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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
2節 一緒に戦うために
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第026話 超常事件捜査班

「さっき連絡が来て、小野は無事に病院に着いたらしい」

「良かったです。手続きなどして頂きありがとうございました」

「こういうのは俺達の仕事だ、気にするな。

 それより悪いな、疲れているだろうに」

「いえ、別に」


 日が落ち、外が薄暗くなっていく19時過ぎ。

 俺は星雲せいうん警察署内にいた。


 その理由は丸岡刑事と今後について話すためだ。

 流石に病院の駐車場という誰が聞いてるかわからない場所では、話はできないため俺達は警察署に場所を変えた。


 疲れているから座って、少し落ち着きたかったというのもあるが。


 俺は丸岡刑事との向かいに座り、資料などの準備を待っている。

 一方、由衣ゆいはというと別の部屋で他の署員の方と話していて、時折楽しそうな笑い声が聞こえてくる。


 一体何の話をしてるんだ?とぼんやり考えていると末松刑事が資料などを持って帰ってきた。

 そして部屋に入ってきながら「丸岡さん。本当に学生に任せるんですか?」という疑問を投げている。


「文句があるのか?」

「いや文句は無いですけど……」

「じゃあ、いらないことを言うな」


 どうやら丸岡刑事は俺のことを認めてくれたようだが、末松刑事はそうでもないらしい。

 しかし、そこは気にしてる場合じゃない。


 今するべきことは情報の共有、そして今後の行動方針を決めることだ。


 そして俺は渡された資料に目を通し始める。


☆☆☆


 超常事件捜査班。

 それが今、この街での堕ち星や澱みについて調査する警察の捜査チームのようだ。

 そして、そのリーダーが丸岡刑事らしい。


 しかし、こういう神秘絡みの事件は公安などを通して協会が直接対処するはずだが……。


 まさか協会は堕ち星関係を全て俺に丸投げするつもりなのか?

 そんな嫌な予感が頭をよぎったが、今は考えないことにする。


「とりあえず、今後の怪物…あ~…堕ち星?との戦闘は陰星いんせい、お前達に頼みたい」

「もちろんです」

「そして、そこに至る捜査はこちらで行う」

「わかりました。ただ、堕ち星が関係してそうなら早めに連絡を頂けると助かります。俺も俺で動くつもりですので」

「わかった。ただあまり無茶をして、いらないことまで首を突っ込むなよ。警察に任せたほうが良いことはすぐに連絡しろ」

「ありがとうございます」


 これで一通りは済んだだろう。

 そう思い窓の外を見ると完全に真っ暗になっている。

 俺は貰った資料を整理し、持ち帰っていいものは鞄に入れる。


 そして席を立とうとしたとき、丸岡刑事が1つの質問をしてきた。


「ところで……お前がリーダーなのか?大人とかはいないのか?」


 その質問を受けて、俺は固まってしまった。


 完全に忘れていた。

 今、星鎧を生成して戦えるのが俺だけだったというだけで、一応大人はいる。

 リーダーもその人がやっている。


 ただ今は……。


 「いるにはいるんですけど……今はこの街にいません。というか、どこにいるのかすらわかりません」

 「なんだそれは……。大丈夫なのか?」

 「えぇ……まぁ……。とりあえず、次に会ったときには話をしておきます」

 「そうか。一応、話をしておきたいからな。頼むぞ」

 「はい。では失礼します」


 そう言った後、俺は鞄を手に取って超常事件捜査班の部屋を後にする。


 由衣を迎えに行かなければな……。

 というかあいつはどこにいるんだ。


 そう考えながら廊下を歩く。


 しかし、探す必要はなかった。


 なぜなら話し声が廊下にまで響いているからだ。

 俺は話し声が聞こえる方向に向かい、その部屋に入る。


 俺は目に入ってきた光景にツッコまずにはいられなかった。


「何してんだ、お前」


 由衣は職員の人達と楽しそうに俗に言う、お菓子パーティーをしていた。


☆☆☆


 警察署を出て、夜道を由衣の家目指して進む。


 今日は色々と疲れた。

 早く休みたいのもあったが、今日起きたことを記録しておきたい。

 そして、疑問についてもまとめておきたかった。


 そんな俺の背中を元気な声が追いかけてくる。


「まー君〜!待ってよ〜!私が悪かったからさ〜!機嫌直してよ〜!」


 俺は思わずため息がこぼれる。

 怒ってはいない。どちらかというと呆れている。


 別に俺1人が丸岡刑事と話をしたことなんてどうでもいい。

 そもそもこいつが丸岡刑事との話に参加しなかったのは俺が呼びに行かなかったのもある。


 だが……こいつはどこに行ってもすぐ人と仲良く話ができるな。


 色々と考えながら歩いてる俺に由衣が追いついてきた。

 そして隣を歩きながら「ねぇ!ねぇ!」と話しかけてくる


 流石に煩いので俺は「静かにしてくれ。あと、怒ってはない」と返す。


「良かったぁ……。でも……ごめんね?だけどね、職員の人たちみんな色んな話を聞かせてくれてさ!」

「そうか」

「お土産も貰っちゃったんだ〜!これまー君の分!」


 由衣は俺にビニール袋を手渡す。その中には色々なお菓子が入っていた。


 俺の口から思わず、ため息を含んだ「あのなぁ……」という言葉が漏れる。


「い、いやこれはね?みなさんが仕事中に食べる用を持ってきてくれて、だから私も持ってたやつを……」


 俺の口からまたため息が零れる。

 もう何も言うまい。


 今は逆に疲れるだけだ。

 由衣の家もすぐそこだし、今日はもうここでいいだろう。


「悪いが今日はここで帰る。じゃあな」


 そう言い自分の家の方向に向かって歩き出す。

 しかし、前に進めない。鞄が掴まれている感覚がある。まさか……。


「遅くなったからお母さんが晩ごはん一緒にって言ってたから……さ?」


 いや、俺は帰りたいんだが。

 俺は少し抵抗を試みて前に進もうとするが、進めない。


 ……なんか前にもこんな事あったよな。



 仕方ない、諦める……というか、白上しらかみ家の好意に甘えるとするか。


 俺は「わかった。わかったから、その手を離せ」と由衣に頼む。

 すると由衣は少し笑いながら、嬉しそうに「じゃあ『まー君と一緒にもうすぐ帰る』ってメッセージ送るね!」と言って来た。



 その会話の後、俺達は改めて白上家に向かって歩き始める。



 俺の長い1日は、もう少しだけ続く。

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