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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
14節 3兄妹

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第228話 返事がない

 私の顔を狙ったパンチが飛んでくる。

 でもわかりやすいその一撃を、私は右に動いて避ける。


 狙いが外れたまー君の拳は私の顔の左側を通り過ぎていく。


 生身だけど魔術を使っているみたいで、避けたのに凄い風圧を感じた。

 私も星鎧を生成してないから余計に。


 やっぱり、まー君には近づいて戦ったらだめだ。


 そう感じた私は、そのまま後ろに下がって距離を取る。

 すると、すずちゃんとしろ君がまー君に向かっていく。


 その隙に私は杖を生成して半透明の羊を作り上げる。

 でも急いだから1匹しかできなかった。


 私はその1匹だけの羊をまー君に向かわせる。


 羊はすずちゃんとしろ君の間を通って、まー君に突撃する。


 でもまー君は2人の攻撃を受け流した後、高く飛びあがって羊の体当たりを避けた。


 ……星鎧を纏っていないのに2mぐらい飛んでない?


 私がまー君の凄さに驚いている間に、私の羊はまー君の風で消されてしまった。


 しかし、そんなまー君を今度は水弾が襲う。

 あれはひーちゃんが武器で撃った水弾。


 だけどまー君はその水弾を凍らせて、逆に私達に向けて飛ばしてきた。


 飛んでくる氷の雨を私達4人はそれぞれ避ける。

 一方まー君は、その隙に地面に降りてきた。


 その着地をする隙に、すずちゃんが飛び込んだ。

 槍を足元に振るって、まー君を転ばせようとする。


 でも、まー君はその槍を難なく小さなジャンプで避けた。


 だけどすずちゃんはそのまま、まー君の横腹にもう一度槍を振るった。



 しかし、まー君はその一撃を右手で受け止めた。



 そしてそのまま、槍を引き寄せた。



 すずちゃんはすぐに槍から手を離した。



 しかし、そんなすずちゃんにまー君は距離を詰めて、左手で平手を叩き込んだ。

 


 その一撃を受けてしまったすずちゃんは後ろに吹き飛ぶ。

 どう見ても普通に攻撃されたとは思えない勢いで。


 ……あの勢い、マズいよね。


 そう感じた私はカバーに入るため、すずちゃんの方へ走り出す。

 そして。


「すずちゃ~~ん!!キャッチ!!」


 私は自分の身体を使って、なんとかすずちゃんを受け止める。

 すずちゃんはため息をついた後、「怖っ……しかもいったい……」と呟いた。


「ありがと由衣ゆい

 あいつ、本っ当に容赦ない」


 すずちゃんのその言葉に「ね~」と返しながら、まー君に視線を戻す。



 するとまー君はしろ君と拳と蹴りでの近接戦をしていた。



 やっぱりしろ君とすずちゃんはずっと運動しているから、私とひーちゃんよりも動きが凄い。

 特にしろ君は空手をやってるから、私達の中で一番戦うことに慣れてると思う。



 そのとき。

 まー君の蹴りがしろ君の脇腹に入った。


 その一撃をしろ君は腕で受けた。



 それでも、凄い勢いで吹き飛んだ。



 そのまま私達が動くよりも早く、しろ君は地面を転がった。

 そこに。


「そこまで。いったん休憩にしよ」


 座って私達を見ているちーちゃんのそんな声が聞こえた。

 そして、まー君対私達の模擬戦は終了となった。


☆☆☆


 休憩になったので、私達は研究所の建物の壁際で座っている。

 そして私は家から持ってきた水筒に入れている、暖かいほうじ茶を少し飲む。


 すると暖かいお茶の感覚が、口から喉を通って身体の中に入っていくのを感じた。

 思わず「あったかいお茶が美味しい……」と言葉が零れる。


「ね。身体動かした後でも、座ってると寒いから余計に」


 隣に座ってるひーちゃんも、水筒を手に持ちながら同意してくれた。

 私はその言葉に「ね~」と返事をする。



 そんな会話をしていると、少し離れたところに座っているまー君としろ君、すずちゃんの会話が聞こえてきた。


「少しは手加減してよ。ぼろ負けだとやる気もなくなるんだけど」

「してもいいが、実際の敵は手加減してくれないぞ」

「そうなんだよなぁ……」


 ……すずちゃんの気持ちはわかる。



 まー君が知っていることを全部話してくれたのは嬉しかった。


 でもその日以降、特訓はかなりきつくなった。

 まー君が積極的に相手をしてくれるようになったけど、本当に大変。


 ……でも、まー君なりに手を抜いてくれてるとは思うけど。



 3人の話は続いてるみたいで、すずちゃんの「でもさ」という声が聞こえた。


真聡まさとを含めて私達、神遺保持者なんでしょ?

 だから普通の魔術師とか魔法師に強く出れるんでしょ?」

「……そうだな」

「それで、この堕ち星と澱みの後ろに居る黒幕は魔師かもしれないんでしょ?」

「そうだな」


 そうなの。

 どうやら堕ち星や澱みの後ろに居る元凶みたいな人は、魔師かもしれないらしい。


 だから私達は年が明けてから、そういう普通の魔師を相手にも戦えるように生身でも戦うために特訓をしている。



 ちなみに、このことは年が明けてから教えてくれた。

 「何でみんなで集まって話をしたときに話してくれなかったの」と聞くと、「不確定のただの推測を話したくなかった」と言われた。


 でも、そんな大事なこと。推測でもちゃんと教えて欲しい。


 あと、「お前らも天秤座の力が稀平きっぺいが持ったままと言うことを言ってなかっただろ」と言い返された。 



 もちろん、稀平君はしっかり人間の姿に戻せた。

 その証拠に、私とひーちゃんが駆け寄ったときにはプレートが落ちていた。



 でも、その後。

 プレートは稀平君の左手に吸い込まれるように消えていってた。



 そして、稀平君の左手の甲には星座紋章が現れた。



 つまり、天秤座の力はまた稀平君を選んだ。



 ……ってことだと思う。

 とりあえずこれで、星座に選ばれた神遺保持者は心斎しんさい君と射守いもり君を入れると8人になった。


 一応言うけど、まー君には黙ってたわけじゃない。


 ただ、誕生日会のサプライズの準備で少し忘れちゃってただけ。

 そう答えたら、まー君に凄く怒られたけど。



 そんなまー君に、すずちゃんは続いて質問している。


「それなら、私達はさておき真聡より強いことはないんじゃないの?」


 するとまー君はため息をついた。

 その反応に、すずちゃんは不満そうに「何よ」と言葉を投げる。


「確かに魔師よりも保持者の方が強い。

 だがな、相手が神遺の力を持ってないとも限らない。

 それに生身での戦い方も知っておけば、すぐに星鎧が生成できない場合や護身術としても役に立つ」

「あぁ~~。わかった。わかったわよ」


 すずちゃんは少しめんどうって感じの声で返事をした。

 そしてまー君の「わかってくれればいい」って言葉で、まー君達の会話が終了した。


 聞くこともなくなったから、私は自分の鞄からスマホを取り出す。


 だけど、見てないうちにメッセージが来たという通知は来てなかった。


 私はそこで、気になっていることがあるのを思い出した。

 なのでまー君に「ねぇまー君、ちょっといい?」と言葉を投げる。


「何だ」

「ゆー君からさ、年明けてからメッセージ来た?」

「いや。そもそもメッセージすら送ってない」


 まー君からの返事は予想通りだった。

 予想通りなんだけど、残念なのは残念。


 そんな気分の私の口から「だよね……」と言葉が漏れた。


 すると、隣に居るひーちゃんが「まだ来てないの?」と聞いてきた。


 ひーちゃんには最初に話したから、私が気にしてることを知ってる。

 なので私は「そうなの。あれから返事なくてさ……」と言葉を返す。


佑希ゆうきと何かあったのか?」

「喧嘩でもしたのか」


 しろ君とまー君からそんな言葉が飛んできた。


 実際、話したかったからまー君に聞いてみた。

 だから2人から聞いてくれてすごく助かる。


 でも、間違った前提で話をしたくない。

 なので私は「先に言うけど、喧嘩はしてないからね?」と返事をする。


「で、えっと。ゆー君、年が明けてから返事がないの。

 既読もつかないしさ」

「それって年明けてからずっと?」

「ううん。えっと……三が日が終わった後ぐらい……かな?」

「じゃあもう2、3日は来てないんだ」


 すずちゃんのその言葉を最後に、誰も喋らなくなっちゃった。



 やっぱりみんな、心配なんだと思う。



 そして、次に「でも」と口を開いたのはひーちゃんだった。


「『学校が始まるまでには帰ってくる』って言ってたでしょ?

 だから大丈夫なんじゃない?」

「……でもそれで、実際大ピンチだったことがあったよね」


 すずちゃんのその言葉で、私達の視線は自然にちーちゃんの方へ向く。


 すると、ちーちゃんは弱々しく「その話はやめて……」と呟いた。


「けどまぁ……佑希なら大丈夫だろ」

「そうだな。

 だが、3学期になっても連絡がなく、学校にも来てなかったら本格的に考えた方が良いだろうな」


 しろ君とまー君の言葉に、私は「そう……だよね」と返す。


 確かにゆー君は星鎧も生成できるし、強い。だからきっと大丈夫。


 ただ、なんか忙しいだけだと思う。

 急にスマホが壊れちゃったのかもしれないし。


 私はそう自分に言い聞かせて、今はおいておくことにした。



 そのとき。

 まー君が立ち上がった。


 同時に「さて」と聞こえた。


「俺はそろそろ休憩を終わるがお前らはどうする?

 もう一度模擬戦をしてもいいし、もう少し休みたいなら俺1人で魔術の特訓をするが」


 その言葉に、私達はそれぞれ考え始める。

 その数秒後。


「俺はやる。だからもう1回相手してくれよ」


 そう言ったのは、しろ君だった。


 そして「私もやる。負けっぱなしは嫌だし」とすずちゃんもそう言った。

 そして2人とも立ち上がった。


 そのまま、3人は駐車場の真ん中の方に向けて歩いていく。


 残されたのは私とひーちゃん。

 私はとりあえず「……私達はどうする?」とひーちゃんに聞いてみる。


「行こうよ。私、置いて行かれたくないし」

「だよね。行こっか!」


 そんな話をして、私とひーちゃんは荷物を片づけて立ち上がる。


 「行ってら~」というちーちゃんの言葉を背中に受けながら、「私達も混ぜて~!」と3人を追いかける。




 この時の私達は、私達にまた新たな危機が迫っていることを全く知らなかった。

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