2、 離れ、そして再び大海へ
「そして世界に竜はめぐる」という作品は、現在小説家になろうに公開している作品ですが、もともとこれはなろう用に書き出したものではありませんでした。とりあえず王道のファンタジーというものを一度書いてみたく思い、書き出したものでした。
まず、これを書き出すまでの経緯をお話すると、そのころの私自身の、ものを書くということ自体に対する向き合い方に迷っていたというところに話が及んでいきます。
そのころの私はとりあえず惰性的に小説を書いてはきましたが、公募に出すも鳴かず飛ばずの結果が続いておりました。今書いているものとは違い、当時はどちらかというとラノベ風の話ではなく、一般の文芸賞などをねらって小説を書いていました。しかし、公募に合わせて書いてみても、それが公募にあっているかもわからなかったり、まったく結果が出ず、モチベーションはさがっていくいっぽうだったのです。
そのころの私は、自分がなにを書きたいのかということが、なんだかもうよくわからなくなっていました。
そんなあるとき、なにげなく昔漫画用のネタとして考えていた話を私は小説にして書いてみました。これが思った以上に楽しく、その世界に没頭することができました。そして、それまで書いていたものが、いかに自分のかっこつけや義務感で書いていたのかがわかったのです。
そうだった。小説を書くのって本当はこんなに楽しいものだったんだ。
そう思えたことは、私にとってとても大きなものでした。
そして、これからは本当に書きたいものだけを書くことにしようと私は心に誓ったのでした。
まだこの時点では「そして世界に竜はめぐる」を書いていません。ちなみに上記の作品は今なろうには掲載していませんのであしからず。
とりあえず、自分の書くべきものは本当に書きたいものであるべきという、あまりにも当たり前のことに気づいた私は、ジャンルはなにかがわからなくてもいいから、とりあえず書きたいものを書いていくことにしたのです。
正直長年執筆を続けてきて、いつまでこうして小説が書いていられるかもわからないということも頭にありました。生きているうちに書ける量は限られているのだとしたら、書きたいものを書かなければ損です。それが現在も私のモチベーションへと繋がっているのです。
そうしていくつかの作品に私は着手してきたのですが、そうして書いているうちに、ついにその作品が生まれました。
「そして世界に竜はめぐる」。
そのころミヒャエル・エンデの「はてしない物語」を読み、児童文学的ファンタジーの世界を一度この手で書いてみたいという思いが私のなかでふつふつと芽生えていったことがきっかけでもありました。そうした思いから、私はこの作品を書くにいたったのです。
そうして物語を中程まで書いていったときに、当然の欲求として「せっかく書いたのだから、どこかに出してみたい」という思いが私の中で芽生えます。しかし、またどこのどんな賞に出せばいいのかわからず、迷っていたときに、ふと脳裏にあることがよぎりました。
そう。この「小説家になろう」です。
随分前に登録したまま放置すること一年近く。まさか再びなろうの大海に漕ぎだそうとは、そのときまで私も思っていませんでした。
調べてみると、なろうで主流なのはまさしくファンタジー。
思いつきと勢いで、私は「そして世界に竜はめぐる」という作品を、「小説家になろう」に投稿してみることにしたのでした。