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声優と仲良くなれる同好会 ~4~ (終)

『声優と仲良くなる』

それが俺達の目的だった。


 声優業界とはなんのゆかりもない俺が、たやすく叶えられるほど甘い目的じゃないと思っていたが、その目的は意外なまでにあっさりと達成された。

 だってこの同好会にはすでに大人気声優がいたんだもん! 藤咲麻衣と言う若手大人気声優がいたんだもん!


 でも口で言えば簡単だったけど、今日と言う日を迎えるまでに体験した様々な出来事はもの凄く辛くて大変で、でも大切で大事な素晴らしいものだったと思う。そして短い期間ではあったが間違いなく俺達三人を成長させてくれたはずだ。


 これからも三石と真野と俺で色々な時間を過ごす事ができたらいいな。

 でも真野はこれからまた声優として本格的に活動再開するから忙しくなると思うし、三石も養成所に通い始めれば、今までみたいに毎日同好会に顔出す事もできなくなるだろう。


 だけど二人と一緒にいられる時間が少しでもあるのなら、俺はその時間を大切にしていきたい。だって三石と真野は俺にとって掛け替えのない仲間だから……。

 汗だくでなんとか二人を捕まえると、俺達は同好会の名前を変更するべく職員室へと向かった。


 今後の活動について話し合いながら………………。










「あっ!」


 いきなり大声を上げると三石は立ち止まった。


「な、な、何? 急に大声出して……。ビックリするじゃんか」

「春夏BLは? BLはどうなったのよ! まさか忘れたわけじゃないでしょうね!」

「なっ!」


 俺の方に振り返ると再び大声を出す三石。その声に更に驚いてしまったが、BLと言う単語には驚きを通り越して背筋が凍ってしまった。


 な、何故今BLって言葉が出てくるんだ? まさかBLドラマCDを聞いて、感想文を提出する件の事を言っているのか? でも声優である真野と仲良くなった今、その必要はないと思うのだが……。


「B、BLってあのBLドラマCDを聞く件か? お、覚えているけどもう必要ないんじゃないの? だって大人気声優の真野と仲良くなった時点で、声優と仲良くなるって言う目的はすでに達成されてるじゃん。だからBLドラマを聞いてBLの事を知る必要も、BLドラマに出ている声優と仲良くなる必要ももうないと思うのだが……」

「それとこれとは話が別よ! 確かに梓は声優だけど、それと同時に同好会のメンバーでもあるのよ。よって梓の事は声優にカウントしないの! だから春夏はBLドラマCDをちゃんと聞き、そしてBL声優と仲良くならないといけないのよ! それが私達の決めた同好会の最初の活動でしょ! それなのに何逃げようとしてるのよ!」


 そ、そうなの! 真野はカウントしないなんて想定外だぞ!

 これはまずいぞ。このままでは間違いなくBLドラマCDを買いに行かないといけない流れになってしまう…………。


「き、今日はいいんじゃないかな。だって今から同好会の名前変更しに行くんだし。あ、明日買いに行くよ……」

「夕実ちゃん、春夏絶対に買いに行かないよ。だって春夏の目が完全に泳いでいるもん! これは嘘ついている時の目だね! 間違いない!」


 真野め……何故俺の心を読むのだ! その場しのぎの嘘も簡単に見抜かれてしまった。


「今から買いに行くよ。私と梓も一緒について行くから」

「嫌って言っても無駄だぞ! 力づくでも連れて行くからな!」


 不気味な笑みを浮かべながら俺を囲む二人。切羽つまった俺は、


「い――――――や――――――――だぁ――――――――――――――――!」


 叫びながらダッシュで逃げた。


「あっ! 逃げた! 梓捕まえるよ!」

「うん夕実ちゃん! 待てぇ~春夏~!」


 何度も言うが三石と真野の足はめっちゃくちゃ速い。だから俺が必死に逃げたところで逃げ切れるわけがない。


 その後簡単に捕まった俺は泣いて許しを乞うも当然聞き入れられず、「未知なる世界・BL」に入門するべく、アニメショップに三石と真野と三人で向かうのであった…………。

 





 おわり


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