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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
3節 戦えない誰かのために
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第044話 用がないなら

 志郎(しろう)が獅子座に選ばれてから、約一週間経った。

 カレンダーは6月に変わり、日差しは日に日にキツくなっている。


 そんな日差しの中、俺は学校の運動部の部室棟の壁にもたれて座っていた。


 今は放課後の体育祭練習の休憩時間。学校には生徒の楽しそうな声が響いている。

 正直面倒だが、参加しないと色々言われるのは目に見えている。主に由衣(ゆい)から。

 そのため仕方なく半分くらい真面目に参加してる。



 そして約1週間の間、堕ち星は現れていない。

 そのおかげで、志郎は最低限星座騎士として戦えるようになってきた。


 「レプリギアの予備があって助かった」と心の底から思った。

 まぁ、志郎に渡したのでまた作ってもらわないといけないが。


 あと、由衣が何やら志郎が結構すぐに星鎧を生成できたことに不満そうだった。


 だが俺からすると、由衣の成長速度も十分早すぎる。

 俺なんて、ギアを使い始めてから星鎧を生成するまで2年ほどかかっただからな。


 それにしても、あのときは由衣の言葉を気にしていなかったが……確かに忙しい。

 由衣と志郎の特訓、俺と由衣の空手の稽古。

 そして俺自身の魔術などの技術向上。


 そこに学業や放課後の体育祭練習が加わる。

 たぶんここ数日の睡眠時間は減っているだろう。実際今も少し眠い。


 俺は少しでも体力の消費を抑えるのと、回復させるために目を閉じて頭を空っぽにする。


 ……クラスの賑やかな雰囲気から離れたいというのもあるが。


 しかし、そんな俺に誰かが近づいてくるのを感じた。

 ほぼ同時に「真聡(まさと)君……寝てる?」と聞き慣れた声が聞こえてきた。


 俺は「寝てはない」と返事をしながら目を開ける。

 そこにいたのは、予想通り長沢ながさわ 麻優まゆだった。


 ……放っておいて欲しいんだが。

 そう思いながらも、一応「何か用か」と言葉を返す。


「別に~?特に用はがあるわけじゃないよ?」

「じゃあ、話しかけるな」


 ため息を抑えながら、俺は視線を長沢から逸らす。

 不必要に他人と関わりたくないのもある。だが今の俺は必要のない会話をする気分じゃなかった。


「ちょっと〜?用がなかったら友達に話しかけちゃいけないの?」


 長沢はそう言いながら俺の視界に入って来た。わざわざ逸らしたのに。


 こいつ、本当になんだ。

 今までも何回か休み時間などに絡まれたことがある。


 ……この際、はっきりさせるか。


「何が目的だ」

「目的って……私はただ、真聡君とお喋りしたいだけだよ。

 ……あれ。もしかして私、嫌われてる?」

「……さぁな」


 ぶっちゃけ、面倒とは思っている。

 俺は《《普通の》》学生生活を送るためにこの街に戻ってきたわけじゃない。


 ただでさえ由衣と日和との再会、そして由衣と志郎が神遺保持者と成るイレギュラーが発生しているんだ。

 これ以上面倒なことをは増やしたくない。


 だが、全てを拒絶するのもそれはそれで面倒を引き起こす。

 なのでなるべく波風立て無いように返したつもりだが……残念ながら、長沢の気に障ったらしい。


 その当てつけか、長沢 麻優は俺の隣に座って色々話しかけてきている。


 だが、今は話す気分じゃない。


 なので適当な相槌だけを返す。


 そこに「まー君……と麻優ちゃん?何話してるの?」と声が増えた。


 ……また増えた。


「あ、由衣ちゃん。真聡君借りてるよ〜?

 と言ってもまぁ、中身のない会話だけどね。そしてほとんど無視されてるけどね〜」


 長沢 麻優は笑いながら由衣の言葉に答える。


 ……こいつ。怒ってるんじゃなくて、面白半分で俺に絡んでるな?


「麻優ちゃんごめんね〜?

 最近まー君忙しくて、普段の倍愛想が悪くてさ〜……」

「そうなんだ……なんか大変そうだね」


 由衣の謎のフォローの後、由衣と長沢は他愛のない会話を始めた。

 もう聞いておく必要はないと思い、聞くのをやめる。というより、目を閉じて思考をとめる。



 どうやら自分が思っている以上に、俺は疲れているらしい。



 そこから何分経ったかわからない。が、少ししてから由衣が俺の肩を叩いてきた。

 休憩時間が終わったのかと思い、目を開ける。


 すると、さらに見慣れた顔が1人増えていた。


華山はなやま 智陽ちはる?どうした」

「ちょっと話があって」

「……じゃあ、私は桜子ようこちゃんのとこに行こうかな~」


 そう言って長沢 麻優は去っていった。

 空気が読めないのか読めるのかよくわからないやつだ。


 まぁ、おかげで俺と由衣と華山 智陽だけになったが。


「で、何だ?」

「この前と同じ怪物。今回は駅前で暴れてるって」


 華山の口から、予想通りの言葉が出た。

 だが……場所が悪い。


「え……それマズいんじゃない!?」

「あぁ。由衣、急ぐぞ」


 そして華山に「助かった」と礼を言って、由衣と一緒に鞄を置いている下駄箱へ向かう。


 しかし、由衣が途中で足を止めた。


「待ってまー君!志郎君にも声かけなきゃ!」

「あぁ……そうだったな。あいつ今どこだ」


 その会話の後。俺達は進路を変え、まず先に志郎を探しに走り出した。

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