愛がために
掲載日:2026/04/22
私でも、たまにはこんなタイトル。
緞帳に遮られた
未来に目を凝らすでもなく
枡席で幕の内を頬張れば
寂れた劇場だけどうってつけ
売り娘の尻を未練たらしく追ううちに
すっぽかされた演目も忘れた
結ぶだけ結んだ約束が
あたしの小指を千切って持ち帰ったけど
取り戻す手立てを練るでもなく
呑気に構えて過ごせば
傾いた夕陽に色褪せが斑をつくる
愛がために燃える炎があるのなら
焦げついた燭台になりたい
想い遺しかのように冷え固まる蝋に汚れても
剥がしてやる爪は折れた儘で
沈黙で塞ぎ込んだ
質疑になど応答はなく
雛壇に誰ひとりもあがらずに
小洒落たジョークがうけてご満悦
振り子の糸は願い虚しくほつれゆく
賭博が祟り種銭を融かして
渡すだけ渡した空手形
あたしの果実を捥いでは持て余すけど
取り立てる期日が定まらずに
途方に暮れてちゃ駄目だわ
型落ちのモデルを差し押さえ二束三文
愛がためにひとが世界を廻すなら
凍てついた扉にも鍵穴
使い減らしないように満ちて溢れる夢に溺れても
息継ぎさえ今は惜しんでたい




