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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
6節 偽りか、裏切りか
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第081話 目的だけでも

「……これで私の話は終わり」


 私は、そんな言葉で話を締めくくる。


 するとすぐに「ち……ちーちゃん!!!」と白上しらかみが私の手をぎゅっと握りしめてきた。

 そしてその目にはうっすら涙が。


 ……え、何で泣いてるの?


 だけどそのまま白上は、私の手を握りしめて「大変だったよね……辛かったよね……」と言ってくる。

 私が何を考えてるかなんて気にせず。


 これはこれで困るんだけど。

 もちろん、馬鹿にされるよりは全然いいんだけど。


 そう考えていると、砂山さやまが「ストップ由衣ゆい、話が進まないから」と言いながら白上の肩を掴んだ。


「あっ……そうだよね……ごめん」


 白上はそう言いながら、私の手を離して椅子に座りなおす。

 そしてハンカチで顔を拭き始めた。


 代わりに、平原ひらはらが「つまり……」と口を開いた。


「やっぱり真聡まさとに話をする必要がある……ってことだよな?」

「だよね。でも……大丈夫なの?あれ。話しに行ったら凄い口撃に合わない?」


 砂山の言葉に平原が「あぁ~……」と落胆のような声を上げる。



 ……やっぱり、陰星は簡単には許してくれない……かな。



 そう考えていると、白上が「そんなことは……ないと思う」と呟いた。


「何で言いきれるの?」

「それは……あ。ほら、しろ君ならわかると思うんだけどさ。

 最初にまー君と話したときって凄く怒ってたじゃん?」


 白上の言葉に平原が「あぁ〜……そんな事もあったな……」と呟く。


 ……少し懐かしんでない?


 いや、私はその話知らないからわからないんだけど。

 白上が陰星いんせいに泣かされたって噂なら聞いたけど、平原の話は本当に知らない。


 だけど、困ってる私を置いて話は進んでいく。


「でもあれってさ。今から考えると、私達が嫌いとかじゃなくて、まー君なりの優しさだったって思わない?私のときもそうだったし」

「確かにな……」

「それでさっきさ、口数が少なかったでしょ?」

「そうだね。……あれ怒ってるから口数が少なかったんじゃないの?」


 砂山の言葉に白上は「う〜ん…」と悩み始める。


 でも私も砂山と同じ意見。

 私は白上や平原に怒ってたところを見てない。だから比較が出来ない。

 

 だけど、本気で怒ると淡々と怒る人もいる。

 今回の私がしたことから考えると、陰星が本気で怒っていてもおかしくはない。


 ……いや、私は陰星が本気で怒ったところを見たことはないけど。


 そこまで考えたとき、悩んでいた白上が「ほら!」と口を開いた。


「この前ちーちゃんさ、まー君に話し方について文句言ってくれたんでしょ?」

「う、うん」

「だったらさ、本気では怒ってない気がする」


 そんな白上の言葉に、砂山は「だから何でそう思うの?」と聞き返した。


「私、本気で怒ってるんだったら、もっと責める気がする。

 だから、まー君にも何か考えがあって『協力関係を終わりにする』って言ったんじゃないかなぁ……って……」


 ……言い方的に、白上も白上で自信がないんじゃないの?


 そんな考えが頭の中をよぎる。


 でも、ここにいる4人の中で1番陰星との付き合いが長いのは白上。



 例え中学3年間という空白があって、性格が変わっていたとしても。



 逃げるのは簡単かもしれない。

 このまま諦めて、言われた通り距離を取ればいいんだから。


 でもまだ、お父さんのことは何もわかってない。


 それに。どうやら私は、このメンバーと一緒に居るのが気に入ってしまってるみたい。


 そして、3人は本当の私のことを受け入れてくれた。




 もし終わるとしても、陰星に私の目的だけでも話してからにしたい。



 だから今は……由衣の考えを信じるしかない。



 そう考えていると、平原が「まぁ……」と口を開いた。


「ここでうだうだ言ってても仕方ねぇしよ。由衣の考え通りだとして話進めようぜ?」

「もし違うかったらどうするの」

「そのときは………俺も謝る」

「解決策になってる?それ……」


 砂山が呆れているのが丸わかりの口調でそう言った。


 それに対して平原は「じゃあ鈴保は何か案があるのかよ」と言い返した。



 そのとき突然、病室の扉が開いた。


「もうすぐ面会終了時間となりますので、面会の方は帰宅準備をお願いしますね」


 看護師はそれだけ言うと扉を閉め、去っていった。

 3人の返事も聞かずに。


 だけど、3人は白上の「帰らなきゃ!」という言葉を合図に帰る準備を始めた。


 ……あれ、私の話は?


 そう思いながら、時計を見るともう17時を過ぎていた。

 確かに面会時間が終わるなら帰らないといけない。


 でも……結局どうするの?


 引き留めるか引き止めないか悩んでいると、帰る準備が終わった白上が「と、とりあえず!」と口を開いた。


「ちーちゃんが退院できたら、みんなでまー君に話をしに行くってことで!」

「だな」「わかった」

「じゃあ今日は帰るね!また明日も来るから!またね!ちーちゃん!」

「またな〜」「じゃあね」


 そう言い残して3人は帰っていった。


 何か最後急に騒がしかった……。


 なんだか疲れたので、私はベッドに倒れる。


 もともと疲労感はあったけど、さらにどっと疲れた気がする。



 だけど、とりあえず次にすることは決まった。

 3人はきっと私を助けてくれる。



 問題は……陰星を説得できるか……。



 でも、それを今心配しても仕方ない。



 それよりも疲れたので、私はもう1度頭を空っぽにして目をつむる。



 すると本当に疲れていたのか、私の意識はそのまま穴に落ちるように暗闇に落ちていった。



 そして次に目を覚ましたのは看護師に夜ご飯で起こされたときだった。



 でも起きたときにはすっきり起きれた。

 怖い夢を見た覚えもなかった。

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