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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
3節 戦えない誰かのために
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第033話 教えた覚えはない

 土曜日昼前。

 俺はいつもの研究所跡地の駐車場で特訓していた。


 堕ち星を無力化する方法がわかったので、今後の戦い方も変わってくる。

 そのため、できれば由衣ゆいも来て欲しいのだが…。


 あいつはここ数日、放課後など「用事があるから……ごめん!」と言って顔を出さないことが増えた。

 そして今日、ようやく来ると言ったのだが……昼前なのにまだ来ない。


 何だあいつ。この前まではやる気に溢れていたのに。

 星鎧が生成できるようになり、熱を出して……やる気がなくなったのか?

 いやそんなやつじゃなかったはずなんだが……。


 そう考えていると「遅れて……ごめん……!」という声が聞こえてきた。


 振り返ると、ちょうど由衣が息を切らしながら階段を上り切ったところだった。


「あ?なんだ、やっと来たのか」

「いや……その……本当にごめん。ちょっと……寝すぎちゃって……」


 荒い呼吸。申し訳なさそうな表情。いつもより整っていない髪型。

 ようやく来た由衣はいつもと違う雰囲気と姿だった。


 ……何をしてるかはわからないが、しばらく様子を見るか。

 もし何か俺に不利益が生まれることをしていても、対処はもう少し後でもいいだろう。


 それよりも今は今後についての方が大事だ。

 あれ以来、堕ち星は出ていない。

 だが次にいつ出るかはわからない以上、悠長にしていて良いわけでもない。


「で、今日はどうする」

「今後について話すんじゃなかったの?」

「じゃあまずそうするぞ」


☆☆☆


「つまり……これからは2人とも星鎧を生成して戦う。それで堕ち星とかの相手をまー君がして、私は援護。でも、堕ち星を人間に戻すのは私の役目……ってこと?」

「纏めるとそうだな」

「おっけ〜!私も頑張るね!」


 そう言いながら由衣は座ったままガッツポーズをする。

 遅れてきたときは少し心配したが、いつものようなテンションに戻っていた。


 とりあえず俺は「……無理だけはするなよ」と一応、釘を刺す。


「わかってるって!」


 元気な返事が返ってきたが、前回それで熱を出している。

 ……本当に大丈夫か?


 だが、気にしていると話が進まない。俺は懸念を横に置いて「で、次」と話を進める。


「星鎧が生成できるようになったから次の段階だ。武器と固有能力についてだ」

「武器は……まー君が使ってる杖みたいなやつだよね?」

「俺はそうだな。お前だとまた別のものになるだろうが」

「固有能力は……まー君だとあの火とか水を出すやつ?」


 実際は違うのだが……別に今訂正するほどのことではない。

 「まぁ……そうだな」と返事だけをして、話を進める。


「とりあえず、武器から始めるか」

「わかった!…ってどうするの?」

「まずは星鎧を生成してくれ」


 すると由衣はもう一度「わかった!」と言うと、立ち上がって俺から少し距離を取った。

 そしてレプリギアを呼び出し、いつもの手順で紺色と赤色の星鎧を生成した。


「ここからどうするの?」

「自分の固有能力や戦い方、そしてどんな武器だと戦いやすいかを考えろ」

「……ねぇ、私の固有能力って何?」


 その質問に、俺は言葉に困ってしまった。

 それははえ座の堕ち星を人の姿に戻したとき以外、牡羊座の固有能力と思われるものを見ていないからだ。


 つまり、俺も具体的なの能力がわからないのが本当のところだ。

 そうなると……これが1番楽か。


「……軽く、手合わせするか」

「え?」


 俺は困惑している由衣を気にせず立ち上がって、ギアを呼び出す。

 場所を少し移動しながら、俺もいつもの手順で紺色と黒色の星鎧を生成する。


 そして、星座の力を宿した鎧を身に纏う。


「ほら、こい」

「いや『こい』って言われても……」

「戦うための能力だ。なら実際に戦ったらわかるだろ。それにこの前、はえ座を元に戻したときもパンチだっただろ」


 しかし、由衣は気乗りしないのか「それは……そうだけど……」と歯切れの悪い返事だ。


「何を渋ってるんだ。お互いが星鎧を生成してるんだ、生身のときと大差ない。ほらこい」


 そう俺が言うと、由衣はようやくやる気になったのか「じゃあいくよ……?」と返してきた。


 そして、距離を詰めてきてパンチの予備動作に入る。


 避けれないことはないが、避けたら意味がない。俺は無詠唱耐衝撃魔術を使用し、星力を左手に集中させて受ける準備をする。



 そして、由衣の拳を左手で受ける。



 凄まじい力が左手にかかる。



 しかし、特に身体に異常はない。しっかりと受けきれた。


 ただ……前より拳が重くなっている気がする。

 打ち方も見覚えのない打ち方だった。


 あんな打ち方、教えた覚えはないが……。由衣1人だけで、それに短期間でこんなに威力が変わるか?


 色々考えて黙っていると心配したのか、由衣が「……どう?……大丈夫?」と声をかけてきた


「特になんともない」

「そんなぁ~……」


 そもそも、一撃でわかったら苦労しない。

 ……色々試してみるか。


「このまま身体動かすぞ。他は後だ」

「……わかった」


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