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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
14節 3兄妹

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第241話 利用価値

 おおかみ座を包んでいた青白い煙が晴れていく。




 そして、一番最初に見えたのは。




 人狼のような姿のおおかみ座の堕ち星でも。





 人間の姿に戻ったかずにいでもない。





 2本足で立つ爬虫類のような異形だった。




 だけど、その後ろには見慣れた眼鏡をかけた男も倒れていた。




 かずにいだ。



 どうやら、元には戻せたみたいだ。




 でも、前に立つあの異形が邪魔だ。



 元に戻せたなら、連れて帰らないと。




 俺は新しく現れた異形と戦うために、前へ足を出そうとする。




 しかし全身が重く、力が入らなかった。




 そんな俺の前に、真聡まさとが出てきた。

 「お前……何者だ」という言葉と共に。


 そして、いつでも攻撃できるように構えている。



 しかし、異形は「それはお答えできません」と答えた。

 静かに、身動きも取らずに。



 その声は女性のように聞こえた。



 俺は最初、現れた異形をへび座だと思った。



 だけど、声が以前と違う。



 でもよく見てみると、異形の身体つきもへび座と比べると違う。

 細部も違うが、全体的に女性のように見える。



 ……いや、今はそれどころじゃない。

 ここでかずにいを連れ帰れなかったら、またおおかみ座と戦うことになるかもしれない。



 俺はなんとか身体に力を入れ、前へと歩き出す。

 そして「だったら、そこをどいてくれ。かずにいを……返せ!」と叫ぶ。



 しかし、真聡の隣に辿り着く前に力が抜けてしまった。


 俺の身体は重力に抗えず、膝をつく。

 同時に、星鎧が紺色と黄色の光と成って消滅した。



 身体が、さっきよりも重たい。



 ……どうやら、流石に限界らしい。



 そんな俺を心配して、真聡以外の4人の友人が駆け寄ってくる。


 俺は友人たちに支えられ、なんとか異形と兄を視界に収める。

 すると。


「それもできません。

 この男には、まだ利用価値があるので」


 異形が淡々と言葉を返してきた。


 それと同時に、真聡が動いた。


「だったら、力づくで返して貰うぞ。

 水よ。凍てつき、刃と成れ!!」


 真聡が言葉を紡ぎながら、杖で地面を突く。


 すると、異形の周りにある水たまりから氷の柱が発生した。

 そして異形へと襲い掛かる。


 一方、異形は右手に何かを生成した。



 異形はその何かを使い、襲い来る氷の柱を砕く。



 細く、しなる武器のような物。


 ……鞭だろうか。


 そして異形はそのまま鞭で真聡に攻撃を仕掛ける。

 真聡はその攻撃を土壁を作って鞭を防ぐ。



 土壁に鞭が振り下ろされ、土埃が発生する。



 その土埃は、瞬時に戦場へと広がっていく。



 瞬時にみんなが俺を囲んで守ってくれた。



 しかし、土埃によって何も見えなくなった。




 そして数十秒後。

 土埃が晴れたときには。




 異形とかずにいの姿は、もうどこにもなかった。



 残っているのは、水溜まりだけだった。



「……悪い。逃げられた」


 真聡はそう言いながら、俺のほうに歩いてくる。

 歩きながらプレートを抜き取り、星鎧を消滅させて私服姿に戻った。

 

 俺はそんな真聡に「いや」と口を開く。


「この状況だと、仕方ないだろ。俺は何もできなかったし。

 だから、真聡は気にしないでくれ」


 返事をしながら、俺はなんとか立ち上がる。

 そんな俺を星鎧を消滅させた由衣ゆい志郎しろうが支えようとしてくれている。


 同時に日和ひよりが「……あいつ、何?誰?」と呟いた。

 そんな言葉に真聡は「わからない」と首を振りながら言葉を返す。


「新手か、それとも画架座を仕組んだ犯人か……。

 情報が足りなさすぎる」


 そこに鈴保すずほが「でも、へびではないよね」と呟いた。


「あぁ。あいつなら、もっと好戦的に仕掛けてくるだろう。

 それに声も女性のように聞こえた」

「だけど……和希かずきさんが……」

「……みんなが居てくれれば、大丈夫だ。

 だからきっと」


 由衣の言葉にそこまで返したとき。



 突然、全身の感覚が消えた。




 そして、由衣への返事を全て口にする前に。




 視界が暗転した。

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