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ワンちゃんのお洋服屋さん  作者: 貴志ひろこ
6/11

新しいお客様

ワンちゃんの後ろ見頃の刺繍は、金糸銀糸、ラメ糸を使って豪華になってきた。

『難しいけど、なんか達成感があるかも』

なんて、つぶやきながら、チクチクと針を動かす。


1時になって、アヤコがキッチンから出てきた。

『交代するよ。食べてきて』


『うん。でも、なんか、刺繍にハマっちゃった感あるんだよね~』

苦笑いすると、両手を広げて外国人ぽく『呆れた』とアヤコ。


『ま、お腹すいたら、いつでも食べてきていいよ』

アヤコは、今度はサンプルにビーズのフェイクネックレスを付けようとしている。

フェイクネックレスは、簡単に言うと、ネックレスぽく見えるようにビーズを取り付ける事。


刺繍は、ようやく半分出来た。龍の刺繍。

本当に小さなサイズで良かった。

Sとかの大きなサイズだったら、刺繍の下手さが目立って、商品にならなかったかも知れない。


このチマチョゴリは、後ろ見頃、両袖に刺繍。

前見頃には刺繍は入れずに、着物みたいにして、上前にはリボンを付けて、グリッパーをつける。

ワンちゃんのワンピース類は、後ろスカートだけなので、チマチョゴリのしたの部分も後ろだけ。


下は何色にしよう?

ブルーのサテンがいいかな~


あ、そろそろ生地や糸を注文しとかないと…


注文したいものを、チラシの裏に書いておいて、発注書に清書する。


アヤコは、いつ書いたのか、ビーズとフェルトが書いてある。


『さて…次は鳳凰。龍より難しいかも~』

つぶやきがアヤコに聞こえたらしい。

『やっぱり、刺繍地を縫い付けた方が楽かもね』


でも、苦労したお洋服は、着てもらえると『また頑張って可愛いお洋服を作る』原動力になる。

私は職人気質なのかも知れないな~。



チリン…

ドアが開いて、小学生くらいの女の子が入ってきた。

初めて見るお客様。


『いらっしゃいませ』

アヤコが立ち上がる。


女の子は店内のお洋服を色々見ている。

値段にも驚いてる。

『ワンコの服って高いんだ』

『小さくて、作るのが大変だからね』

アヤコが言う。


『クリスマスに犬を買ってもらうの。テレビで見た犬みたいに、可愛い服を着せてあげたいの』

女の子は、ちょっと寂しそうに言った。


私は思わず

『ワンちゃんを飼ったら、連れてきて、見せにきてね。お姉さんもワンちゃん大好きなんだよ』

と話し

『ワンちゃんのベストなら安く作ってあげられるかもよ。うちには、編み物が得意なお姉さんがいるから』

とアヤコを紹介。


女の子は笑顔になった。

アヤコは『クリスマスが楽しみだね』と女の子に言って、ワンちゃんの顔のキーホルダーを手渡した。

『早いけど、お店からのクリスマスプレゼント』

アヤコは、事後承諾の了解を取り、私を振り返る。

『そうだね。また会えるの楽しみにしてるね』


新しいお客様が一人増えた。


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