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ワンちゃんのお洋服屋さん  作者: 貴志ひろこ
7/11

チマチョゴリ③

夕方になって、ようやく刺繍が完成した。

『やりました‼頑張ったよ~』

両手を上げて、金メダルを取った選手みたいな事をしてみる。


『見せて』アヤコがのぞきこむ。

『これって、オーダーだから出来る技だよね』


そう思う。ま、量産は、どこかの工場さんに任せて、うちは、コツコツとオーダーを受ける事にする。


チマチョゴリの下を、ブルーのサテン地にして、裾に、小花の刺繍をいくつか入れる事にした。


…が、無理し過ぎたかな?

急に疲れてきた。めまいがする。


『徹夜したり、ちゃんと食べないからだよ』

アヤコがキッチンに入り、コーヒーを入れてくれた。

『ありがとう』

『ちょっと時間ちょうだいね』

私がコーヒーを飲んでる間、アヤコはキッチンで何かしていたと思っていたら

『こっちに来て』

テーブルの上には、おにぎりとお味噌汁。

『おかず無いけど』

『ありがとうアヤコ。てか、炊飯器いつの間に?』


アヤコ…まさか、昼は、ここで自炊?

冷蔵庫を開けるのが怖いよ…


アヤコの作ってくれた食事は、私の夕飯になりそうな感じ。


食べながらアヤコに感謝し、初めてのチマチョゴリ作製の達成感も感じていた。

今夜は、ちゃんと寝よう。


『そろそろ閉めようか』

食べ終えてキッチンから出て言うと、アヤコは片付けを始めた。


シャッターを下ろして、帰ろうとするアヤコ。

急に振り返り

『今日はちゃんと寝るんだよ。じゃ、また明日』

そう言いながら手を振った。

『うん』

私も手を振り、裏口の鍵を閉める。



チマチョゴリの裾の小花刺繍は明日にしよう。

キッチンで洗いものをしながら考えた。




…………





次の日、チマチョゴリの裾に小花刺繍をして、ようやく完成。

…と、言ってもサンプル。


ピンクとブルーが嫌だと言われたら、また作り直し。

お客様の要望を出来る限り形にするのが仕事だから仕方無いけど…


でも、サンプルでも可愛い仕上がり。

私は、ワンちゃんのサイズは、規定のサイズより、ちょっとだけ大きく作る。

ワンサイズ大きくすると、着た時にユルユル感が出るから、サイズとサイズの中間くらい。


『超可愛いよね』

アヤコが言う。

『手間をかけた分、我が子みたいな気持ちだよ』

そう言うと

『これは金額的には万だね』

とアヤコ。


そうなんだよね~

それがちょっと心配。

この店の商品は、高くても一万円弱。

でも、このチマチョゴリは手刺繍。

一万数千円になるかも知れない。



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