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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
12節 手を伸ばす

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第213話 青白い光

「行く手を阻むもの、万死に値する罪と心得よ」


 その言葉が聞こえたと同時に、身体に凄い圧がかかった。



 立てないぐらいの圧に、俺の体勢はだんだんと低くなる。



 真聡まさとが言ってた天秤座の固有能力ってやつだろな。

 そして話の通り、本当に動くのすらキツい。



 けど、天秤座は近付いてきている。



 ……なんとかしねぇと。



 そう思っていると、「2人とも、動けそう?」という佑希ゆうきの声が聞こえてきた。


 

 動かないといけないのは分かってる。



 でも身体が重すぎて、動きたくても動けない。

 なので俺は素直に「ちょっと今すぐはキツいな……」と返す。


 すると、「同じく……時間いる……」という鈴保すずほの声が聞こえた。



 それに対して佑希は「わかった」とだけ言葉を返してきた。

 そして天秤座の足元や周りに向けてカードを投げた。



 戦場である市役所前の広場に、煙が充満していく。



 そして佑希は、走り出した。

 だけどその姿はふらふらで、力を振り絞っているのがわかる。



 いや……でも佑希は何で動けるんだよ……。



 俺がそう思っていると、戦場に金属音が響いた。

 それも何度も。



 佑希はこの重圧に負けずに、天秤座と戦っている。



 俺だって、負けてられない。



 ガントレットの爪を地面に突き刺す。

 そして力を振り絞って、立ち上がろうとする。



 そのとき。

 煙が晴れた。


 黄色の鎧が2人、天秤座に向けて剣を振るっている。



 どうやら佑希は煙の中で分身を作ったらしい。



 これで1人でも2人分……って考えなんだろうか。



 ……それでも、天秤座は平気そうに戦っている。



 そんな天秤座をどうすれば倒せるのか。



 それはたぶん。

 まだちゃんと撃てたことのない、あの技(流星群)を当てるしかない。



 だが、ペルセウス座は真聡が持っている。



 いや「持っていけ」って言ったのは俺だけど。



 だから流星群を使うなら俺1人、獅子座の力だけで撃たないといけない。



 真聡に相談して力の撃ちだす方法を変えてみた。

 それでもペルセウス座の補助がないと、流星群の青白い光が少し出るだけの状態だった。



 それでも、やらないといけない。




 というか、それ以外が何も浮かばなかった。




 俺は気合いを振り絞って、なんとか2本の足だけで立つ。



 それとほぼ同時に、佑希が吹き飛ばされた。

 分身も同時に黄色の光とともに消えた。



 そして、天秤座がこちらを向いた。


「君達も、入念に潰さないと駄目そうだね」


 その言葉と共に、大きな岩が空中に生成された。


 俺は咄嗟に隣の鈴保を見る。


 鈴保は槍を支えにしながら、何とか立っていた。

 俺はそんな鈴保に駄目元で「なぁ鈴保」と話しかける。


「何」

「あの岩、どうにかできるか?」

「……無理。

 なんて、言ってられないでしょ」


 そう答えた鈴保は、槍を地面から引き抜いた。

 そして、ふらふらと俺の前に出た。


 俺はその背中に「悪い」と言葉を投げる。

 すると「貸し1ね」という言葉が聞こえた。



 大岩がこちらに向かって投げられた。



 鈴保は槍を構えて、大岩に向かって投げた。



 投げられた槍は一直線に大岩に向かって飛び、激突する。



 一方鈴保は「あと、頼むわよ」と言いながら、地面に膝をついた。

 俺は「任せろ」と返して、天秤座との距離を詰め始める。



 歩いて進むのがやっとだ。

 けど、大岩のお陰で俺の姿はまだ天秤座に見えてないはず。



 鈴保の槍が大岩を割ったら、力を振り絞って走る。

 そして、一か八かの流星群を当たる。


 これが俺の作戦だ。




 しかし、槍は大岩が割れる前に消滅した。



 大岩が再び俺に向かって、飛んでくる。



 俺は反射的にガントレットを投げつける。



 ガントレットが大岩とぶつかって押し合う。



 大岩を食い止めはできてる。




 でも、割れない。




 ……もうやるしかねぇ。



 そう思った俺は、意識を拳に集中させる。



 そして、大岩に向けて拳を振るう。



 しかし、いつもと同じ橙色の光が飛んだだけだった。




 まだ、大岩は割れない。




 その間に、ガントレットが消滅した。

 大岩がまた俺の方に向かってくる。



 結局、俺じゃ駄目なのか?



 そんな考えがよぎった。



 俺は、戦えない誰かを助けたい。



 そう思って星座の力(この力)に手を伸ばした。



 でも、今はそれだけじゃねぇ。



 一緒に戦う仲間を助けるために、もっと強くなりたい。



 俺は賢いわけじゃねぇ。

 それでも、真聡1人に全部を背負わせたくねぇ。



 そうだ。

 弱音なんて吐いていられねぇ。



 やるだけやるしかねぇ。



 俺は力を振り絞って声を張り上げてながら、もう一度岩に向けて拳を振るう。




 拳からは、また星力が飛んだ。




 でもそれは、青白い光を放っていた。




 流星群の光だ。



 青白い光を放つ星力の塊が、大岩にぶつかる。



 だが、まだ岩は砕けない。


「だったら……!」


 俺は力を振り絞って、拳を振るいまくる。



 そんな拳から乱れ飛ぶ青白い星力が、大岩を削っていく。




 そして遂に、大岩は砕け散った。




 でも俺は構わず、拳を振るい続ける。

 青白い星力はそのまま後ろにいた天秤座を襲う。



 このままなら押し切れるかもしれねぇ。



 でもそろそろ身体の限界を感じる。



 なので俺は思いっきり、腕を引く。


「獅子座、流星群!!!」


 そんな叫びと共に振るった拳からは、今までよりも大きい青白い光を放つ星力の塊が天秤座に向かって飛んだ。


 その青白い光は、真っすぐに天秤座へ向かって行く。


 そして両手を身体の前で交差させてる天秤座に青白い光はぶつかる。


 その直後、爆発が起きた。

 そのまま青白い煙が出てきて、天秤座の姿は見えなくなる。



 一方俺は、疲労感から地面に膝をついていた。



 でも圧は完全に消えたし、流石にやった……よな?




 そう疑問に思っているうちに、爆発の煙が収まり始めた。




 そのとき。

 「こんな技まであるんだ……」との声が聞こえた。




 視線を上げると。

 さっきと同じ場所に、天秤座がまだ立っているのが見えた。




 思わず俺の口から「嘘だろ……!?」との声が漏れる。



「今一度告げる、我が行く手を阻むもの、万死に値する罪である」



 再び、凄い重圧が俺達を襲う。

 さっきよりも強い圧に星鎧が光と共に消滅する。



「その罪、命で償え」



 さらに圧が強くなる。



 呼吸が、しづれぇ。



 ……ここまでしても駄目なのかよ。



 そう思ったとき。

 空から、青白い光が降り注いだ。

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