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同好会解散 ~4~

 そんな周りからの冷やかな視線にも耐えながら俺は真野に謝る。


「ご、ごめん……あの……俺…………」

「う、うるさい……もう……僕の前に、来るなよ……バカ春夏……」

 

 友達に抱きかかえられた真野は、俺に文句を言うとそのまま下駄箱の方へ歩いて行く。

 廊下に残された俺は、真野の後ろ姿をずっと見ているしかなかった。

 友達に抱えられながら弱々しく歩いて行く真野の後ろ姿を……。


 このままじゃイカン!


 このまま真野を転校させるわけにはいかない! もし転校するにしても三石との仲を修復させてからだ。修復できなくても話し合いの場は絶対に設ける! それが真野を傷つけ追い込んだ俺の最低限の罪滅ぼしだ。今度こそ思うだけじゃなく、ちゃんと行動に移す!


 だが俺に何ができる? 運動だってできないし勉強だって中の下レベル、しかも女性恐怖症で喧嘩の仲裁なんて男にもした事がない俺に一体何ができるのだ? 俺ができる事なんて絵描いたり漫画描くぐらいしかないでき…………、


「そうか――――――――! 漫画だ!」


 漫画だよ漫画! 俺にもできる事があったじゃないか!

 でも実際に漫画を描くわけではない。では何をするのか? それは漫画を描く時に培ってきた、物語を考える力を使うのだ。


 俺も下手ではあるが今までに何本も漫画を描いてきた。よって物語を作る事に関しては多少の自信はある。今回は今までに培ってきた全ての力をぶつけて、二人を仲直りさせる物語を作る! そしてそれをもとに実際に二人を仲直りさせるんだ! 


 つい最近かなりの酷評を頂いたへタれな漫画家志望の俺だが、今の俺にできる事はこれぐらいしかない。だから二人に対する、特に真野に対する思いを込めて全力でやるしかない!


 また真野に自己満のオナニープレイと非難されるかもしれないが、例え真野にこの気持ちが届かなくともこれが俺の出した罪滅ぼしの形だ。真野がいつ転校するのか分からないのでゆっくり考えている暇はない。だから明日までに物語を考えて、そして行動に移す。


 俺が今までに描いてきたどの漫画よりも感動できる大作にしてみせるぜ!

 気合十分の俺は急いで帰路に着く。そして夜中まで机に向かって物語を考えた……。


『真野と三石を仲直りさせる物語』を…………。


 ただ俺って「ファンタジー系のアクション物」しか描いた事ないから、人間関係を扱った物語は未知なる世界なんだよね……。

 そこだけが不安要素であるが…………まぁ、なんとかなるでしょう! ……多分。


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