に集まり、渇いた所が現れよ」そのようになった

神はその渇いた地を陸と名づけ、水の集まった所を海と名付けた。神は見て、良しとした

神はまた言った「地は青草、種もつ草、類ごとに種ある実を結ぶ果樹とを地の上にいだせ」

そのようになった

地は草と、類ごとに種もつ草と、類ごとに種ある実を結ぶ木とをい出した

神は見て、良しとした

夕となり、また朝となった。第三日である

神はまた言った「天水シャマイムの中に光あれ。そして昼と夜とを分け

祝節と日と年のしるしとなれ

天にあって地を照らす光となれ」そのようになった。

神は二つの光を造り、大きい光に昼を、小さい光に夜を支配させ、また星を造った

神は彼らを空の上の天に置いて地を照らさせ、

昼と夜とを支配させ、光と闇とを分けられた。神は見て、良しとした

夕となり、また朝となった。第四日である

神はまた言った「水の中は動く物の群れで満ちよ、鳥は地と、天空を飛べ」

神は海に大いなる獣と、水に群がる全ての動く生き物とを、類ごとに創造し、

また翼ある全ての鳥を、種類にしたがって創造した。神は見て、良しとした

神はこれら生命を祝福して言った

「生め、増え広がり海や水中を満たせ、また鳥は地にふえよ」

夕となり、また朝となった。第五日である

神はまた言った「地の生き物は類ごとにわかれよ。家畜、這うもの、

獣とを類ごとにそれぞれいだせ」

そのようになった

神は地の獣、家畜、地に這う全ての物を種類にしたがって創造した。神は見て、良しとした

神はまた言った「我々の形に、我々に似せ型取り人を造ろう、これに海の魚、空の鳥、

人のために作られた動物、地の全ての獣と、地を這う全ての獣を治めさせよう」

神は自分達の似姿である人を創った。すなわち、神と同じように創造し、男と女とに創造した

神は彼らを祝福して言った「産め、増え広がり地に満ちよ、地を従えよ

また海の魚、天空の鳥、地の全ての生き物とを治めよ」

神はまた言った「私は全地の表を覆う種もつ全ての草と、

種ある実を結ぶ全ての木とをお前達に与える。これはお前達の食物となろう

また地の全ての獣、空の全ての鳥、地を這う全てのもの、すなわち命あるものには、

食物として全ての青草を与える」

そのようになった

神は創造した全ての物を見た、それはとても良かった

夕となり、また朝となった。第六日である

こうして天と地と、その万象とが完成した

神は七日目には全ての作業を終えて、すなわち全ての作業が終ってのち七日目に休息をとった

神はその七日目を祝福して、これを聖別した。その日、

神が一切の創造の手を止めて休息をとったからである

これが天地創造の由来である


人の系図は次のとおりである。神が人を創造した時、神似せ形取って造り、

彼らを男と女とに創造した。彼らが創造された時、

神は彼らを祝福して、それらをアダムと呼んだ

人が130歳になった時、人に型取り、人のような男子が生まれ、それをセツと名付けた

人がセツを生んで後、生きた年は800年であって、その他男と女の子を成した

人の生きた年はすなわち合わせて930年であった。そして彼は死んだ

セツが105歳になった時、エノスが生まれた

セツはエノスを生んだ後、807年生き、男と女の子を成した

セツの年はすなわち合わせて912年であった。そして彼は死んだ

エノスが90歳になった時、カイナンが生まれた

エノスはカイナンを生んだ後、815年生き、男と女の子を成した

エノスの年はすなわち合わせて905年であった。そして彼は死んだ

カイナンが70歳になった時、マハラレルが生まれた

カイナンはマハラレルを生んだ後、840年生き、男と女の子を成した

カイナンの年はすなわち合わせて910年であった。そして彼は死んだ

マハラレルが65歳になった時、ヤレドが生まれた

マハラレルはヤレドを生んだ後、830年生き、男と女の子を成した

マハラレルの年はすなわち合わせて895年であった。そして彼は死んだ

ヤレドが162歳になった時、エノクが生まれた

ヤレドはエノクを生んだ後、800年生き、男と女の子を成した

ヤレドの年はすなわち合わせて962年であった。そして彼は死んだ


エノクが65歳になった時、メトセラが生まれた

エノクはメトセラを生んだ後、300年、神に従って生き、男と女の子を成した

エノクの年はすなわち合わせて365年であった

エノクは神に従って生き、神が彼を取られたので、いなくなった

メトセラが187歳になった時、レメクが生まれた

メトセラはレメクを生んだ後、782年生き、男と女の子を成した

メトセラの年はすなわち合わせて969年であった。そして彼は死んだ

レメクが182歳になった時、男子が生まれ

「この子が神に呪われた地で働く我々の苦労を慰めてくれるだろう」

と言って、その名をノア(慰め)と名付けた

レメクはノアを生んだ後、595年生き、男と女の子を成した

レメクの年はすなわち合わせて777年であった。そして彼は死んだ

ノアは500歳になって、セム、ハム、ヤペテを生んだ

これらがノアに至るまでの系図である



その時代において、ノアは義人、かつ全きアダムであった。ノアは神に従って生きた

ノアにはセム、ハム、ヤペテという三人の子があった

時に世は神の目にあまるほどに乱れ、暴虐が地に満ちていて

それは乱れていた。全てのアダムが地上でその道を踏み外していた

そこで神はノアに言った「私は、全ての人類を絶やそうと決心した

彼らは地を暴虐で満たしたからだ、私は彼らを地もろとも滅ぼす

お前は、ゴフェルの木で箱舟を造り、箱舟の中に室を設け、瀝青アスファルトでその中、外を塗れ

その造り方は次のとおりである。すなわち箱舟の長さは300キュビト

幅は50キュビト、高さは30キュビト、 箱舟には窓を造り、

屋根から1キュビトの所にそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、

一階と二階と三階のある箱舟を造れ

私は地の上に洪水を送って、世界の命の息ある肉なるものを、みな滅ぼす

地にあるものは、みな死に絶える

しかし私はお前と契約を結ぶ、お前は妻子と、その妻たちと共に箱舟に入れ

また全ての生き物、全て被造物の中から、それぞれつがいを箱舟に入れて、

お前と共にその命を保たせよ、それらは雄と雌とでなければならない

鳥はその類ごとに、獣はその類ごとに、また地の全ての這うものも、

その種類にしたがって、それぞれ二つずつ、お前の所に匿い、生きながらえさせよ

また、全ての食物となるものをとって、お前の所に蓄え、

自分とこれらのものとの食物とせよ」

ノアは全て神の命じられたようにした


さて、あの洪水で地が覆われた頃、ノアは600歳であった

ノアは妻と子、その妻たちと共に洪水を避けて箱舟にはいった

また獣と、鳥と、地を這う全ての獣との雄と雌とが、つがいごとにノアのもとにきて、

神がノアに命じられたように箱舟にはいった

こうして洪水が地に起った。それはノアの600歳の年の2月17日であって、

その日に大いなる淵の源は、ことごとく破れ、天の窓が開け雨は地に降り注いだ

その同じ日に、ノアと、ノアの子セム、ハム、ヤペテと、ノアの妻と、

その子らの三人の妻とは共に箱舟に入った

また全ての種類の獣も、全ての種類の家畜も、地の全ての種類の這うものも、

全ての種類の鳥も、全ての翼あるものも、皆入った

すなわち命の息ある全ての被造物が、二つずつノアのもとにきて、箱舟に入った

それは、全被造物の雄と雌とであって、神が彼に命じられたように入った

そこで主は彼のうしろの戸を閉ざされた

そして水が増し、箱舟を浮べたので、箱舟は地から高く上がった

また水がみなぎり、地に増したので、箱舟は水の表を漂った

水はまた、ますます地にみなぎり、天の下の高い山々は皆おおわれた

水はその上、さらに15キュビトみなぎって、山々はすっかり隠れた

地の上に動く全て被造物は、鳥も家畜も獣も、地に群がる全ての這うものも、

全ての人もみな滅びた

すなわち鼻に命の息のある全てのもの、陸にいた全てのものは死んだ

しかしノアと、彼と共に箱舟にいたものだけは生き残った

水は150日のあいだ地上にみなぎった


神はノアおよび箱舟の中にいた全ての獣、全ての家畜とを心にとめ、

地の上に風を送り込んたので、水は引いていった

淵の源と、天の窓は閉じられ、天からも雨が止んでいった

水はしだいに地の上から引いて、150日を過ぎると水は減っていき、

箱舟は7月17日にアララテ山に止まった

水はなおも減り続け、10月になり、10月1日にはその他の山々の頂も現れだした

ノアは地の上にあった水が引いたかどうかを確かめるため鳩を放った

鳩は足の裏で捕まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰ってきた

水がまだ全地の上にあったからである。彼は手を伸べて鳩を捕らえ、

箱舟の中の自分のほうへ引き入れた

それから7日待って再び鳩を箱舟から飛び放した

鳩は夕方になって帰ってきた。見ると、その口にオリーブの若葉をくわえていた

ノアは地の上から水が引いたことを知った

さらにもう7日待ってまた鳩を放した。もう鳩は彼のもとには帰ってこなかった

ノアが601歳になるその年の1月1日になった時、地の上の水は乾いた

ノアは箱舟をおおう屋根を取りはずした。見ると、土の表は、乾いていた

2月27日になって、地は全て乾ききった

そこで神はノアに告げた

「お前は妻子らと、その妻達と共に箱舟を出よ

お前の元にあった全ての被造物の生き物、すなわち鳥、家畜、地を這う全てのものを

連れて出て、これらのものが地に群がり、地の上に増え広がるようにせよ」

ノアは妻子と、その妻達とを連れて出た。また全ての獣、全ての這うもの、全ての鳥、

全て地の上に動くものは皆、類ごとに箱舟を出た

神はノアとその子らとを祝福して彼らに言った

「産め、増え広がり地に満ちよ、地の全ての獣、空の全ての鳥、地に這う全てのもの、

海の全ての魚は恐れおののいて、お前達の支配を受ける

全ての動く生き物はお前達の食物となる。全て植物も同じように、

私はこれら全てをお前達に与える」

神はノアとその子らに言った

「私はお前達及びその子孫血縁者と堅く契約を立てる。またお前達と共にあった全ての

生き物、お前達と共にあった鳥、家畜、地の全ての獣、すなわち、全て箱舟から出たものは、

地の全土をおおう獣になったとしても、私は契約を結んでいる

私とお前達とのこの契約により、全て契約を受けた被造物とその子孫は、もはや洪水によって

滅ぼされることはなく、また彼らを滅ぼしつくす洪水は、再び起ることはない」

さらに神は言った、「これは私とお前達及びお前達と共にいる全ての生き物との

間に代々かぎりなく、私が立てる契約のしるしである

見よ、私は雲の中そびえる大いなる虹を置く。これが私と地との間の契約のしるしとなる

私が雲を地の上に起し、大いなる虹がその雲の中に現れる時

その時、私は、私とお前達ノアの子孫及び全て肉なるあらゆる生き物との間に立てた

契約を思い起こす。水は再び全ての被造物を滅ぼす洪水とはならないであろう

今後虹が雲の中に現れた時、私はこれを見る。そして神が地上にある全ての肉なる

あらゆる生き物との間に立てた永遠の契約を思いおこすであろう」

そして神はノアに言った「これが私と地にある全て肉なるものとの間に、

私が立てた契約のしるしである」


ノアの子セム、ハム、ヤペテの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに子が生れた


ヤペテの子はゴメル、マゴグ、メディア、イオニア、トバル、メセク、テラスであった

ゴメルの子孫はアシュケナジ、リパテ、トガルマ

イオニアの子孫はエリシャ、タルシシュ、キティオン、ドダニムであった

これらから沿岸の地にそって国民が分れ、各自その土地に移り住み

その言語にしたがい、その氏族にしたがって、その国々に住んだ


ハムの子孫はクシュ、ミツライム(エジプト)、プテ、カナンであった

クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ、ラアマの子孫はシバとデダン

クシュからニムロデが生まれた、このニムロデが地上で最初の帝国をなしたのである

彼は神に次ぐ剛健なる狩人であった。それゆえ

「神の次に剛健なる狩猟者ニムロデのごとし」と言う言葉が人々に伝えられた

彼は最初シュメールの地にあるバビロン、ウルク、アッカド、カルネという都市を支配し

その地からアッシリアに出、ニネヴェ、レホボティリ、カラの街を建て、

そしてニネベとカラとの間にある大いなる町レセンを建てた


ミツライムからルデ人、アナミ人、レハビ人、ナフト人、

パテロス人、カスル人、クレタ人が生まれた。クレタ人からペリシテ人が生まれた

カナンからその長子シドンが出て、またヘテが出た

その他エブスびと、アモリびと、ギルガシびとヒビびと、アルキびと、セニびと、

アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとが出た。後になってカナン人の氏族がひろがった

これらはハムの子孫であって、その氏族とその言語とにしたがって、その土地と、その国々にいた


セムにも子が生れた。

セムはエベル、ヘブル人の全ての子孫の先祖であって、ヤペテの兄であった

セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラムであった

アラムの子孫はウヅ、ホル、ゲテル、マシであった

アルパクサデの子はシラ、シラの子はエベルである

エベルにふたりの子が生れた。そのひとりの名をペレグといった

これは彼の代に地の民が分れたからである。その弟の名をヨクタンといった

ヨクタンにアルモダデ、シャレフ、ハザルマウテ、エラ、

ハドラム、ウザル、デクラ、オバル、アビマエル、シバ、

オフル、ハビラ、ヨバブが生れた。これらは皆ヨクタンの子であった

彼らが住んだ所はメシャから東の山地セパルに及んだ

これらはセムの子孫であって、その氏族とその言語とにしたがって、その土地と、その国々にいた

これらはノアの子らの氏族であって、血族にしたがって国々に住んでいたが、

洪水の後、これらから地上の諸国民が分れたのである


セムの系図は次のとおりである。セムは百歳になって洪水の二年の後にアルパクサデを生んだ

セムはアルパクサデを生んで後、五百年生き、男と女の子を成した

アルパクサデは三十五歳になってシラを生んだ

アルパクサデはシラを生んで後、四百三年生き、男と女の子を成した

シラは三十歳になってエベルを生んだ

シラはエベルを生んで後、四百三年生き、男と女の子を成した

エベルは三十四歳になってペレグを生んだ

エベルはペレグを生んで後、四百三十年生き、男と女の子を成した

ペレグは三十歳になってリウを生んだ

ペレグはリウを生んで後、二百九年生き、男と女の子を成した

リウは三十二歳になってセルグを生んだ

リウはセルグを生んで後、二百七年生き、男と女の子を成した

セルグは三十歳になってナホルを生んだ

セルグはナホルを生んで後、二百年生き、男と女の子を成した

ナホルは二十九歳になってテラを生んだ

ナホルはテラを生んで後、百十九年生き、男と女の子を成した

テラは七十歳になってアブラム(エブラ)、ナヘラおよびハランを生んだ


テラの系図は次のとおりである。テラはアブラム、ナホルおよびハランを生み、

ハランはロトを生んだ。ハランは父テラの前で、その生れた地、カスルディムのウルで死んだ

アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライといい、

ナホルの妻の名はミルカといってハランの娘である。ハランはミルカの父、またイスカの父である

サライは不妊の女で、子がなかった

テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻であるサライとを連れて、

カナンの地へ行こうとカスルディムのウルを出たが、ハランに着いてそこに住んだ

テラの年は二百五歳であった。テラはハランで死んだ



アブラムの妻サライは子を産まなかった。彼女にひとりの女奴隷があった

エジプトの女で名をハガルといった

サライはアブラムに言った、「主は私に子を賜りません。どうぞ、

私の女奴隷の所にお入りください。彼女によって私は子を持つことになる」

アブラムはサライの言葉を聞きいれた。

アブラムの妻サライはその女奴隷エジプトの女ハガルをとって、夫アブラムに妻として与えた

これはアブラムがカナンの地に住んで10年の事であった

彼はハガルに入り、ハガルは身ごもった。彼女は自分のはらんだのを見て、

女主人を見下すようになった

そこでサライはアブラムに言った「あなたのせいで私はこんな仕打ちを受けました

女奴隷をあなたに差し出したのは私なのに、あの女は自分だけが妊娠したことで

私を見下します。どうか、主があなたと私の間をおさばきになるように」

アブラムはサライに言った「お前の女奴隷はお前の物だ。好きなようにするがいい」

そしてサライは彼女を苦しめ、彼女はサライの顔を避けて逃げた

主の使は荒野にある泉のほとり、すなわちシュルの道にある泉のほとりで、彼女に会い、

そして言った「サライの女奴隷ハガルよ、お前はどこから来て、どこへ行こうというのだ」

彼女は言った「私は女主人サライの顔を避けて逃げているのです」

主の使は彼女に言った「お前は女主人のもとに帰って、その手に身を任せなさい」

主の使はまた彼女に言った「私は大いにお前の子孫を増やす、数えきれないほど多く」

主の使はまた彼女に言った

「お前は今身ごもっており、男子を産む。名をイシュマエルと名付けなさい

主がお前の苦しみを聞かれた。彼は野ろばのような人となり、その手は全ての人に逆らい、

全ての人の手は彼に逆らい、彼は全ての兄弟に敵して住む」

そこで、ハガルは自分に語られた主の名を呼んで、「あなたはエル・ロイです」と言った

彼女が「ここでも、私を見ていられるかたのうしろを拝めたのか」と言ったことによる

それでその井戸は「ベエル・ラハイ・ロイ」と呼ばれた。これはカデシュとベレデの間にある

ハガルはアブラムに男の子を産んだ。アブラムはハガルが産んだ子の名をイシュマエルと名づけた

ハガルがイシュマエルをアブラムに産んだ時、アブラムは八十六歳であった


アブラムの九十九歳の時、主はアブラムの前に現れて言った、

「私は全能の神である。お前は私の前に歩み、全き者であれ

私はお前と契約を結び、大いにお前の子孫を増すであろう」

アブラムは、ひれ伏した。神はまた彼に言った

「私はお前と契約を結ぶ。お前は多くの国民の父となる

お前の名は、もはやアブラムとは言われず、お前の名はアブラハムと呼ばれる

私はお前を多くの国民の父とするからである。

私はお前に多くの子孫を得させ、国々の民をお前から起そう

また、偉大なる王たちもお前から出る

私はお前と、これから生まれる子とその子孫との間に契約を立てて、永遠の契約とし、

お前とその子孫との神となるであろう

私はお前とその民に、今お前が寄留しているこの地、

すなわちカナンの全地を永久の所有として与える。そして私は彼らの神となる」

神はまたアブラハムに言った、

「お前とその子孫とは共に代々私の契約を守らなければならない。

お前達のうち男子はみな割礼をうけなければならない。

これは私とお前達及びこれから生まれる子の子孫との間の私の契約であって、

お前達の守るべきものである

お前達は前の皮に割礼を受けなければならない。

それが私とお前達との間の契約のしるしとなる

お前達のうちの男子はみな代々、家に生れた者も、また異邦人から銀で買い取った、

お前の子孫でない者も、生れて八日目に割礼を受けなければならない

お前の家に生れた者も、お前が銀で買い取った者も必ず割礼を受けなければならない

こうして私の契約はお前達の身にあって永遠の契約となるであろう

割礼を受けない男子、すなわち前の皮を切らない者は私の契約を破るゆえ、

その人は必ず民のうちから断たれる」

神はまたアブラハムに言った、「お前の妻サライは、もはや名をサライといわず、

名をサラと言いなさい。私は彼女を祝福し、また彼女によって、お前にひとりの

男子を授けよう。私は彼女を祝福し、彼女を国々の民の母としよう。彼女から、

もろもろの民の王たちが出るであろう」

アブラハムはひれ伏し、心の中で語った「百歳の者にどうして子が生れよう

サラはまた九十歳にもなって、どうして産むことができようか」

アブラハムは神に言った、「どうかイシュマエルがあなたの前に生きながらえますように」

神は言った、「いや、お前の妻サラはお前に男の子を産む

名をイサクと名づけなさい。私は彼と契約を立てて、後の子孫のために永遠の契約としよう

またイシュマエルについてはお前の願いを聞いた。私は彼を祝福して多くの子孫を得させ、

大いにそれを増すであろう。彼は十二人の君たちを生むであろう。私は彼を大いなる国民としよう

しかし私は来年の今ごろサラがお前に産むイサクと、私の契約を立てるであろう」

神はアブラハムと語り終え、彼を離れて、天に登った

アブラハムは主に言われたとおり、その日その子イシュマエルと、全て家に生れた者および

全て銀で買い取った奴隷、すなわちアブラハムの家の人々のうち、全ての男子を連れてきて、

前の皮に割礼を施した

アブラハムが前の皮に割礼を受けた時は九十九歳、

その子イシュマエルが前の皮に割礼を受けた時は十三歳であった。


主は、さきに言ったようにサラを顧み、告げられたようにサラに行われた

サラはみごもり、神がアブラハムに告げられた時になって、年老いたアブラハムに男の子を産んだ

アブラハムは生れた子、サラが産んだ男の子の名をイサクと名づけた

アブラハムは神が命じられたように八日目にその子イサクに割礼を施した

アブラハムはその子イサクが生れた時百歳であった

そしてサラは言った、「神は私を笑わせてくださった。聞く者は皆私のことで笑うでしょう」

また言った、「サラが子に乳を飲ませるだろうと、誰がアブラハムに言い得たであろう

それなのに、私は彼が年とってから、子を産んだ」

さて、おさなごは育って乳離れした。イサクが乳離れした日にアブラハムは盛んなふるまいを設けた

サラはエジプトの女ハガルのアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクと遊ぶのを見て

アブラハムに言った、「この女とその子を追い出してください

この奴隷の子は私の子イサクと共に、世継となるべき者ではありません」

この事で、アブラハムはその子のために思い悩んだ

神はアブラハムに言った「あの子のため、またお前の女奴隷のことで悩んではいけない

サラがお前に言うのであれば全て聞きいれよ。イサクから出る者達がお前の子孫と

呼ばれるが、女奴隷の子もお前の子である。彼らも一つの国民とする」

そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋とを取り、ハガルに与えて、

肩に負わせ、その子を連れて去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒野にさまよった

やがて皮袋の水が尽きたので、彼女はその子を木の下におき、

「私はこの子の死ぬのを見るに忍びない」と言って、矢の届くほど離れて行き、

子供の方に向いてすわった。彼女が子の方に向いてすわったとき、子は声をあげて泣いた

神は幼子の声を聞き、神の使は天からハガルを呼んで言った、

「ハガルよ、どうしたのか。恐れてはいけない。神はあそこにいる幼子の声を聞かれた

立って行き、子を取ってお前の手に抱きなさい。私は彼を大いなる国民の父とする」

神がハガルの目を開かれたので、彼女は水の井戸のあるのを見た。彼女は行って皮袋に水を満たし、

幼子に飲ませた

神がその子と共にあったので幼児は成長し、荒野に住んで弓を射る者となった

彼はパランの荒野に住んだ。母は彼のためにエジプトの国から妻を迎えた


「アブラハムよ」

これらの事が終わった時、神はアブラハムを試すために彼に語りかけた

彼は「ここにおります」と言った

神は言った、「お前の息子、最愛の一人息子イサクを連れてモリヤへ行き、

私が示す山で彼を燔祭としてささげなさい」

アブラハムは朝はやく起きて、ロバにくらを置き、ふたりの若者と、イサクとを連れ、

また燔祭のたきぎを持って、立って神が示された所へ向かった

三日目に、アブラハムは目をあげて、はるかにその山を見上げた

そこでアブラハムは若者たちに言った、「お前達は、ロバと一緒にここに残っていろ

私と息子は向こうで礼拝し、それが終わった後、お前達の所に帰ってくる」

アブラハムは燔祭の薪を息子であるイサクに背負わせ、手に松明と刀とをとって、

二人はともに歩いて行った

しばらくしてイサクは父アブラハムに言った「父上」

アブラハムは答えた「息子よ、私はここにいる」

イサクは言った「火と薪だけで燔祭の小羊がありません」

アブラハムは答えた「息子よ、神ご自身が燔祭の小羊を備えてくださるだろう」

こうして二人はともに歩いた

そして神の示された場所にたどり着いた。アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、

その子イサクを縛って薪でしつらえた祭壇の上に載せた

そしてアブラハムが手を差し伸べ、刃物を執ってイサクを屠ろうとしたその時、

主の使が天から呼ばわり、彼に言った「アブラハムよ、アブラハムよ」彼は答えた、

「はい、ここにおります」

御使いが言った「その子に手にかけてはならない。また何もなしてはならない。

お前は我が子、一人息子をさえ、私のために惜しまない。神を恐れる者であることが

今ようやくわかった」

この時アブラハムが目をあげて見ると、うしろに、角をやぶに掛けている一頭の雄羊がいた

アブラハムは行ってその雄羊を捕え、それをその子のかわりに燔祭としてささげた

それでアブラハムはその所の名をアドナイ・エレと呼んだ。これにより、人々は今日もなお

「主の山に備えあり」と言う

主の使は再び天からアブラハムを呼んで言った、「主は言った、『私は自分をさして誓う。

お前がこの事をし、お前の子、お前のひとり子をも惜しまなかったので、

私は大いにお前を祝福し、大いにお前の子孫をふやして、天の星のように、

浜べの砂のようにする。お前の子孫は敵の門を打ち取り、

また地のもろもろの国民はお前の子孫によって祝福を得るであろう

お前が私の言葉に従ったからである』」

アブラハムは若者たちの所に帰り、みな立って、共にベエルシェバへ行った

そしてアブラハムはベエルシェバに住んだ

これらの事の後、ある人がアブラハムに告げて言った、

「ミルカもまたあなたの兄弟ナホルに子どもを産みました

長男はウヅ、弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、

次はケセデ、ハゾ、ピルダシ、エデラフ、ベトエルです」

ベトエルの子はリベカであって、彼女はイサクの妻となった

これら八人はミルカがアブラハムの兄弟ナホルに産んだのである

ナホルのそばめで、名をルマという女もまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカを産んだ


サラの一生は百二十七年であった。これがサラの生きながらえた年である

サラはカナンの地のキリアテ・アルバすなわちヘブロンで死んだ。

アブラハムは中にはいってサラのために悲しみ泣いた

アブラハムは死人のそばから立って、ヘテの人々に言った

「私は旅の者でこの国の寄留者ですが、妻が死んだので葬りたい

あなたがたの土地の中で墓地を、私の所有として買うことはできるか」

ヘテの人々はアブラハムに答えて言った、

「ご主人、お聞きなさい。あなたは我々にとって神のような主君です

我々の墓地の最も良い所にあなたの死人を葬りなさい。埋葬を拒んで、

あなたにその死者を葬らせない者は我々のうちには、ただの一人もないでしょう」

アブラハムは立ちあがり、その地の民ヘテの人々に礼をして、

彼らに言った、「もし死者を葬ってもいいのなら、私の願いを聞いてくれ

私のためにツォハルの子エフロンに頼み、 彼が持っている畑の端のマクペラのほら穴を

十分な代価で私に与え、そこに墓地を持たせてくれ、と」

その時エフロンはヘテの人々の中で座って聞いていた。そこでヘテびとエフロンはヘテの人々、

すなわち全てその町の門にはいる人々の聞いているところで、アブラハムに答えて言った

「いいえ、ご主人、お聞きなさい。私はあの畑をあなたに差し上げる

またその中にあるほら穴も差し上げます。私は民の前で言います、

それを差し上げる、死んだあなたの妻を埋葬しなさい」

アブラハムはその地の民の前で礼をし、

その地の民の聞いているところでエフロンに言った、

「あなたがそれを承諾されるのであれば聞いてくれ

 私はその畑の代価を払う。どうか受け取ってくれ

 私の妻をそこに埋葬しよう」

エフロンはアブラハムに答えて言った、

「ご主人、お聞きなさい。あの畑は銀400シケルのものですが、

これは私とあなたの間で無いも同然のものです。あなたの死人を葬りなさい」

そこでアブラハムはエフロンの言葉を聞いて、エフロンがヘテ人の聞いている所で

言った銀、すなわち商人の通用銀四百シケルを量ってエフロンに与えた

こうしてマムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、畑も、その中のほら穴も、

畑の中およびその周囲の境にある全ての木も皆、

ヘテの人々の前、すなわちその町の門にはいる全ての人々の前で、アブラハムの所有と決まった

その後、アブラハムはその妻サラをカナンの地にあるマムレ、すなわちヘブロンの前の

マクペラの畑のほら穴に葬った

このように畑とそのほら穴とはヘテ人によってアブラハムの所有の墓地と定められた


アブラハムは再び妻をめとった。名をケトラという

彼女はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミディアン、イシバクおよびシュワを産んだ

ヨクシャンの子はシバとデダン。デダンの子孫はアシュリびと、レトシびと、レウミびとである

ミデアンの子孫はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアであって、

これらは皆ケトラの子孫であった

アブラハムはその所有をことごとくイサクに与えた

またそのそばめたちの子らにもアブラハムは物を与え、なお生きている間に彼らを

その子イサクから離して、東の方、東の国に移らせた

アブラハムの生きながらえた年は175年である

アブラハムは高齢に達し、老人となり、年が満ちて息絶え、死んでその民に加えられた

その子イサクとイシュマエルは彼をヘテびとツァハルの子エフロンの畑にあるマクペラのほら穴に葬った

これはマムレの向かいにあり、 アブラハムがヘテの人々から、買い取った畑であって、

そこにアブラハムとその妻サラが葬られた

アブラハムが死んだ後、神はその子イサクを祝福された

イサクはベエル・ラハイ・ロイのほとりに住んだ

サラの女奴隷エジプトびとハガルがアブラハムに産んだアブラハムの子

イシュマエルの系図は次のとおりである

イシュマエルの子らの名を世代にしたがって、その名をいえば次のとおりである

すなわちイシュマエルの長子はネバヨテ、次はケダル、アデビエル、ミブサム、

ミシマ、ドマ、マッサ、 ハダデ、テマ、エトル、ネフシ、ケデマ。

これはイシュマエルの子らであり、村と宿営とによる名であって、その氏族による十二人の君たちである

イシュマエルのよわいは百三十七年である。彼は息絶えて死に、その民に加えられた

イシュマエルの子らはハビラからエジプトの東、シュルまでの間に住んで、アシュルに及んだ

イシュマエルは全ての兄弟の東に住んだ




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