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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
7節 新たな出会い
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第096話 もう1人

 私は今、放課後に駅周辺をパトロールで歩き回ってます。

 教科書とか入った鞄はまー君の家に置いて来て、小さい鞄だけなので身軽。


 そして始業式の日から、堕ち星が出たという情報もない。

 でもまー君は警察と協力して動いているみたいで忙しそう。


 だから私もできることをしないと。


 そんな事を思いながら歩いていると、私の目に1つの看板が目に入る。


「お洒落………可愛い……美味しそう……」


 私はそんなことを呟きながら、看板の前で足が止まった。

 目に入ったのはカフェの看板で、とてもお洒落で可愛いケーキの写真が貼ってある。


 財布は小さいカバンに入ってる。

 少しお腹すいたし、休憩していこうかな……。


 と思う自分を私は全力で止める。


 違う違う。今はそんな事をしている場合じゃない。

 ここは今度来よう。できるなら誰か誘って。


 そう決心して、私は再び歩き出す。


 みんなが動いてるのに私だけ休憩するなんて、私が自分を許せない。

 あとまー君にバレたら文句を言われそう。


 ……いや言われないと思うけど呆れられそう。


 まー君。4月の頃と比べるとだいぶ戻ったと思うけど、やっぱり昔のまー君とは違うと思う。

 戻らなくてもいいからもう少しこう……柔らかくなって……欲しいなぁ……。


 というかやっぱりまだ何か隠してるよね。

 この前のレヴィさんと話してたときも後ろ向いて話してたし。


 流石の私も何かおかしいとは思う。


 でも4月に保健室で話してくれるまで待つって言っちゃったし……無理に聞くわけにもいかないよね……。

 あのときと違って、今は一緒に堕ち星と戦ってるし。


 そう考えていると、見覚えしかないお店が視界に入った。


「……そういえば、新しいの出たかな?」


 目に留まったのは、私お気に入りのアクセサリーショップ。

 近くに来ると予定になくてもついつい寄ってしまうぐらいお気に入り。


 そんな今も吸い寄せられ……



 るその瞬間、遠くから悲鳴が聞こえたのを私は聞き逃さなかった。



 今日は寄ってる場合じゃない!


 私は急いで誘惑を振り払って、多分聞こえた方に向かって走り出した。


☆☆☆


 少し迷ったけど何とか声が聞こえた場所に辿り着けた。

 場所はいろんなお店が2つの階に沢山入ってるところ。アウトレットモールって言うんだっけ?


 私は今その場所の2階にいる。

 そして吹き抜けの下に見える1階の広場で、耳と尻尾がある黒いもふもふの何かが暴れてる。


 多分堕ち星だと思う。

 もちろん走ってる間にみんなに連絡入れた。でもまだ誰も来ないみたい。


 私はもう1回下を覗いてみる。


 もふもふは制服を着た男の子を襲っている。



 まー君には堕ち星相手なら1人で戦うなって言われた。



 ……でもこの状況は、待ってられない!



 私は立ち上がっていつもの手順でギアを喚び出して、プレートを入れる。

 そしていつもの手順を取って構える。


「星鎧 生装!!」


 そう叫ぶと同時に、ギア上部のボタンを押す。

 そして手すりを飛び越えて、1階の広場に飛び降りる。


 怖いけど、きっとこうしないと間に合わない。


 私の身体は落ちながらも光に包まれて、星鎧は着地前に私の身体を包み込んだ。

 お陰で着地は問題なく成功した。足も痛くない。


 私はすぐに右手に杖を生成しながら走り出す。

 そしてもふもふと男子学生の間に滑り込んで、もふもふの攻撃を杖で受ける。


 金属がぶつかる音がアウトレットモールに響く。


 堕ち星だから当然攻撃が重たい。

 でも、同じ爪があったこじし座だった勝二しょうじさんと比べると全然軽い。


 私はそのまま押し返して突き飛ばす。

 そして男子学生に「逃げて!」と呼びかける。


 男子学生は狼狽えながらも、ちゃんと逃げていった。


 とりあえず怪我人は出てないと思う。

 でも飛び出したのは良いけどこれからどうやって戦おう……。


 そう思ったとき、もふもふが「お前……もしかして女?」と聞いてきた。


「だったら……何?」

「別に?ただ面白いなぁって思っただけ!」


 もふもふが突撃してくる。きっと爪で攻撃してくる。


 私は回転しながら後ろに下がって、距離を取る。

 そしてエネルギーの塊の羊を生成して、突撃させる。


 確実に当たった。

 羊は突撃した後、もふもふを吹き飛ばして煙のように消えた。


 でも堕ち星だから、どれだけ効果があるのかわからない。


 私は油断せずに、ふらふらとしているもふもふの次の動きを待つ。

 するともふもふはこちらを向いて「何今の。何ともないけど」と呟いた。


 やっぱり、戦い始めて直ぐには効果がないみたい。

 でも、弱音なんて吐けない。


「……私の攻撃は一撃では決まらないの」

「ふぅん。じゃあ、俺の勝ちは決まったようなもんだね!」


 その言葉と同時に、もふもふの姿が揺らいだ。


 気が付くと、もふもふが増えていた。

 というか見渡すともふもふが5体いた。


 ……え、どうなってるの!?というかどれが本物!?


 悩んでる間にも、もふもふ軍団は一斉に襲いかかってくる。

 私は全力で避けながら急いで言葉を紡ぐ。


「羊が1匹、羊が2匹。眠れよ眠れ。回れよ回れ。羊の群れ!大回転!」


 羊があちこちから現れ、私を中心に回り出す。


 そして、もふもふに突撃するけど返り討ちに合って消滅していく。


 これ……ヤバい?


 そう思った瞬間、1体のもふもふが「残念だったね!」と叫びながら突撃してくる。


 私は間に合わず、爪の攻撃をお腹に受けてしまった。

 そして吹き飛ばされて、地面に転がる。


 結構痛い。

 でも痛がってる場合じゃない。早く立たないと。


 だけど、もふもふ軍団は既に攻撃の体制に入ってる。


 本当にヤバい。



 その瞬間、私の前に鎧人間が現れてもふもふの攻撃を弾き返した。


 助かった……。


 その鎧人間は安心している私の前から動かず「大丈夫?」と声をかけてくれた。

 私は「ありがと」とお礼を返しながら、立ち上がって隣に並ぶ。


 もちろん聞き覚えはある声ではあるんだけど……誰だろ。

 星鎧は顔も身体も見えないから誰かわからないのが困る。


 声は男の人の声だからまー君かしろ君……だと思うんだけど、何か変な感じがする。

 ……そもそも、こんな声だっけ?


 そうだ。星鎧の色は星座によって一部が違う。


 そのことを思い出した私はチラッと星鎧の色を確認する。

 みんな一緒の深い青色と……全身の左半分が黄色で残りの右半分の色は……鈍い、黄色……?


 え。


「黄色!?え、誰ですか!?」

「あれ聞いてない?」

「何にも聞いてないんですけど!?」


 いや本当に何も聞いていない。


 ……でも、そういえばこの前のレヴィさんと話したときにまー君が「もう1人いる」的な話をしてた。

 まー君あの日以降何も言わないし、私もすっかり忘れてたけど。


 つまり……この人がそのもう1人ってこと?

 じゃあこの人誰?何座に選ばれたの?


 疑問はたくさんあるけど、でも今は考えてる暇はない。


 視界の隅でもふもふは立ち上がって、もう戦う体勢になっているのが見えた。

 でも増えたもふもふは消えている。


 ……こっちはこっちでどうなってるの?


 そう考えていると、もふもふが「他にもいるんだ……お前みたいなやつ」と呟いた。


 その言葉に、黄色の人が「いるよ」と返した。


「……話は後だね。とりあえず、味方だから安心して」

「う、うん。わかった」


 そして、もふもふがまた突撃してくる。


 黄色の人は走り出し、いつの間にか生成した剣を振るう。


 剣と爪がぶつかる音が響く。


 私はその横から近づいて、もふもふを杖で思いっきり殴る。


 杖はもふもふの腕に綺麗に入って、吹き飛んでいく。

 だけど空中で回転して、着地するときには体勢を整えていた。


 そのとき、黄色の人が「君、遠距離でしょ?」と聞いてきた。


「俺の武器は剣だから接近戦は俺に任せて」

「お願いします!」


 そして今度は黄色の鎧人間が先に動いた。

 距離を詰めて、剣で斬りかかる。


 もふもふはその攻撃を何度か避けてから、最後に剣を爪で受ける。


 私はというと、その攻防の間に後ろに回り込んでいた。

 そして言葉を紡ぐ。


「羊が1匹、羊が2匹。眠れよ眠れ。羊の群れ!」


 私の周りに羊が現れて、次々にもふもふへと突撃していく。


 だけどもふもふは羊達に気づいたみたい。

 3匹ほどに追いかけられながら、その場から逃げ出した。


 私はその間に黄色の人の隣に移動する。


 すると「2対1はやりづらい……な!!」ともふもふが叫んだ。

 するとまたもふもふが分裂して増えた。


 私の羊はまた消されてしまったみたい。

 そしてあれは……分身……なのかな?


 考えている間にも、もふもふ軍団はまた襲ってくる。

 私達は攻撃をなんとか避けながら杖で反撃する。

 でも、1体1体が本当の堕ち星のように強い。


 ……これどうしよう。


 そんな考えがよぎった時、2体のもふもふが吹き飛んだ。

 同時にすべてのもふもふが消滅して、残った1体のもふもふが地面を転がる。


 直後、「悪い!遅くなった!」「これどういう状況!?」という2つの声が飛んできた。


 現れたのは紺色をベースに、それぞれ橙色と深紅色が入った鎧人間。しろ君とすずちゃんだ。

 これで4人。何とか……なるかな?


 そう考えていると、黄色の人が「これで全員揃ったよね」と聞いてきた。。


 ううん。まだまー君が来てない。

 なので私は「まだもう1人います!」と返事をする。


 すると黄色の人は「……聞いてないんだけど」と呟いた。


 どうやら黄色の鎧人間も聞いていないことがあるみたい。

 こっちもどういうこと……?


 そこに「というか……誰?」としろ君が呟いた。

 続いて「この人、味方?」とすずちゃんも聞いてくる。


「味方だって。私を助けてくれたし」


 そう返事した時、立ち上がったもふもふが「また増えた……だったら!」と叫んだ。


 すると、地面から澱みが湧き出た。

 同時にまた増えるもふもふ。


 私達は、その数の多さに囲まれた。


 ……もしかしなくても、ヤバい?


 私達4人は背中合わせに集まる。


「とりあえず、各個撃破で。堕ち星の分身みたいなのには気をつけて」

「うん」「おう」「了解」


 それぞれ返事を合図に、私達4人は武器を手に飛び出す。


 ……ところで、何で黄色の人が指示出してるの?


 でも堕ち星と澱みが襲ってくるし考えている暇はない。

 私は澱みともふもふの攻撃を避けながら反撃する。


 でもやっぱり堕ち星は強い。


 襲ってくる堕ち星の爪を杖で受ける。


 これは……本物なのかな?それとも偽物?

 ……まさか全部本物?


 悩みながらも何とか押し返して、蹴りを入れる。


 私が相手しているもふもふが後ろに下がった。


 そのとき「全員端に移動しろ!」という声が聞こえてきた。


 その声を聞いて、私はそのまま後ろに下がって屋根の下に移動する。

 ……どうでもいいけどこれ屋根というか2階の地面だよね。



 次の瞬間。広場の中央に誰かが落ちてきた。

 同時に水柱が立って、広場中央から水が流れてくる。



 そして水柱の中心には紺色と黒色の鎧が。

 我らがまー君こと陰星いんせい 真聡まさとが立っていた。

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