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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
2節 一緒に戦うために
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第029話 複製

真聡まさとめ……。なんで俺のことを話してないんだ……」


 そう言いながら赤髪の人は冷蔵庫を開けている。

 ここは……この人の家なのかな?


 結局、私は中に入ってしまった。

 でも何もわからなくて入ったところで立ち尽くしている。


 私とまー君の名前を知ってるってことは……星座騎士なのかな?

 でも……他に戦える人はいない的なことをまー君は言ってた……よね?


「あぁ、好きなところ座っていいからね。そして、飲み物は……ないから出せないね。まったく……あいつ、生活が酷いな……」

「あ、えっと……ありがとうございます。飲み物はなくても大丈夫です」


 私はお礼を言いながらソファーに座る。

 そして赤髪の人は向かいのソファーに座った。


 気になることだらけの私は「えっと…質問していい…ですか?」と聞いてみる。


「いいよ。答えれる範囲でだけどね」

「ここは……?」

「まさか……何も聞かされずにここに来たのか?」


 私が「はい……」と答えると赤髪の人は大笑いした。

 「いや笑い事じゃないんですけど!」と私は言うけど、気にせず笑ってる。


 一通り笑った後、赤髪の人はようやく私の質問に答えてくれた。


「いやぁ、笑ってごめんよ。ここはな、真聡が家として使ってる場所なんだ。

 まさか、あいつそんなことすら伝えてないとはな。逆に何を伝えてるんだ?」

「……え、ここがまー君の家なんですか!?」


 小学生まで住んでた家はもう違う人が住んでるから、今はどうしてるのか気になってたけど……。

 まさかビルのフロアを家にしてるなんて。


 でも驚いてる場合じゃない。もっと大事なことを聞かないといけない。


「それと……お名前を聞いても……いいですか?」

「そうか!君は今、名前も知らない人に家にあげられてる状態か!ごめんごめん。

 俺は鳳凰ほうおう ほむら。好きなように呼んでくれ」


 鳳凰 焔さんはまた笑いながら答えてくれた。

 名前が……凄く強そう。というかキラキラネーム過ぎない?

 でも、人の名前についてはあまり突っ込まないほうがいいよね。


 それより、まだまだ聞きたいことはある。


「えっと……焔さん?」

「おう」

「まー君とは……どういう……?」

「そうだなぁ……上司というか、師匠というか、保護者代わりというか……」


 そのまま焔さんは黙ってしまった。

 結構複雑な関係なのかな……?


 しかし、私が口を開くよりも先に焔さんが口を開いた。


「おぉ、そうだ。君も星座に選ばれてるんだから、君の上司にもなるな」

「つまり……星座騎士のリーダー……ってことですか?」

「まぁ、そんなところだな」

「でも、まー君が戦えるのは俺1人的なことを……」

「あぁ〜……。まぁそれも間違ってはないな。俺は普段戦わないからな」


 凄く名前強そうなのに……って言おうとしたけど流石に口には出さない。失礼だろうし。

 ……というか。


「まー君は……今どこに?」

「あぁ、いつもの場所だ。……そこは教えてもらってるか?」

「研究所……の跡地ですか?」

「それは聞いてるんだな。ここに来るとき連絡したんだろ?ならもうすぐ返って……お、噂をすれば」


 タイミングよく扉が開いた。

 そして、まー君が入ってくる。連休中の特訓のときに着ていたジャージ姿で。

 でも何やら両手には黒いケースを持ってる。


「悪いな。遅くなって」

「それよりもお前なぁ。なんで俺のことを伝えてなかったんだ?

 この子、びっくりして最初帰ろうとしていたんだからな」

「……あれ。言ってなかったか」

「ここも焔さんのことも聞いてないんだけど!?」


 まー君は私の言葉を受けて、露骨に視線がそれた。そして無言で歩いて部屋の奥へ行った。


 「なんか言って欲しいんだけど!」と言っても返事はない。

 奥の棚で何かをしている。


 今聞いても返事はないと思ったので、ちょっとムッとしながら待つ。


 するとまー君は少しするとこっちに戻ってきて、黒いケースをテーブルの上に置いた。

 そして向かいのソファーに焔さんと並んで座った。


「それで、なんで私を呼んだの?」

「それを渡すためだ。開けてみろ」


 まー君は黒いケースを指さしている。

 これの中身を渡すために呼んだ……ってこと?


 とりあえず私は開けてみる。

 ケースの中には見慣れてきた深い青色の長方形の物が入っていた。


「これって……ギア?」


 そう、ギア。

 まー君が普段持っていて、私も何回か借りたギアが入ってた。

 ……あれ?


「ギアって1つしかないんじゃなかったの?」

「これはReplication Constellation Armor Generate Gearだ。」

「……なんて?」


 聞き取れなかったのでもう一度聞き返してみる。

 すると、まー君の口からは何とも言えない声が聞こえる。


「……レプリギア。俺が使ってるギアの複製だ。これからは1つじゃ足りないだろ」

「レプリギア……複製……これ私の!?」

「さっきからそう言ってるだろ」

「まー君は言葉足らずなの!」

「そうだぞ。しっかり新人には説明しておけ」


 焔さんが口を挟んだらまー君は黙ってしまった。

 この反応はきっとまだ私に言ってない事が……たぶんあるよね。


 ……でも前に待つと言ったから、無理やり聞くとまた喧嘩になるよね。

 うん。今は気にしないことにしよう。


「これ、今使ってみてもいい?」

「あぁ、使ってみてくれ」


 許可も取ったので私は立ち上がる。

 ……でもここでやっていいのかな?


「……ここでして大丈夫?」

「星鎧を生成するぐらいは問題ない。だがそっちでやってくれ」


 まー君の指は少しスペースがある場所をさしてる。

 流石にソファーと机の間ではマズいよね。


 私は言われたところに移動してギアを付けて、慣れてきた手順を取る。


「星鎧生装!」


 その言葉と同時にボタンを押す。

 すると、ギアの中心部から牡羊座が飛び出す。


 光りに包まれて、その光の中で紺色と赤色の鎧を身に纏う。


 そして、光は晴れる。


 とりあえず星鎧は生成できた。


「どうだ?何か俺が使ってる方と違いはあるか?」

「う〜ん……あ!身体が全然痛くないよ!」

「あぁ、言ってたな。そっちだと大丈夫なのか」


 まー君から言葉の続きが来ない。

 ……考え事をしてるのかな?


 とりあえず私は軽く体を動かしてみる。


 うん、身体の痛み以外に違いは特に感じない。

 一通り確認したし、もう星鎧は解いていいかな?


 そう考えているとまー君が口を開いた。


由衣ゆいはどっちが使いたい」

「どっちって?」

「俺が使ってる方かお前が使ってるやつのどっちがいいかだ」

「う~ん……こっちかなぁ……?まー君のは身体痛いからさ……」

「……そうか」


 まー君の返事は、何故か不満があるように聞こえた。

 私は「こっちが駄目な理由でもあるの?」と聞いてみる。


「あぁ……複製の方はまだ完成したばかりで安全かどうかわからない」

「え!?そうなの!?…じゃあ、そっちは?」

「実はこっちもわからない」

「え」


 私は驚きのあまり言葉を失う。

 嘘でしょ!?じゃあ、安全かどうかもわからないものを使って私達は戦ってたってこと!?


 ……なんか今更怖くなってきた。

 でもなんでわからないのかは気になる。


「わからないって……どういうこと?」

「言葉の通りだ。何かわからない術がかけれているんだ」


 私はまー君の言葉が理解できなくて首をかしげる。


 そんな私を見てまー君は「あ~…」と困ったような声を出す。

 数秒してから、まー君はまた口を開いた。


「『何が発動条件でどういう効果を持っているかがわからない術が複数かけられている』ということしかわからない…と言えばわかるか?」

「つまり……わからないってことがわかってるってこと?」

「まぁ、そういうことだな」

「こっちにもその術がかかってるの?」

「いや、殆どない。できるだけそういう術は避けてもらったからな。複製がわからないのはただの実験回数不足だ。俺がさっきそれを使ってみた感じでは大丈夫だとは思うが……」

「なるほど?」


 わかったようなわからない気がする。

 でもきっと、まー君もわからないんだろうなと思ってこれ以上聞くのは辞めることにした。


「そういう訳だから何か変だと思ったらすぐに伝えてくれ」

「わかった!でもまー君も気をつけてね」


 私がそう返すと「……あぁ。」とだけ返事が返ってきた。


 でも、目が合わない。


 ……やっぱり何考えているかわからない。


 そう思っていると焔さんが口を開いた。


「仲良く話してるとこ悪いんだけどさ。召喚魔術の設定はしなくていいのか?」

「あ」

「はい?」


 召喚……魔術?

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