第3話 世界が侵略されちゃう?
今日から新生活!
そしてこの春からは晴れて華の女子高生!
……になる筈だった私、城ヶ崎佳人は入学式に向かう途中、まるで世紀末のような荒廃した世界へと迷い込む。そしてそこで全身黒ずくめの怪しい男達に襲われていた親子を助けようとして返り討ちに。
しかーし、突如現れた謎のロボットの力で、世界中の全女の子の憧れの的! 魔法少女に変身した私はバッタバッタと敵を薙ぎ倒して無事平和な世界へと帰還したのであった。
「いるんでしょ? 四角いロボットさん」
(正確に言うと僕は君の世界にはいないけど、こうして君との意志疎通は図れるよ)
「またっ直接脳内にっ。つまりどういうこと? 居るの居ないの?」
(僕の実体は君たちがさっき迷い込んだ世界に実在している。こちらを君たちの言葉でわかりやすく例えるなら並行している時空、パラスペースだ)
「(わかりやすくないっつーの!)じゃあ何であなたの声は聞こえるの?」
(君の第7頸椎に繋いだE-デバイスから僕の考えが言語化されて直接脳内に伝わっている)
ハッとして首の付け根辺りを触る。何か無機質な塊がくっついている。スマホカメラで首の後ろを確認すると、宝石のような多角形の物体が埋め込まれたブローチ状の物がくっついていた。
「ちょちょ、ナニコレ? 変身アイテムってなんかもっとこうコンパクトとかステッキとか」
(それは僕たちの世界で作られた強化デバイス〝E-デバイス〟だよ。君が第7頸椎付近に意識を集中して『変身』と唱えるとデバイs……)
「いやいやいや、体育の時とか着替えの時とかどうすんのよコレー⁉」首の根元に引っ付いてるのを外そうと引っ張ってみるけど抜けそうもない。しかも痛い。
「イタ、タタ」
(ちょっとちょっと! もしかして外そうとしてる? まず外れないし万が一外れたとしたら……)
「もし外れたら?」
(多分死んじゃう)
「死ーっ! って、どうすんのよこれ? こんなの付けてたら入学式初日からみんなにイタい子って思われちゃうよーっ」
(E-デバイスに意識を集中しながら『透明化』と唱えれば見えなくはなるよ)
「えぇと、意識を集中して……透明化!」スマホで確認するもブローチに変化は全くおきていない。
「透明化!」もう一度やってみてもやっぱりなにも変化はない。
「ちょっと、何も変わらないわよっ」
(上手く意識出来ていないんだ。慣れるまでは手で触りながら唱えるといい)
言われるままに指先で触りながらもう一度唱える。
「透明化っ」もう一度確認すると今度はちゃんと首の根元から消えている。
「ほんとだ! ちゃんと消え……」もう一度触ると指先にさっきと全く同じ無機質な手触り。
「えっ?」もう一度スマホで確認するもやっぱり何も写らない。けど触ると確かな違和感がそこに存在している。
「ちょっとこれどういうこと? 取れてないじゃないの!」
(あくまで視覚情報を誤認させているだけだよ。デバイスが取れるとは言っていない)
「ちょっとーっ!」
(君はそのE-デバイスを使ってこの世界を守るんだ)
「強引に話進めないでよー! って、守るって誰から? さっきの全身真っ黒の宇宙人みたいなのから?」
(彼らはこの世界を侵略に来ている)
「侵略?」
(彼らは時空を超えてこの世界に……)
「時……ってそんな事より今何時? ヤバーイ! 学校! 初日から遅刻しちゃうーっ!」