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『初期魔法しか覚えられない俺、しかし全属性適性持ちだったおかげで最強になる』  作者: ルー


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至高魔法国家ノクタリス①

この世界では、魔法とスキルの強さが人の価値を決める。


生まれ持った魔容量。

属性の純度。

そして授かるスキル。


スキルとは、

個人に刻まれる特殊能力の総称だ。


魔法の威力を底上げするもの。

詠唱を短縮するもの。

魔力回復を早めるもの。


その大半は魔法に関係しており、

優れたスキルを持つ者は、それだけで高い地位を得られた。


剣術や商才に関わるスキルも存在はするが、

魔法至上主義の国家では、

それらは「外れ」として扱われる。


世界には五つの巨大な魔法国が存在する。

火・水・雷・風・土

それぞれが一つの属性を中心に据え、

独自の魔法体系を発展させてきた。


その中でも、最も極端な思想を持つ国。


至高魔法国家ノクタリス。


この国では、

魔法とスキルの優劣が

そのまま人の序列を決定する。

俺ルーク・ノクタリスは、

そのノクタリスで生まれた。

家柄は中堅貴族。

王族ほどの権力はないが、

魔導師団や魔法学園への道は約束されている。

だが、俺が期待されていた理由は、


それだけじゃない。

幼少期に行われた魔力量測定で、

俺は同年代の中でも一際多い魔容量を示した。


「成人魔導師並みだな」

「これは将来有望だ」


測定に立ち会った魔導師たちが、

口を揃えてそう言ったのを覚えている。


父は誇らしげに微笑み、

母は少し心配そうに俺を抱き寄せた。


「焦らなくていい。才能は逃げない」

「ええ、ルークはきっと立派な魔導師になるわ」


 愛されていた。


スキルについても、

俺は楽観していた。


魔容量が多い者は、

強力な魔法系スキルを得やすい。


それが、この国での“常識”だったからだ。


「どんなスキルを持つのかな」

「詠唱短縮かしら?」

「複数魔法同時詠唱だったらすごいよね」


そんな話をして笑う母と、

無言でうなずく父。


俺自身も、

疑うことなくそう思っていた。


そして

俺には婚約者がいた。


名はセリス。


「ルーク様、今日も訓練ですか?」

「ああ。セリスはスキルの勉強?」

「はい……でも、難しくて」


照れたように笑う彼女を見て、

胸の奥が少し温かくなる。


家族がいて、

期待されていて、

将来を共にすると約束した相手がいる。


完璧な人生。


少なくとも、

この国で“価値がある側”として生きていけると、

俺は信じて疑わなかった。

だが、ノクタリスでは。

どれほど魔容量が多かろうと。

どれほど家柄に恵まれていようと。


魔法とスキルが期待に沿わなければ、すべてが無に帰す。


その現実を知る日が、

もうすぐ、確実に訪れる。

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