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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
2節 一緒に戦うために
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第030話 今の私に

「でも堕ち星を元に戻せてほっとしました……」

「選ばれて早々大変だったんだな……。

 というか真聡(まさと)、堕ち星が出てたなら呼んでくれても良かったんだぞ」


 (ほむら)さんの言葉にまー君がため息をついた。



 まー君は今、私のギアをいつでもどこでも喚べるようにしてくれている。

 その間に私は焔さんに私が牡羊座に選ばれた話、はえ座との戦いの話をしていた。



 そしてまー君は顔を上げて、焔さんに機嫌の悪そうな顔を向けた。


「スマホ持ってない人にどうやって連絡取るんですか。焔さんが現代の機器は苦手って言ってスマホ持ってないから連絡取れないんですよ」

「おっと……俺が悪かったな……」


 焔さん、若そうに見えるけど……意外と年上なのかな?

 そう思っていると、まー君が「できた」と呟いた。


由衣(ゆい)。これでいいはずだ。やってみてくれ」

「は〜い!」


 私はソファーから立ち上がって、さっきの場所に移動する。

 そして両手をお腹の上にかざす。


 するとテーブルの上にあるギアが消えて私のお腹に巻かれた状態で現れた。

 私は嬉しくて思わず「きた!」と喜びの声を上げる。



 召喚術とはまー君がいつもギアを呼び出すときに使っている術らしい。

 それを私と複製のギアの間で結んでくれたみたい。


 確かにギアを持ち歩くのは……邪魔だもんね。

 あと無くしたり忘れそう……。



「それでいいだろう。

 これで、お前もちゃんと星鎧が生成できれば一緒に戦える」


 まー君のその言葉に、私はなんか嬉しくなって笑いが零れる。


 そんな喜びと一緒に私はソファーに戻る。レプリギアを取り外しながら。


 その間に焔さんとまー君は「お疲れさん」、「大したことじゃないです」的な会話をしている。


 私もして貰ったので「ありがと!」とお礼を言いながら、さっきと同じ場所に座る。


「あぁ。終わったし、もう外も暗いし帰れ」

「え?」


 そう言われて私は窓の外を見る。

 窓の外はもう真っ暗で、時計を見ると20時になりそうだった。


「うっそ!いつの間に!」


 私は慌ててテーブルの上に置いていたスマホを見る。

 一応家には遅くなるって伝えてたから大丈夫だと思うけど……。


 スマホには通知が来ていて、お母さんからメッセージが来ている。

 内容はお願いごと1つが書かれていた。


 でもまずは帰る準備しないと。

 私は忘れ物がないかを確認しながら、まー君に話しかける。


「先に連絡してたから大丈夫なんだけど、1つお願いされてた」

「おつかいか?気をつけて帰れよ」

「う〜……ん?」


 おつかい……ではないんだよね。

 帰る準備が終わった私は、まー君の手首を掴む。


「……なんで俺の手首を掴む」

「お母さんがまー君と一緒なら連れてきて、晩ごはん一緒にって!今日は早めに言っておいたから最初から人数に入ってるよ!」

「あ?」


 まー君はなんとも言えない顔をしている。


 まー君は小学生の頃からまー君の両親が夜遅くなる日とかに私の家によく来てた。


 だからお父さんもお母さんもまー君がいるのが普通みたいなところがある。

 馴染みすぎてもう1人の子供同然みたいな感じらしい。


 だから、「まー君の両親がいなくて一人暮らししてる」って聞いてからより一層気にしてるみたい。


 そしてまー君はまだ悩んでる。

 すると代わりに焔さんが口を開いた。


「そういや、由衣の家に結界は張ったのか?」

「あ」

「ん?」

「お前なぁ……。ついでに張ってこい」


 焔さんが呆れた声でそう言った。


 私は会話に着いて行けなくてまたもや混乱中。

 私が質問するよりも先にまー君が口を開いた。


 ……ため息をつきながら。


「わかった。お邪魔させてもらう。だから手を離せ」

「やった!

 ……私の家に……結界?」

「星座に選ばれた以上、逆に襲われる可能性もあるからな。家に結界は必要だろう。ここも色々張ってあるしな」

「そうなの?」


 私がキョロキョロしているとまー君はいつの間にか移動していた。

 どうやら今度は別の棚で探しものをしているみたい。


 私はそんなまー君に近づいて肩を叩く。 


「なんだ」

「何探してるの?」

「結界の要となるものだ。いくつかあるはずなんだが……あった」


 そんなまー君の手に握られていたのは、手のひらよりは少し小さい綺麗な石だった。


「……石?」

「特別な石だ。これを使えば簡易的な結界ができる」


 確かに普通の石よりは綺麗だけど……何が違うんだろ?


 でもこれも聞いても結局わからないと思ったので、相槌を返してこれ以上聞くのはやめた。


「他に探しものはもうないの?」

「もうない……だけど着替えるから出て待ってろ」


 まー君はそう言い残して立ち上がって、テーブルのところへ移動した。

 どうやら今のジャージ姿は嫌みたい。


 ……そういや高校のジャージではないけど、どこのだろう?


 でもとりあえず出ろって言われたから出ないと。

 私は鞄を取るためにソファーに戻る。


 だけど、私はもう1つ聞くことを思い出した。

 私は外に出る準備をしながら、質問を投げる。


「そういえばギアはどうしたらいい?」

「持って帰ってもいいし、ここに置いておいてもいい。どっちがいい?」


 ……持って帰ると置き場に困りそう。

 それに何かあって、壊したときが……怖い。


「じゃあ……預かってもらっててもいい?」

「わかった。その方が何あったときの調整とかもしやすいしな」

「お願いします!じゃあ、外で待ってるね!」


 私はそう言い残して外に出る。

 そして、扉の前でまー君が出てくるのを待つ。



 まー君と再会してから、1カ月半。

 怖いことも、大変なこともたくさんあった。



 でもそれ以上に、楽しいこともたくさんあった。



 だから私は、まー君の隣で《《一緒に》》澱みや堕ち星と戦い続ける。 



 それが、今の私にできることだから。

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