異常気温
テレビ画面の中の気象予報士は訳がわからないといった様子で異常事態を伝えていた。
「前代未聞です。八月の真夏に気温が三度しかないとは異常です。これは真冬の一月の最低気温とほぼ同じであり、観測史上初めての事です」
街を行き交う人々は、真夏だというのに厚手のコートを羽織り、聞こえてもおかしくない蝉の鳴く声は、本来の仕事を忘れてしまったように一切聞こえない。
雲のベッドで呑気に昼寝をしていた神様の許へ、慌てた天使が飛んでやってきた。
「大変です神様!! 地上用の巨大エアコンが冷房になっていて…」