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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
2節 一緒に戦うために
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第019話 教師として

 窓から夕日が入ってくる時間。

 校舎内の空き教室に、教師を待つ2人の生徒がいた。


 女子生徒は普通に椅子に座っている。

 男子生徒は左手をいたわりながら壁にもたれ、床に直接に座っていた。


「まー君……大丈夫?まだ痛む?」

「さっきよりはマシだ」


 あの後。はえ座が落下したと思われる場所に行ったが、やつはいなかった。

 場所が違ったのか、とっくに逃げたのか、それとも消滅したのか。どれかはわからない。


 だがわからない以上、そこに居ても時間の無駄だ。

 とりあえず俺達はタムセンとの話の途中で飛び出してきたため、学校に戻ることにした。

 鞄も学校に置いてきていたため、取りに行くついでに。



 しかし、今までのことを考えると倒せてないと考えていいだろう。


 堕ち星はどうしたら倒せるのか。


 ……やはり、あのときのように確実に殺せるような技を食らわせないと駄目なのか。


 今後について考えていると、「そうだ!チョコ食べる?」と由衣が話しかけてきた。


「なんだ急に。別に……」


 「いらん」と言う前に彼女の目を見たのが間違いだった。


 彼女の目は「食べて!」と言わんばかりにキラキラと輝いている。

 その目を見てしまった俺は、何故か断ることができなかった。


「……貰う」

「はい!やっぱり疲れたときには甘いものだよ!」


 手渡されたのは未開封のチョコの小袋。


 ……いや、なんでだ?こういうのって普通1つ2つだろ?

 未開封の小袋丸ごと渡すやつがいるか?


 俺はその疑問、いやツッコミを抑えれなかった。


「未開封の小袋ごと……?」

「あれ?嫌だった?」

「……違う。量の問題だ。というかなんで未開封を持ってるんだ」

「ちょっと安かったからたくさん買ったのと、もしかしたらまー君いるかなぁ……って……」


 俺がいらないと言ったらどうするつもりだったんだ……?


 そんな疑問がよぎったが、折角なのでありがたくもらっておくことにした。


 俺は小袋の封を切り、1つ口にいれる。


 それを見た由衣は「そのチョコは夏場でも溶けにくいやつなんだよね〜。これからの時期にぴったりなんだ〜。それにおいしいでしょ?」と嬉しそうに俺に説明をしてくれている。


 「なんで嬉しそうなんだ……」という言葉が口から出るよりも先に教室の扉が開いた。


「2人とも待たせたな。怪物が出た後の職員会議は長くなってしまうから」

「で、なんですか話って。こっちとしてはもう話すことはないですけど」


 当初、俺は鞄を回収したら帰ろうと思っていた。


 しかし、職員室に行くと職員会議中でタムセンに「話すことがあるから待っていてくれ」と言われたので待つことになった。


「さっきはすまなかったな。確かに陰星いんせいの言う通りだ。誰かが戦わないと怪物の被害者は増える。

 もちろんお前達のことも心配だ。しかしそれで大勢の生徒、いや大勢の人に犠牲が出るのは駄目だ。だから俺は、お前たちに協力したいと思う」

「「え?」」


 驚きの発言に俺達は思わず同じ反応をする。

 協力といったって……普通の人間には何もできないが……。


 これは突っ込むべきなのか。いや突っ込むべきだろう。


 しかし、俺は口を開くよりも早くタムセンからの訂正が入った。


「協力といっても、あれだぞ?教師としてできる事をしてお前たちに協力したいと思う」


 タムセンの言葉に思わず俺は「言葉足らず……」と呟いてしまった。


 ほぼ同時に由衣が「先生として……できること?」と聞き返したのもあって、幸いタムセンには聞こえていないようだ。


「あぁ。まず他の先生方は俺が説得する。そして怪物との戦いでのある程度の授業の途中抜けや欠席は何とかしてもらうようにする」

「タムセン凄い!」

「だが、抜けた分は補修を受けてもらうからな。そうしないと不平等だからな」

「え〜……」

「あと、定期試験は流石にどうにもできんからな。そこは悪いがしっかりと勉強してくれ」


 由衣がまた残念そうに「そんな……」と呟く。


 だが当たり前だろ。

 学校を何だと思ってるんだ。


 俺は「いえ、充分過ぎます。ありがとうございます」とお礼の言葉を口にする。


「他に困ったことがあったら相談してくれ、できる限り力になる」 


 ありがたい話だ。


 最初に呼び出されたときはどうしたものかと思った。

 だが、分かって貰えるだけではなく色々と協力してもらえるとは。


 星芒せいぼう高校は普通の高校だ。

 そのため、澱みや堕ち星の対処と学校生活の兼ね合いをどうするか困ってはいたが、これなら何とかなりそうだ。


 俺が安心していると、由衣が口を開いた。


 「えっと……じゃあさっそく1つ先生にお願いしたいことがあるんですけど……いいですか?」

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