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最強剣士の俺が、異世界で精霊たちと好き勝手する  作者: 止流うず
真章《俺が異世界で全力で魔王を滅ぼす》
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七百七十七日目~



 七百七十七日目

 特に意味も無く騒ぎたくなった。

 特に意味もなく気分が上昇した。

 わけがわからなかった。あ、無事にサラ子さん海の神霊石をゲットしたそうです。今は陸に向かって戻ってくるそうで。いやぁ良かった良かった。



 七百八十日目

 はい。今回は海にいます。サラ子さんの乗った船が沈没したそうです。原因は海龍だとか。もちろん、きちんと殺害しました。あの黄金騎士を使ってます。ブレス全反射。ドラゴン涙目。

 で、機動兵器のレーダーでサラ子さんを探してるんだけど全然いねぇし。神霊さんに聞いたら海に落ちた程度じゃサラ子さんは死なないらしいんだが、不安だ。

 ちょっと脚ががくがくしてるし。でも探さないとって探したんだけど一向に見つからない。

 サラ子さん……。



 七百八十一日目

 今日も探索です。政務? なにそれ? おいしいの? って感じだが流石にしないとサラ子さんの立場が悪くなる(俺がここにいるのは国外の風男君の店の視察ってことで誤魔化してる。ちょっとだけまずいかもしれんが。だから仕事もしてるわけである)ってことで機動兵器のシステム使ってこっちに送られてきた書類を片付けてる。つーか機動兵器もちだした時点でもうあれなんだが、随分追い詰められる材料つくってるんだが。

 はぁ、見つからないし。立場は悪くなるかもしれんし。不安だなぁ、とか思いつつ。俺の立場なんざどうでもいいのでサラ子さんを探します。

 今日も見つかりませんでした。



 七百八十二日目

 ああ、見つかったそうです。よかった。海龍の屍骸の中から腹をぶち破って出てきたそうで。いや、中にいたのかとかちょっと冷や汗。頭部に機動兵器用の長剣で切れ込みいれただけにしといてよかったわ。あとで鱗とか回収しとこうと陸揚げ依頼しといてよかったわぁ。

 と、いうわけで帰還します。王女様(智)に頼んでオートモードにして、ぐっすり眠ることに。いや、三日徹夜とか、正直きつすぎる。

 しかし、安心した。

 安心した。グスン……。



 七百八十三日目

 王女様(智)と一緒に角少女の説教を受ける。風男君も隠しきれなかったっぽい。美人さん(貧乳)とかホウ統は龍種との戦闘記録に喜んでくれたが、内政組である王女様(武)やら角少女やらにふらふら動くなと言われた。サラ子さんのせいとか言う気はなかったんで。カッとなってやった今は反省してる、って言っといた。もちろん殴られた。

 あー、フヒヒwwwサーセンとか言ったらさらに殴られそうなので黙って説教を聞くことに。流石にサラ子さんを持ち出すことはなかったけど、たぶんバレバレなので冷や汗かきっぱなし。

 つーか、報告聞いた瞬間に駆け出して機動兵器に乗ってかっとんでビューンだもんなぁ。確実にバレバレだ。

 ただ、王座についてるなら、考えて行動してくれって真剣に説教されると堪える。サラ子さんだけに傾倒するなってことなんだろう。ああ、糞、サラ子さんを護ってるのは王様で、サラ子さんを窮地に追い込んでるのも王様なのである。

 で、次はないって感じで締めくくり。

 とぼとぼと二人で執務室に戻った。で、溜まってた仕事を片付けることに。


 で、疲れマラ状態で王女様(智)とエロスエロス。睡眠時間が超短すぎて理性も短かったってことにしとく。



 七百九十日目

 サラ子さん送ってきてくれた最後の神霊石と、海龍の腹に入ってたり、水の精霊がサルベージした海龍の巣にあった精霊の入ってる魔剣とかで召喚連打。

 なんかきざっぽい水の神霊さんが召喚できた。難しいことをやたらと言われて、興味深そうな目で見られる。精霊さんは大体そんな人が多いので関係なく契約。(不思議金属と付与とか、厨様の手綱握ってくれさえしてりゃなんでもいいよってことである)

 で、魔剣の連中も召喚というか解放できたので、いつもの仕事に戻った。

 サラ子さんが魔王軍と孤軍奮闘中らしい。行動早すぎるよサラ子さぁん!!



 七百九十一日目

 人類の不甲斐なさに絶望。なに? 王位簒奪って……。

 隣国国王が死にました。大臣というか、武断派っちゅうか、かなり武闘派な人が王位についたっぽい。えっと、はぁ? 勇者の親族? で、えっと、勇者の現婚約者?

 どうでもいいや。勇者は女王? 魔王を倒すまでは結婚はなし? はぁーピュアっすねぇ。

 っつぅわけでもないが、隣国内の不安はないけど同盟に亀裂が生じかけてるらしい。ちょッ!? 風男君に即行フォローしてもらう。まぁ米粒でお茶碗修復するようなもんだけど、ないよりまし。対魔王戦後を考えたらすごい不安だけど俺が考えることでもないしねー。ああ、風男君の店は対魔王戦後は通常経営に戻りますので、今までの揺り返しで一杯人が死ぬかもしれん。

 どうでもいいが。

 とりあえず、なんだ、勝算があるから簒奪したんよね? って聞いたら、最終魔導砲みたいな感じの対軍兵器があるそうです。へー、向こう千年ぐらい使った土地の魔力が枯渇するん? まぁ、どうでもいいや。効くの?って効いたら、魔族にも大ダメージだと。ただ使用者は万年の汚名を被るってさ。はぁー。まぁいいや、とりあえず攻撃範囲と使用するであろう土地をサラ子さんにさりげなく教えてあげてください。巻き込まれたらシャレにならんしなぁ。



 七百九十四日目

 人類が盛り返してます。ただ、使用者というかボタン押してる勇者がすっげーの。いろんな国のいろんな人から批難されてます。いやいや、汚名を被りつつも使命を果たそうとする根気。尊敬するぜ、俺だってサラ子さんのためにいろいろしたけど保身だけは忘れてなかったし。

 あ、勇者の婚約破棄されたって、新しい勇者が発生するとかなんとか。新しい勇者ってのは、大地にここまで嫌われた勇者も珍しくて、えっと天意だったか、神意だかなんだかを離すんだって、幼女組が今やってるらしいから真実っぽい。

 で、新しい勇者って誰? って聞いてみたら、隣国の農村に勇者の血筋でそこそこ美少女な女の子がいるからそいつにするんだと。あと三日というか、次にボタン押したらたぶん幼女組がしなくても勝手に天意が離れるから元勇者回収するなら今、とか言われてる。

 あー、めんどくせー。役に立つのかって思ったけど、内政値と武力値が高いし、勇者の血を国内に取り込むのは後々の世の危機に云々とか幼女が言いまくってくる。なら、その新しい勇者でよくね? って思ったけど、えっと? 一度地の底まで落ちた人材を救い上げると忠誠値が云々とか。個人と血筋は違うので、どうせボロ雑巾のように捨てられるならうちで再利用しようとか、元聖剣の幼女が言ってきた。

 って、パートナーだべぇ、とか思ったら、剣が所持者を利用する場合もあるって言われた。

 ああ、聖剣じゃなくて魔剣の類やったんやねー。って黄昏つつもじゃあ、俺が行ってくるかって思った。いや、ついでにミスリルより頑丈で、対魔王属性ばりばりの武器をその、勇者になる予定の女の子に届けてこようっとってことで。


 ここまでテコ入れせんと負ける人類って、俺涙目だけどな。


 そういや、なんで勇者は女の子なのって聞いたら、天意のせいで強化されるから男でも女でも構わない。でもどうせなら女の子の方が楽しいって理由らしい。ああ、そうなの……。呆れるわー。っとか見てたらケツを蹴っ飛ばされてさっさとしろって言われる。

 一応、天意が離れたもんでも問題ねぇのって聞いたら、天意は血筋で対象を決めるけど、基本的に個人を認めて宿るもんだから勇者が生んだ子供に血が流れてりゃ問題ないってさ。

 あー、天意が離れた人材って問題じゃねぇのって聞いたら、所詮人間だし問題なしとのこと。つか、万年単位で生きてる精霊さんからしたら、最終魔導砲も別に気にしないらしい。あ、そうなの? 別に大陸壊さなきゃなんでもいいよ、みたいな。

 アバウトだこいつらー、って改めて思いつつ。あ、そうなの? じゃあ連れてくるねーって俺も言っといた。



 七百九十五日目

 はい。勇者の寝室前です。んー? っとハァハァ音がしてるし。なんだろなー、とか光学迷彩装備で侵入しつつ疑問に思ってます。あ、俺の身体は魔法効かないけど、周囲の空間は魔法が効くので光学迷彩発動できます。高速移動とか、転移も周囲の空間でやってるんだぜ。でも、周囲の酸素奪う魔法使えば俺を魔法で殺せるんだぜ? 言わないけど、言ったらどうせ魔改造だろー、とか思いつつ。高位精霊魔法のひとつである擦り抜け呪文(壁とその周囲に無音の呪文→壁とその周囲に迷彩→壁を破壊→さっと中に入る。このときに一瞬だけ魔法の効果が消えかける→黙って無音と迷彩を重ね掛け強引に発動させる→壁を修復。魔法を解除、擦り抜け呪文です誠にありがとうございます)で中に入ります。精霊の加護バリバリだからいろんな精霊魔法使えるんだぜ。ついでに加護持ちで生き残ってるのって俺のぐらいだからこっちの国の人たちって誰も警戒しねぇんだよな。

 で、中を見てみると。


 えー、っと、パンツを頭に被ったおっさんと部屋の隅でガタガタ震える元勇者って、ああ、まだ現勇者か。


 じーっと見てると、あれです。エロゲ的イベントのひとつっぽいです。事後かなぁとかわくわくしてたら、別にそうでもないらしい。まだ勇者が必死に抵抗してるし。おっさんが観念しろーとか言ってる。つかこのおっさんは誰だ一体? 国王じゃないっぽいんだが。んー? 婚約が破棄されたし、政治的に守ってくれる人が誰もいなくなった、とかかな。現勇者。

 で、勇者は助けてーって人名を叫んでる。恋人かねぇとか思ってわくわくしながら見てたらえっと、俺の名前っぽい。

 いや、最初は誰の名前かなぁとか思ったら中二的な二つ名をもつ身体の名前だった。がっくし……。

 まぁ、そこまで言うなら助けてやらんでもないし。いや、挿入前か挿入中、もしくは中田氏前とかの方が個人的にはすっげーわくわくするんだけど。

 ああ、忠誠値上げるならタイミング計るか……。


 少々お待ちください。


 で、俺超善人だから挿入超ギリギリ前に助けることに。あ、おっさんの前戯とか、すげぇ勉強になった。ごめんな、おっさん。俺がもっとしっかりしてりゃこんなことする必要なかったんだけど。って、光学迷彩解除しながら黙祷。で、と。


 助けに来たぜ! 勇者!! みたいな茶番をすることに。


 ああ、なんで俺がこんな三文芝居をすることに、内心涙を流しつつも、生きてたのかーみたいな顔ですがり付いてくる半裸の赤髪美少女。おっさん、改めてナイス!! この国の王とか俺、馬鹿にしてるけど、この国にはおっさんのためにも支援いっぱいするから、対魔王戦後もちょっとだけ支援は続けるから!! くじけるな!!

 ってことで、えっと、勇者に逃げる準備をしてもらって、と。気絶させたおっさんには治癒の魔法を勇者にばれないようにかけておく。ついでにごめんねおっさん的な意味で新しい勇者があらわれるって脳裏に語りかける魔法を発動しとく。魔法無効化なのに魔法使えるんだぜー。俺ってチートだよな。

 あとは、おっさんにしてやれることとかあるかなぁ。すごい勉強になったし、ぶん殴るとか悪いことしてしまったんだが。んー、ってことで、ああ、勇者が今夜、天意に嫌われたことにしておこう。ついでに前の勇者は天意が離れたよー、徳が下がりまくるから手を出さなくてよかったねーって伝えとく。いや、このおっさんも結構、徳が低いけど、俺やサラ子さんみたいにだだ下がりってわけじゃないんです。勇者? いや、もうマイナスに振り切れてる。性格と性根が善性だけど、徳だけはかなり暗黒面っぽいねー。

 で、ブラック勇者を回収(身体を整えて、武具を装備するだけだったから時間はかからなかった)。正直、途中で捨ててもよかったし、勇者の血筋とか普通に攫ってくりゃいいんじゃねーの。みたいな夜盗的発想をしてみるけど、まぁ、要求だしかなえないとかなぁってことで王国へ向けて駆け出します。

 で、途中の村で勇者を待たせといて、あらかじめ隠しておいた精霊車の光学迷彩を解除する前に教えられた民家に侵入。寝てる美少女を起こす前に、と、えーっとあったあった、神意を人工的に発動させる神宝を装備して、で、と周囲にばれないように適当な魔法でこの部屋を隔離して、美少女を揺り起こします。


 説得中……。


 よかった。勇者の血筋ってのは性根が武闘派らしいね。この女の子も可憐そうな顔して内心ではやるときゃやるって子だった。

 あらかじめ精霊車の中に入れといた武具を持ってきてたので、これは魔王をぶっ殺せるすばらしい装備なので大事にするようにって押し付ける。魔法反射やら無効はないけど魔法耐性は勇者に売りつけた俺の元装備よりすごいし。精霊の加護が鎧の方についてるから上位精霊魔法も多少は使える。あとは、まぁ適当に魔王を弱らせる権能も入ってるらしい。いや、聞きかじりだが。あと、素材がオリハルコン? まぁオリなんちゃららしいから壊れても再生するよーって伝えておいた。


 さーてと、美少女を強引に眠らせたのでさっさと退散します。

 不安でガタガタ震えてた勇者が正直うざいのだが、まぁ、抱きついてきて胸の感触……鎧のせいで楽しくねぇや。

 光学迷彩解除した精霊車に強引に乗せて(ここでひと悶着。だけど強引に押し込む。押し通す)、国へ向かって帰還、と。

 あー、ダルダルだ。疲れた。帰ったら寝よう。



 七百九十六日目

 王国を見た勇者放心中。俺の国だって説明しとく。まぁ、あの中二病的言い訳を思い出して赤面しつつ、魔王軍の云々かんぬん、からくも逃れた俺はここで誰も傷つけることなく死に逝こうとしていた的な説明を。だけどそこで神様がー。いや、サラ子さん的な俺の女神様(ごめんよ。サラ子さん嘘に混ぜちゃって、でもここでサラ子さんを激励、褒めまくる。超褒めまくる。俺が惚れたみたいなことも言っておく)に励まされ、がんばって生きていくことに。まぁ、あれだ。時期をずらしたけど後は本当のことを言っておく。人材をそろえた。精霊を召喚した。そのときに精霊が今まで人間に使役されていた云々で、だから共に暮らせる国を作った。云々。

 で、精霊魔法が使えなくなって、人間が死に掛けているのはお前のせいか、みたいなことを言われたから笑顔で頷いた。殴られた。殴り返して怒鳴ってやる。いいかー!! 俺の女神様のお仲間を使役するような連中は好かない。ついでに自分の身も自分で(常に護衛のついている人間の台詞ではない)護れないような人類は滅んで当然。そんで、俺の家族(言ってる途中で思い出した)を殺した奴らがなー的な台詞をつけとく。いや、内心じゃ、うらんでないっす。お家を護れなかった家族の責任やん。

 で、黙り込んだ勇者に、それでも俺は魔王とは戦ってるんだぜ、みたいなことを言っとく。人類が明日の飯に困らんのはうちの国の食料を送っているから。装備が充実したのはうちの国の武器を送ってるから。急に人材が増えたのも、各地の元奴隷やらを解放しているからさー、ってな。

 でも、何故戦わないのかって言われた。国民を戦争に巻き込むわけにはいかん、とだけ言っとく。そして、支援は国策ではなく俺の善意だとも。

 魔王に喧嘩を吹っ掛けられたら応戦する。だけどそれ以外はやらねぇって言っといた。で、また殴られて、軽蔑したぞって言われた。どうでもいいから殴り返しといた。あと俺運転中なんだわ。加護のおかげで全然痛くないけど。ちょっとだけちびり掛けた。事故るぞゴルァァァ!!

 と、いうわけで幼女神殿に向かって、勇者を引き渡す。正直職の世話とかする気にならん。住居もここの下働きでよくねー?

 で、勇者が幼女組、というよりは元装備に宿っていた幼女たちとご対面。

 即座に幼女の正体を看破した勇者。マジすげぇ。俺にはただの小さい子供にしか見えないのにねぇ。ついでにもうお前は勇者ではない、とか言われてた。

 鎧の幼女がそばによってきたので、てこてこと頭を撫でてしまう。偉そうな口調で怒られたのでそのまま魔力注入。ふにゃふにゃになる幼女に和みながら魔力注入アンド頭撫で続行。ああ、俺の隣ですごい怒鳴りあってたり、勇者が神殿の床を叩きながら自分の人生はなんだったんだー、みたいに嘆いてる。で、幼女組がそこの元勇者は好きにしていい、って言ってきたけど俺もいらねーって答えた。隣の勇者がなんか呆然としてるけど、正直、いらん。幼女が世話しろって言ったら、幼女組に天意に嫌われた者はいらない。一度命じた立場から最後に直接伝えたかった、とか言われる。ちょ、お前ら、別に俺使わなくてもいーべさ。おっさん殴られ損じゃん。

 あー、俺もいらんぞ。本気で。移民組の世話もしなきゃならんし。新しい街も作る予定だしさぁ。ジークフリート計画の既に出来てる部分で街が作れるらしいのよ。あと結界の調整とかマジ忙しい。譲歩して支度金はくれてやるからそっちで世話しろって突っ込む。つーか、幼女が本気で嫌そうな顔で勇者見てるし。ガシガシと頭掻きながら、なるべく職の斡旋はしてやるし、この国から出たいってんなら出してやる。ん? あー、そっか血筋云々は幼女たちの建前だったからやっぱり勇者の血筋って攫ってくりゃいいわけね。

 とか言いあってたら、勇者が呆然とした顔で魔王は? って聞いてくるの。魔王がどしたんって幼女と二人で勇者を見る。他の幼女? 仕事に戻った。ついでに俺の足元に鎧の幼女がくたーってなってるから、そばのソファーに寝かしてやる。

 で、勇者が魔王はどうなるのか。魔王を倒さないのか。って必死な顔してた。えっと、って幼女と顔を見合わせる。別に、どうでもいいんじゃねーの? まぁ時期はサラ子さん次第だからわからんが魔王は倒せる。サラ子さんが怪我しなきゃ俺はどうでもいいし。心配なのはサラ子さんの怪我ぐらいだし。

 幼女は、ああ、そっか、みたいな顔で、ほっといても死ぬからお前が関知することではないってびしって切ってる。ほっといても死ぬ、とか勇者が呟いてるし。ああ、幼女幼女、茶菓子ぐらいだせってことでしぶしぶ幼女が出してきた高級茶菓子を喰いつつ、お茶を飲む。

 俺が帰ってきたのを知ったのか、王女様(智)が主様って感じで神殿に入ってくる。そんで、事情は知ってたから、突っ立ってぶつぶつ勇者を見つけて、もし行き先が決まってないなら私が預かりますがって言ってきた。

 正直、処分というか、連れてきた手前放り出すわけにもいかなかったから幼女と二人で一安心。あと、お前は最初から俺に世話させるとか考えてたんかって更に茶菓子をせびってお茶飲んで王城に帰ることに。

 いやぁ、この王女様(智)の有能さには頭が下がるばかりである。



 七百九十八日目

 そういや、城下町がすごいなぁとか思ってたら、元神聖教? うちの国の宗教の祭りが近いっぽいです。

 勇者? 王女様(智)の家で使用人だって。つか王女様(智)は基本的に家に帰らない。で、あいつも動くのは億劫だってんで、ほとんど引きこもりっつぅか、ニート状態。元々雇ってた使用人がいるからその人に世話されてるってさ。

 勇者がニートかぁ……。面白そうなので、最近できたっていうテレビと王国で流行ってる漫画やらを送ってやることに。ついでに文庫本とか、そういうのも。

 娯楽がちょっとできてきたから俺が支援してやったのだ。わははは。あ、インターネットというか、パソコンは研究所ぐらいでしか使われてない。あとはでっかい商家とか、秘書課とか。国民が必要とするにはもう少し社会というか、経済とかその辺が習熟しないと使わないだろうってさ。パソコン高いしね、まだまだ。

 かくいう俺も普及してないのと安全性の問題から未だに紙の書類で決済とか判子とか押してる。


 ちなみに、王女様とか騎士とか高位だった人たちは歌劇とか劇場とか、そっち系の娯楽ぐらいしか行かない。あと温泉。なにやらマンガやら文庫本の類から堕落の匂いがしてくるそうで。

 はまったら一直線な人が多いから自重してるそうです。王女様(武)あたりはくだらんって一刀両断してたのを見たことがある。

 美人さん(貧乳)はいろいろ集めてたまに読んでるみたいです。



 八百一日目

 で、神殿祭り開始。一応挨拶には呼ばれたけど、基本的に大神官様が取り仕切ってる。つーか、政教分離してるもんねぇ。

 狂信というか、妄信してる人はそういないとは思うんだが、宗教かぁ。いや、王位を捨てる予定のあっしにゃ関わりのねぇことなので黙ってみてる。で、挨拶して、少しだけどんな祭りかを見てから城に戻った。

 テレビつけてみたら、四方と八方の街と村でもやってるそうで、双子ちゃんが踊って歌ってた。

 やんややんやと笑って拍手して、で、仕事に戻る、と。

 隣国じゃ新勇者のお披露目。前線では新たに魔導の使い手(基本的に魔導力を操れる人物がスイッチを押せば発動する兵器らしい)が最終魔導兵器の使用者に選ばれた。で、土地が枯渇して、魔王軍は大打撃である。

 ふむ、サラ子さんも砲撃とは関係ないところで暴れてるらしいです。良かった良かった。とはいえ、あんまりサラ子さんには戦って欲しくないのだが。

 無理してなきゃいいんだがってことで、サラ子さんが次に立ち寄るであろう街で嗜好用の高純度魔石を渡してもらうように指示。国王ではなく、俺からの好意ってことにしたいんだが、きっと受け取ってくれないだろう。

 店員が頑張るサラ子さんに同情したって形にしとくか。そう指示を出しておく。受け取らないかもしれないが、有象無象の好意でも同情でも正の方向に気にかけてもらえるってのは嬉しいはずである。

 少しは休んでもらえればいいんだが、ノンストップなサラ子さんが心配な俺。



 八百三日目

 美人さん(貧乳)が元勇者の様子みにいこーぜーって感じでやってくる。面白そうなので同意。そうそう、一応、古代兵器系(最終魔導砲みたいなん)が眠ってる遺跡をピックアップしてもらったから隣国に情報を売りつけた。あと二、三機はあるそうなのでもしかしたら人類は勝てるかもしれん。

 でも今後、大陸は飢餓の波に襲われるとか。うち? 神霊さんやら厨様、そんな連中がいるんだから飢餓とは無関係です。十年分ぐらいは食料も溜め込んでるから凶作があっても国民が飢える事はなし。最悪、凶作が続いても十年ぐらいあれば無事な土地を探すか、海産物で凌ぐかもしれんしねー。

 そういや、亜人たちが結構バタバタ各地で絶滅してるっぽい。魔王軍が食ったり人間が無理矢理兵隊にするんだって。あと女子供は即奴隷とか。ふーん、とか思いつつ。美人さん(貧乳)とデートのような形で街を歩きつつ、王女様(智)の自宅へと到着。家の持ち主? 後ろを静々とついてきています。

 で、中に入る。昼間なのにまっくらである。王女様(智)がスイッチつけて、魔力で明かりをつけてる。ああ、発魔所あるから電灯みたいなものなのです。

 で、王女様(智)がお茶を用意してる間に美人さん(貧乳)が勇者を発見。見てみるとキノコが生えてそうである。美人さん(貧乳)が失望っぽい表情を浮かべてる。つーか、部屋が臭い。一応、風呂見たら使ってないっぽいです。もう一人の使用人さんは自宅通勤だし。掃除と洗濯、食品の補充とかそれぐらいらしい。で、勇者の部屋の足元みたら朝食が引きこもりの息子の部屋よろしくおいてあった。ちょっとだけ食べた跡があって哀愁をそそる。

 王女様(智)も最近は自宅に帰ってきてなかったから様子を把握してなかったっぽい。あたたたた、って額を押さえてるし。

 で、勇者といえば暗い部屋で布団かぶってテレビをじーっと見てんの。部屋の隅にマンガとかが無造作に積み重なってるし。あ、読んだっぽいね。最後まで。あと武具にはうっすらと埃が積もってた。

 で、美人さん(貧乳)なんか部屋に入るのが嫌そうな感じである。来る前はからかってやろうみたいな馬鹿話してたのにねぇ。つーか、今この大陸でこんな引きこもりできる余裕のある国は、というか魔王軍がいなくてもなかったのである。貴族? ああ、大貴族の末息子ぐらいならできたかもなぁ。テレビ送ったら面白おかしいことになると確信してた俺でてこい。社会病に勇者が感染しましたーッってまぁ、いっか。

 ただ、王女様(智)がふらっと床に手をついてよよよって感じで泣きかけてる。あの凛々しかったお方がみたいな感じであるし。美人さん(貧乳)は王女様(智)が用意したお茶を飲んで帰ってしまった。

 最後にあとよろしくーみたいな感じでやる気なさげだったよ。

 いや、俺もどうでもいいんですよ。ほんとにねぇ。

 っとまぁ、そんなこと言ってると王女様(智)が勇者を気にして仕事できなさそうなので、勇者を避けて、浄化の魔法を室内に打ち込む。勇者? 当たったらたぶん即死するぜ。

 で、勇者を引きずり出して説教。


 大陸各地で人々が死んでたり苦しんでたりするのに、お前は何をやってるのか。それでも心ある人間なのか、と。


 で、全ての元凶である俺に言われたくないみたいな拗ねた口調で言われた。どりゃーって殴っといた。いや、怒ったふりである。こいつに本気で怒るとかめんどくせーもん。

 やる気をだせ!! 俺が認めてた勇者だったお前に戻れ!! お前が魔王と戦ってるときにどれだけ俺がお前に期待してたと思ってる!! みたいにかつての栄光攻撃。いや、もう少し頑張るかなぁ、とか思ってた時期があったんです。今は新勇者に期待中。あとおっさんにすげー謝罪したい気分。こんな駄目ニートのために怪我を負わせたかと思うと。よよよ、と俺が泣きたいのである。

 で、俺の情婦である王女様(智)にこいつを風呂にぶち込んで洗うように命令。

 少しは飴というか緩急のついた攻撃である。気骨が残ってれば今からでも多少は家事手伝いぐらいはできるレベルに復活するはずである。たぶん。

 で、王女様(智)にアイコンタクト。内乱支援中にどれだけ俺が勇者に期待をかけてたのか王女様の口から感情込めて説明。ついでに昔話ついでに勇者の言い分を聞いてやりつつ、理詰めで封殺してベクトルをネガティブから戻せと。

 最近やっと阿吽の呼吸ができるようになってきた。まぁ四六時中一緒にいるのでこれぐらいはできるようになってもらわないとなぁ、とか思いつつ。サラ子さんの身代わりにだけはしないように心に言い聞かせる。サラ子さんはサラ子さんであるから。俺があの人の身代わりとか用意したらいけないのである。ついでに心にぽっかり空いてる穴も、サラ子さんがいた証だと思うとちょっとは愛しく思えてきます。

 はぁ、ってため息つきながら簡単な料理を用意する。

 がりがり頭を掻いて、勇者は、ほんとぐだぐだだなぁって思った。まぁ、全力でやってたことをやらせてた人たちに否定されちゃったんだからしょうがないことではある。

 誰もが心を強くもてるとは限らないのだから、それぐらいは見逃してやってもよいのだが。あんまり俺の周囲の人間に迷惑かけるようなら元に戻さないといけないのだ。

 仕事の多い俺には構ってやる時間がないのだから。

 はぁ、とため息をつきつつ風呂から上がった勇者に餌を与えて、あとは王女様(智)に任せて城に戻ろうと思う。

 なんか勇者が言いたそうな顔してたけど、覇気が戻ったら聞いてやるって言ってさっさと帰ろうとしたら、近くの喫茶店で美人さん(貧乳)が待ってた。

 仕方ないんでさっきの経緯を話して、適当に遊んで城に戻ったら角少女に二人して叱られた。

 あー、ごめんねーって感じで謝りつつ。久しぶりに二人で仕事。

 最後にちょっとだけオフィスラブして今日はおしまいである。



 八百三十日目

 やっと魔王軍が瓦解し始めるかもしれん。ただ人類の中でも亜人系や神聖、精霊、魔導、の連中がバタバタ死に始めた。原因は大地の枯渇、らしい。あと最終魔導砲の誤射で最大規模の反乱軍が魔王領内で壊滅した。生存は絶望的だってさ。

 やばくね、ってのが俺の感想。共倒れもありえるとか。幸い、海洋王国は両者に不干渉を貫いてたから人類側の王国が全部なくなることはないとのこと。ちょっと一安心。ただ今後の人類は暗黒の千年期を迎えるだろうってのが王女様(智)の言葉。美人さん(貧乳)や王女様(幼)あたりはもう絶対に大陸中央に関わるなって言ってる。復興に関わるとこっちの資源を吸い尽くされる可能性もあるからってさ。王女様(武)にもそろそろ干渉をやめろって言われた。支援してる連中に気づかれたらこっちまで引きずり込まれるって言ってる。

 火竜王国上層部は、大陸中央の人たちに不安を感じ始めているのだ。

 風男君の店もバタバタつぶれ始めてるし。つーか、風男君の支援してる店以外生き残ってるのはないっぽいです。元々の体力が違う上に、原価ぎりぎりで商売してりゃ他の店は当然つぶれるよなぁ。

 ため息つきつつ、貿易での赤字も見てみる。蓄えてた財産があるし王国内の経済は順調だから問題ないが、海洋王国も貿易を縮小し始めてるなぁ。

 自給自足、はできる。奴隷を買う以外は大陸に積極的に手を出す必要を感じないし。こっちは王国内で経済をぐるぐる回せばいいってのはわかる。試算させてみたら、大陸中央の国家に関係なしにうちの王国のみでも万年は問題ないとのこと。無論、政情不安定までは計算にいれてない。でも自壊とかそういうのはないっぽい。

 手を引くか。既にこっちは食料供給のみに専念する以外に手を出す必要を感じない。大地の枯渇は魔王軍にも影響を与え始めてる。両者は、何をしなくても滅ぶ。

 サラ子さんは、勇者の鎧にかかってる付与のおかげで枯渇の影響を比較的受けずに行動できている。現在の状況はサラ子さん有利に動いている。

 魔石の供給も問題ない。サラ子さんはきちんと受け取って行動してくれている。

 隣国の自業自得という状況だが、もうただ魔王を討つだけではいけなくなってきてる。

 そうして、多少の思考をしていると風男君が恐ろしくも魅力的な情報をいくつか出してくれた。


 大陸の危機。そう、最終魔導砲の連打によって死に掛けた大地は、自己を再生する機能を失いかけている。


 ふ、ふははははは。よし、問題なし。

 王女様(智)が恐ろしげな表情で俺を見ていた。だが、その表情の中に信頼の色を見つけ、安心する。問題はない。風男君は、いつもどおりだ。この人が何をもって俺にここまで力を貸してくれるのかはわからないが、問題はない。

 そうして俺は一言呟いた。

 最終決戦だ、と。



 八百六十日目

 人類は勝ちました。


 経緯を説明→魔王軍内部から名前縛りで離反者(王女様〔智〕が以前から用意していた策)を大量に出す→離反・裏切りを許さない魔王が全軍でこれを追撃→人類連合の囲いを突破→魔王軍、人類領に突入→国をひとつかふたつ蹂躙しつつ。離反軍は粛清される→人類領のど真ん中で魔王軍孤立→気にせず村とか町とか襲いまくる。→阿鼻叫喚。エロゲ的その他CGイベント発生中→人類連合到着→蹂躙される→主砲発射イベント→事前に細工してたから全機発動シークエンスが遅延しまくる→いい感じに修羅場→新勇者魔王に凌辱され中(CG回収イベント)→サラ子さん到着→光学迷彩発動、腰振ってる後ろからさくっと魔王始末→混乱しつつ、魔王軍撤退→人類追撃→人類軍、地力の差で壊滅


 と、まぁこんな感じです。あと魔王が操っていた上位の魔物が魔王の死後に魔王の息子たちを喰い散らかして、そいつらが操ってた魔物が大混乱。内部で同士討ちが多発した後。大陸の危機にやってきた龍の集団が最終魔導砲を破壊してった。あと、人類にも痛撃与えて、ついでに魔王軍の残党にちこっとだけブレス吐いて棲家に戻っていった、とのこと。


 いやぁ、対魔王戦長かったわぁ。わはははは。


 すっごい疲れたので俺寝るわ。サラ子さん戻ってくると思うから、帰ってきたら伝えてくれって言って俺は寝ることに。



 ……それで、俺は――



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