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ワンちゃんのお洋服屋さん  作者: 貴志ひろこ
3/11

チマチョゴリ①

初めてのチマチョゴリです。

レースのリボンを衿に付けていると、店のドアベルが『チリン』と鳴った。


『こんにちわ~。ももちゃんのドレス出来てる頃かと思って、来てみたんですけど』

ドレスをオーダーした佐々木さん。ビーグル犬のももちゃんを抱いている。


『いらっしゃいませ』

リボンを付けていた手を止めて、カウンターの方を向いた。


この店は、カウンターで仕事場と、売り場に仕切られていて、お客様のオーダーや、相談は、カウンターで話す事になっている。


『作ってみたんですけど、衿が、何だかしっくりこなくて、身頃だけのを、もう1着作ってみたんですけど…どうでしょう?』

私は、出来上がったドレスと、身頃だけのを並べて見せた。


佐々木さんは、2着を見比べたり、ももちゃんにあててみたりしながら

『そうねえ…』と、ももちゃんをなでた。


『こっちの出来上がってる方にするわ。レースのリボンも素敵だけど、甘すぎる気がするのよね~』

『わかりました。ありがとうございます』


最初に作ったのが気に入ってもらえて良かった。

『 6.800円になります』

袋に入れたドレスを手渡して、会計を済ませた。


手間を考えると、安すぎるくらいだけど、手作りのお店。

有名ブランドみたいに1万や2万なんて受け取れない。


『ありがとうございました』

佐々木さんの後ろ姿を見送って、コーヒーを入れていると、アヤコがたくさんの袋を下げて帰ってきた。


『お帰り。コーヒー飲む?』

『飲む。超疲れたよ~』

アヤコは、ダイソーだけじゃなく、他の百均のお店もまわったらしい。

『気に入ったの飾りたいじゃない?』


アヤコは、袋から、星の飾りや、リースを出した。

『このリース、もっと豪華にしてみせるから、期待しててね』

アヤコは、ヤル気満々。


『あ、そうそう、さっき佐々木さんが来てね、ドレス売れたよ。最初のデザインのやつ』

『最初の?良かったね~』


アヤコは、もう手を動かしている。


私も仕事始めるか。

そろそろ、春物のサンプルを作らないと、オーダー取れない。

人間のファッション誌を眺めながら、色やデザインを考える。


チリン…ドアが開いて、若い男性が入ってきた。

『あの…犬の服を作ってくれるって聞いたんですけど』

こーゆうお店は初めてなのかな?緊張してる。

『ええ、ワンちゃんのお洋服をお作りしますよ』


男性は、ガサゴソとカバンからワンちゃんのお洋服を取り出した。

『これと同じ大きさで、デザインはチマチョゴリで、韓国ドラマの王妃っぽく』

『韓国ドラマ?』

韓国ドラマは『風の絵師』なら知ってる。

有名な画家の作品が見られて楽しかったのを記憶してる。

『彼女なんですけど、韓国の歴史ドラマにハマっているんです。だから、クリスマスプレゼントに、韓国の王妃みたいな、犬の服をあげたら喜んでもらえるかな?って。この服は、彼女の部屋から持ってきました』


チマチョゴリなんて、初めて作る。

『分かりました。先にサンプルを作るので、数日したら来てもらえますか?』

『はい。よろしくお願いします』


男性は、ペコリと頭を下げて店を出ていった。


『チマチョゴリ?』

アヤコが振り返った。

『型紙あるの?』


初めてのオーダーだから、型紙は無い。

派遣で働いていた、某有名ブランドでも、チマチョゴリは作ってなかった。


とりあえず、ネットで韓国の王妃の服を調べて、型紙を作らなくちゃ。


パソコンを開いた。

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