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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
7節 新たな出会い
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第092話 驚きの再会

 2学期って何で9月1日からじゃないんだろう。

 夏休みなんだから夏終わるまでの8月は全部休みでいいじゃん。


 ……まぁ9月に入っても暑いけどさ。


 そんな訴えをまー君にしながら、私達は始業式のために約1ヶ月ぶりの校舎内に入る。


 ……でも夏休み前半は補習で学校に来てたから1ヶ月ぶりではないかも。


 そんな事を考えながら靴を履き替えていると、まー君に置いていかれそうになる。

 私は少しだけ走って追いかける。


 そして、校舎内を移動しながら夏休みの長さについての話の続きをする。


 ……あんまり相手にされてない気がするけど。


 そして、こっちは本当に1ヶ月ぶりの教室に着いた。


 入るとすぐに、麻優まゆちゃんが「あ、由衣ちゃんおはよ〜!」と声をかけてくれた。

 私はすぐに「麻優ちゃんおはよ〜!」と返す。


 そして挨拶が相図のように桜子ようこちゃんや佳奈かなちゃんや乃々ののかちゃんを始め、クラスのみんなが声をかけてくれる。

 私はみんなに挨拶を返しながら自分の席に鞄を置きに行く。


 そしてすぐにまー君の席に向かう。


 するとまー君は前の子の席の椅子を借りて、座っているちーちゃんと話していた。


 ちーちゃん、かなりの頻度で席取られてるよね……。


 そんなことを思いながら、「ちーちゃんおはよ!」と声をかける。

 すると、ちーちゃんはスマホから視線を私の方に向けて「おはよ」返してくれた。


 そこにまー君が「……気になってたんだが」と口を開いた。


「1つ席が増えてないか?」


 そう言われてみれば……と思いながら、私は教室を見渡す。


「確かに……後ろの扉の前に席が増えた?1学期にはなかったよね?」

「多分転校生がいるんでしょ。まぁ転校していった生徒の方が多いと思うけど」


 ちーちゃんのとんでもない言葉に「それは……どういうこと?」と聞き返す。


「何人か転校したって噂になってる」

「名前は」

「確か……杉下……松井……小野……あとは……」


 聞き覚えがある名前。

 私は咄嗟に「それって!」と叫んでしまった。


「声が大きい。……はえ座の堕ち星のときの関係者だな」


 小野君。以前はえ座の堕ち星に成って、松井君を始めとする自分を虐めていた人達に復讐しようとしていた人。

 そして杉下君もその復讐相手の1人だった。


 ……私が初めて、星鎧を生成して戦った相手。


「転校……したんだ……」

「虐めの被害者が転校するのはよくあるが、まさか加害者まで転校させるなんてな」

「加害者は警告を出しただけらしいよ。だからそっちも自主転校みたいな感じらしい」


 ちーちゃんはスマホでゲームをしながらサラッとそう言った。


「……どこで聞いてきたの?」

「聞こえてきた話」


 ちーちゃん……すご……。


 そう思っていると、タムセンの「席につけ〜」という声が聞こえてきた。


 私達は会話を切り上げて、それぞれ自分の席に戻る。


 そしてクラス全員が自分の席に座ったのを確認してから、タムセンは兄弟の前で「よし」と口を開いた。


「じゃあ始業式の前に2学期最初の朝礼を始めるぞ〜」


 クラスからは「始業式なんだからすることないでしょ〜」的な空気……というか声が飛ぶ。


 タムセンはそんなみんなに「まぁまぁ、話は最後まで聞け」に言った。。


 その何かありそうな言い方に、私はさっきのちーちゃんとの会話を思い出す。


 もしかして本当に転校生が……?


 そう思ってる間に、話は進んでいく。


「よし、じゃあ紹介するぞ。転校生だ。入ってきてくれ」


 タムセンが呼ぶと教室の前の扉が開いた。


 入ってきたのは男子生徒。

 容姿は普通。どこにも目立つ理由はない。


 でも、私はその姿に何故か懐かしさを感じた。


 その男子生徒は教卓まで来て、タムセンからチョークを受け取った。

 そして自分の名前を黒板に書き始める。


 『児島こじま 佑希ゆうき


 その名前を見た瞬間、私は立ち上がって叫んでしまった。

 転校生の自己紹介を遮って。


「ゆー君!!??」

「……由衣?」


 クラスにいる全員の視線が私に注がれたのは言うまでもない。


 でもそれを気にしないぐらいの驚きの再会だった。


☆☆☆


 放課後。私は鞄を持って、急いでひーちゃんの教室に向かう。


 先にメッセージで「放課後に話がしたいから時間をください!」とは送っている。

 だからそこまで急ぐ必要はないんだけど……。


 でも、やっぱりせっかく幼馴染が帰ってきたんだから早く知らせたい。


 早く伝えたいならメッセージで言えばいいんだけど……ひーちゃんとゆー君にも驚きの再会をして欲しかった。


 だって私も本当に驚いたもん。まー君だって驚いた顔してたし。


 なので、ゆー君には「会って欲しい人がいる」としかまだ伝えていない。


 ゆー君は話してみても小学校の(あの)頃と全然変わってなかった。

 だから私の提案も「少しなら時間あるよ」と受け入れてくれた。誰かとは違って。


 いや、まー君も結局そこまで変わってないかもしれないけど……。


 そしてひーちゃんの教室に辿り着いた私は、「ひーちゃん!」と呼びながらドアを開ける。


 すると、ひーちゃんはちょうど帰る準備ができたところみたいだった。


 私のせいで向けられる視線を少し気にしながら、こっちへ向かってくる。

 そして目の前に来たのと同時に、「手を振るだけでわかるから」と言われてしまった。


「あはは……ごめん……」

「で、話って?」

「屋上でするから!行こ!」


 私達は屋上へ移動を始める。

 雑談をしながら廊下を通って、階段を上る。


 ちなみにひーちゃんのクラスからも転校した人がいたらしい。


 ……やっぱりあの虐めは、結構根が深かったみたい。



 そして屋上のドアの前に着いた私は、ドアを叩いてみる。

 するとまー君の「もういる」という返事が聞こえてきた。


 私は「では……オープン!」と言いながら扉を開けて、屋上に出る。

 ひーちゃんは「今日どうしたの……?」と呟きながら続いて屋上に出る。


 そして私が会って欲しかった相手は、まー君と一緒に屋上の柵にもたれていた。

 既にこっちを向いていて、ひーちゃんの姿を見た後「ん……?」と口を開いた。


「もしかして……日和ひより?」

「まさか……佑希?」

「なんだ。日和まで一緒の学校だったんだ」


 やっぱり驚いているゆー君に、まー君が「あぁ」と返事をする。

 そしてひーちゃんは私に「え……いつから?」と聞いてくる。


「今日!私も今朝、朝礼でタムセンの紹介で初めて知ったの!もう本当に驚いた!」

「だからと言って立ち上がって叫ぶな。俺まで周りの席のやつから質問された」

「えへへ……」


 でもだって、本当に久しぶりにあのときの5人が……あれ?


 私はそこでようやく気づいた疑問を口にする。

 というか、何で最初に気が付いて聞かなかったんだろう。


「……さっちゃんは?」


 そう。

 私達は幼馴染は5人。


 でも、今いるのは4人。


 ゆー君の双子の妹、さっちゃんが居ない。


 というか、5人揃ってたならこんなに静かな訳がないもん。


 まー君が昔のままじゃないとしても。


 そして私の質問にゆー君は、「あ〜……」と呟きながら目を逸らした。


「佐希は戻ってきてない。」

「じゃあどうしていきなり戻ってきたの。しかも佑希だけ。

 今年は年賀状来なかったし」


 ゆー君の言葉に、すぐにひーちゃんがそう聞き返した。


「それは……ごめんな。受験勉強で忙しくて、書いてる暇がなかったんだ。

 それで理由は父さんがまたこの街に転勤になったんだ。でも佐希はかなり賢い高校に合格にしていて、『戻りたいけど、転校もしたくない』って言ってさ。

 だから俺だけがこの街に戻ってきたんだ。」

「ゆー君は良かったの?」

「まぁ……父さんを1人にするわけもいかないからさ……」


 残念。さっちゃんにも会いたかったなぁ……。


 でも私はすぐに、その残念な気持ちを減らすいい方法を思いついた。


「そうだ!電話とかできない!?」

「あぁ〜……勉強とか部活で忙しいからなぁ……無理だと思うな……。

 今は部活の時間だろうし……」

「そっ……かぁ」


 私の提案は残念ながらすぐに却下された。


 いい方法だと思ったんだけどなぁ……。

 でもさっちゃんが忙しいなら……仕方ないよね。


 よほど私が落ち込んでるように見えたのか、ゆー君は「まぁ、メッセージは送っとくから……」と言ってくれた。


「うん……ありがと」

「落ち込みすぎ」

「だってぇ……!」


 ひーちゃんに私の気持ちを訴えていると、ゆー君が笑い出した。

 私は「な、なんで笑うの!」とゆー君に言葉を投げる。


 するとゆー君は、笑いが落ち着いてから答えてくれた。


「いや、由衣も日和も……変わってないなって」

「そうだな。良くも悪くも変わってない」

「そういうお前は大変だったんだな」


 明らかに、まー君に会ったことを知ってる口ぶりのゆー君。

 私は驚きのあまり「話したの!?」とすぐに聞き返す。


「真聡のご両親が亡くなって、中学は遠くの寮制の学校に行ってたんだろ?

 ……真聡は何で戻ってきたんだ?」

「色々あってな。」


 この感じだと、流石に怪物とかの話はしてないみたい。


 でもまぁ……「小学校以来に帰ってきた街に怪物が出てる」なんて話をいきなりしても……信じられないよね。


 だからこの話はゆー君から澱みとか堕ち星についての話が出たときでいいよね。

 それより今は、ゆー君との久しぶりの再会を喜ぶべき!


 私は気持ちを切り替えて、「とりあえずさ!」と口を開く。


「今からどこか遊びに行かない!?せっかく4人集まったんだしさ!

 私、ゆー君の話聞きたい!」


 だけど、ゆー君は少し視線を逸らしながら「あ〜……ごめん」と口を開いた。


「ちょっと用事があって……そろそろ帰らなきゃいけないんだ」

「そんな〜!!」

「私は部活あるから」

「俺も用があるから帰る。」

「まー君まで!?」


 ひーちゃんとまー君はそう言った後、屋上から去っていってしまった。


 2人とも冷たくない……!?


 落ち込んでいると、ゆー君が「まぁ……」と呟きながら私の肩に手を置いた。


「また4人の時間が合うときにどこか行こう……な?」

「うん……」

「じゃあまた明日」


 ゆー君もそう言い残して、校舎内に戻っていった。


 ゆー君だけだよ。「次は」って言ってくれたの。



 そして結局、屋上には私だけが残された。


「も〜〜〜!!!!!何で!!!???」


 私の口からは拗ねてるのか、怒ってるのか、自分でもわからない感情が籠った言葉が漏れる。

 そしてその良く分からない感情まま、メッセージを送る。


 こうなったらもうヤケだよ、ヤケ。


 そして送ったメッセージは、すぐに返事が来た。


 私の今日の放課後の予定は、無事決まった。

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