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ワンちゃんのお洋服屋さん  作者: 貴志ひろこ
5/11

新しいオーダー

『ちょっと!まさか徹夜?!』

アヤコの声で目が覚めた。


私はカウンターにうつぶせて寝ていたらしい。

脇にコーヒーを飲んだマグカップが置いてある。

『つい集中しゃって』


『全く…そんな事してると体壊しちゃうよ』

アヤコは言いながら店を開けた。


でも、昨夜頑張ったお陰で、左右の袖の刺繍は出来た。

マグカップを片付けていたら、あくびが出た。

目の下にクマも出来てる。


熱いシャワーを浴びたいとこだけど、お客様が来たらマズいから、急いで顔を洗って、軽くメイク。


『コーヒー入れたよ~』

アヤコが言った。


ブラックコーヒーを飲んで、自分に気合いを入れた。


そうして、後ろ見頃の刺繍をし始めた。


アヤコは、サンプルにリボンや、ビーズを付けて、クリスマスっぽいお洋服に変身させてる。



チクチク…チクチク…



無言で針を動かす2人。

音は、有線放送のクリスマスっぽい曲だけ。




………




お昼になった。

『お腹すいた~‼』

アヤコが両手を上げて伸びをした。


『昼休みに入りま~す』

アヤコは、カウンターの奥の小さなキッチンに入った。


この小さなキッチンは、正確には、広めの給湯室。

半円の小さな2人用のテーブルと椅子。


アヤコは、お店の始まる午前10時から、お店の閉まる午後18時半までいてくれる。

お給料は、最低賃金に毛が生えた程度。


色々してもらって申し訳ないけど、これが今の私の精一杯。


アヤコが昼休みに入ったし、お客も来ないので、2階の自宅に行こうとしたら…


チリン…店のドアが開いた。


プードルを抱いた女性が入ってきた。

『あ、竹内さん。コート出来てますよ』


竹内さんにコートを見せた。

『あら素敵!私もお揃いで着たいわ』

『ありがとうございます』


喜んでもらうと嬉しい。飼い主さんとお揃いで作れたら良いんだけど…

これも、これからの案にしよう。


『良かったわね~。ララちゃん』

竹内さんは、プードルのララちゃんを撫でた。

『今度は、セーターとカーディガンをお願いしようかしら』


竹内さんは、常連で、上客。

かなり助かってる。


竹内さんをカウンターの椅子に座らせて、色やデザインを書き留めた。

『こんな感じでしょうか?』

『そうねえ…。そうだわ。私のセーターとカーディガンを持ってくるから、それと似た風にお願い。そうすれば、お揃いで着られるわ』


竹内さんは、満面の笑みで立ち上がった。


コートの代金を受け取り、笑顔の竹内さんとララちゃんを見送った。

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