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お粥さんのお話し

作者: 森乃 泉


1月7日、



朝はお粥さんだ。


ただのお粥さんでは無い。


具沢山のお粥さんだ





お母さん、お母さん。


今日の朝ご飯何?



まだ幼い娘は、このお粥を知らない。


不思議そうに見ている。



今日はね、ロウマン粥よ。



どこがロマンチックなの???



ロマンじゃ無くてロウマン粥よ



ロウはね臘て書くの、お正月や新年て意味が有るのよ。



このお粥さんは、新年に食べるきまりなの。



何で食べるの?



娘と一緒に作る初めての料理だ。



料理をしながら、このお粥さんの話しをしてあげよう。



土鍋にお米と餅米を半分づつ入れる、下茹での済んだ栗に大豆と小豆を入れる、秋に娘と拾ったシイの実も入れた。



タップリの水と、ひとつまみの塩を入れたら火にかける。




むかし、むかし。

あんまりに昔だからホントに有った事じゃ無いかも知れないけどね。



ホントだと思って聞くのよ。



元気の良い娘の返事に満足して



ロウマン粥の話しをしてあげる事にする。



凄く昔の有る所に貧しさ村が有ったの。



日照り続きで、朝から晩まで働いても、疲れるばかりでね。



米も野菜も余り出来なかったのよ。



このままだと餓死者が出る、そんな時に。



神社の神主さんが、村のあちこちを周り、食糧を少しずつ集めてね。


足りない分は山で集めてきた、木の実や草を入れてお粥を作って


村のみんなに配ったのよ。




土鍋が沸騰してきた。

春の七草を刻んで入れる。



春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロだ



田んぼや川の土手で、娘と積んだ、ペンペン草はナズナだ、ハコベも有った。


タンポポとヨモギ、それに三つ葉のクローバも刻んで入れる。



残りは、スーパーでかった七草セットと、牛蒡に色が淋しいので人参も刻んていれる。



土鍋の底から焦げない用に混ぜて水を足す。



沸騰したら弱火にする。

食べられる物なら何でも良いのよ。




少しだけど、自分で摘んだ物が入ると嬉しい用だ。




このお粥さんをね、



神主さんが作って皆に食べさせたおかげで。



この年の大凶作でも餓死者は一人として出なかったのよ。



そんな昔話と、七草粥の風習が混ざって、ロウマン粥(臘万粥)(臘満粥)て呼ぶ、お粥さんを食べるのよ。




村人、全員から少しづつ集めたから、万人とも満足とも、食材の種類が多いからとも言われてるけど、



一年に一度、友達や家族に感謝する思いで作るの。



それにみんなが仲良しで無いと作れ無いのよ。



火を消して出来上がりだ。


熱々のお粥さんに、香りの穏やかなゴマ油を少し入れて食べる。





ママ、ありがとう(≧∇≦)





中部地方に伝わる七草粥の一つ、ロウマン粥のお話でした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 神社の神社 ↓ 神社の神主 ですかね [一言] 餓死者が出るかもしれないほど凶作なんだからいくら寄せ集めても絶対数的に量は足りないのでは? どちらにしろ餓死者は出る気がしますが…
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